地方と東京(1)~地方から出るのとっても大変よ!なのにディスられいつも切ない~
2022年、吉本興業所属ではなく、タイタン所属にも関わらずM-1の覇者となった、ウエストランドのネタにもあった、地方出身者と東京出身者の間にある大きな溝。
地方出身である身として東京に憧れ、18歳から上京した昭和生まれの自分にとって、地方都市と東京の問題は自分の脳内において人生ずっとこだわってきたテーマであった。
大学時代、アルバイト先で出会った地方都市(※)出身であることに対する人々へのディスりがとてつもなく強かった背の低い、凝ったメガネをかけた、男性のことを思い出す。
(※京都や北海道、など一部地域は除く。東京の人にとってまったく興味がなく、魅力的にうつらない地方都市のことを指す。
京都には一目おいてやらんでもない、という東京の人は多い。どちらにしても上から目線ではある。)
彼は、女性の容姿全般、また世の中のイケテイナイモノに大変に厳しかった。
本人の外見、体格、内面、人柄、あらゆる意味で決して彼はイケてなかったのに、イケているという空気感の中に、彼はいた。
その上で、面白いかのように思われていたので、面白い人だと思い込んでいたのだが、面白いということに空気がなっているので見過ごされていたが、暴力的な、差別的な発言を日常的に繰り出していた。
(いや、彼より200倍イケてなかった私の意見です。かつ私もコンプレックスのせいで多方面に差別的な発言を繰り出していたかもしれない。とりあえず、フィクションでっす!)
彼の見た目はサザエさんの、アニメではなく、紙の漫画時代の、長谷川町子先生が描く名も無き雑魚キャラに似ていると、ずっと思っていた。
と言ってもピンとこない方も多かろう。例えているものがマイナー過ぎるだらうか。多感な時期に山下達郎に酷似、その後は宮台真司の目つきに似ていると自分で思っていた私からしても、彼は決して、ハンサムでもイケメンでもなかった。
(長谷川町子先生の雑魚キャラの絵柄については、著作権が心配で、長谷川町子美術館のマグカップの絵の写真を使用させていただいた。雑魚キャラのマグカップは無いであろう)
彼は、アルバイト先内で、イケてる人とつるみたがる傾向が強すぎた。
ゆえにイケてる人のように周囲に思わせることがうまいのだった。
彼は毒舌だった。繰り返すが、下ネタが多めで、小柄で、お洒落なメガネをかけて、女性の容姿にとてつもなく、厳しかったのである。彼はなぜか美しい方とばかり付き合っているという噂であった。学生時代から今に至るまで、とりあえず美しい人と付き合っていて態度がデカく、イケてる人とつるんでさえいれば、男性の集団からは一目置かれる、という法則があるゆえに、面白くて、美しい人をいとめた、すげえ漢(おとこ)、というような空気をみにまとっていた。
東京出身である彼の、地方出身者に対する侮蔑的な発言は、毎回、聞くたびにとても衝撃的だった。
なんであんなことを地方出身者に言って平気なのだろう?
私もヤンキーだらけで華奢な人間には居場所がない故郷がとても嫌いだったが、出身者が故郷のことを悪く言うのと、本当に馬鹿にされるのは全く意味合いが違う。これを往年の昭和の?名作漫画「タッチ」で例えるならば、浅倉南は、上杉達也(通称:タッちゃん)のことを誰かにけなされるととても怒るのだった。普段、南(一人称が名前の女子はなんとなく恐ろしい存在である)も同じようにけなしているのに、人にけなされたらとても傷つく。愛着を持ってけなしていることと、ただ馬鹿にされるのは意味合いが異なるのだ。一応、その地方都市出身の人にとっては、故郷(ふるさと)なのだから。ウエストランドの漫才の言葉を借りれば、田舎には「お母さんいるし」ということになる。
ウサギ美味し、いやウサギ追いし、ふるさと、である。
コンプレックスが原因で毒舌キャラにならざるをえず、触るもの皆傷つけて生きていたギラギラハートな自分にとっても、彼の地方への見下し毒舌発言は、笑えず、ただただ、ひどすぎると感じた。
ただし、その時「その言い方はひどすぎますよー」などと彼に突っ込んだことはなかった。
親子問題、DV問題などなどの第一人者の先生によれば、「小出しの突っ込み」はとても重要なのだそうだ。
誰かに何かを言われ続けたり、攻撃されやい人は、その「小出しの突っ込み」がうまくできない。それは家族との関係性の中で、従順であることを余儀なくさせられてきた故に、突っ込むことが下手なのである。
今も私はその、「突っ込み」がうまくできない。
彼は、狭いアルバイト先の集団の中でエラそうにふるまい「凄い人」かのように思われていたから、
「凄い人」かのように思われている彼は凄いような気がしたので、何も言えなかったのだった。
学生時代の狭い集団における、たった数年、年上の人は、なぜだかとてつもなく大人に見えて、本当に何も言えなかった。たぬきに化かされていたのかも。あの時の彼の面白さは、美味しい団子だと思っていたものが、実は泥だんごだった、ような感じかもしれない。たぬきの例えは難しい。ちなみに彼はあまり可愛げのない、たぬき全般にも、似ていた。
特に、ブランド力が低い地域の出身者(私の地元など)への発言は、驚くべき酷さがあった。今も生々しく思い出される。
あとは、オタクっぽい人や女子力の低い(私のような)女子をいじる態度も凄かった。まあ、面白かったのだけど。
社会人になって苦しめられた、人前で電車の中で鼻くそをほじるような、オッサンの暴力性の根源にあるものを、オール・イン・ワン・ジェルですべて
兼ね備えているような、発言や態度、ふるまいには、いつも新鮮に驚かされた。フレッシュな驚きがあった。
東京の地理のことに多少詳しくなった後で気づいたのだが、彼の地元は、ある、都心在住者からは割とディスられる、あまりイケてないとされる、沿線沿いであった(多分)。
地方の出身からすると、学生時代には、その路線がそこまでイケてないという感覚はなかった。
なぜならその沿線も、れっきとした、★東京都★にあるからだ。今もそこまでその沿線が否定的に言われることはなんだかとても違和感がある。地図で見れば、イケてる地域とそんなに離れていないのだ。
新宿や渋谷に出られる距離感でいえば、とてつもなく近い便利な場所である。
自分の故郷(ふるさと)とは比べ物にならない。
ここから先もアンダーラインをひいてください!
ある集団の中で虐げられているという自覚がある人は(その集団よりも)下(だと勝手に、一方的に、ある集団がみなした)存在に対して、攻撃をする傾向があるのです!
簡単にいえば、イケてない男性はイケテナイ女性全般に攻撃的になる、イケてない女性はイケテナイ男性全般に攻撃的になることが多い(かつての自分がそうだった)ということです。
東京の中で田舎とみなされている地域に住む人々は
さらなる田舎であるとみなされる、地方出身者に対してすこぶる攻撃的になるのです!!!(東京の都心に住む人々は、東京の中で田舎とみなされる地域にも地方都市に対しても、すこぶる厳しいのです!!!)
もちろんこの地方都市ディスり発言は、東京出身の人、全員に見られるものではありません。本人が東京出身であっても、地方だからと言ってただただけなしてこない人もいます。ただ、ほとんどの東京生まれで東京在住者は、北海道や京都などの「認めてやらんでもない」都市以外には、ほぼ無関心です。
あからさまなディスり発言をくり出す人はそこまで多くはないものの、何かの拍子でびっくりするぐらい差別的なことを言う方がいて驚きます。この件、もう少し続きます…。