山雅をきっかけに、松本移住を決心。ぐっちの人生を変えた、サポーター・クラブ・街の絆。
ぐっちさんは、横浜在住でありながらサンプロ アルウィン(以下:アルウィン)に毎試合のように通い詰める熱狂的な松本山雅FCサポーター。遠距離からホーム皆勤を続ける中で、2021年3月に移住を決断。もともと特定のクラブを応援していなかったにもかかわらず、そうまでして惹かれる『松本』とは一体どんな場所なのでしょうか。松本山雅FCと出会ってからの約5年間を振り返っていただきました。
【プロフィール】ぐっち。松本山雅FCサポーター。2015シーズンよりスタジアムに足を運んで応援をはじめ、2018、2019シーズンはホーム皆勤を達成。2021年3月に一念発起して松本市へ移住し、今後は松本山雅FCにゆかりのある"とある場所"でお仕事をスタートさせる。Twitterアカウントはこちら。
取材日:2021年2月13日(土)
下田:ぐっちさんはnestの5人目のフォロワーさんだったこともあり、常々ツイートを拝見していましたが、この度移住をされると聞いてすごく驚きました。
ぐっち:本日はよろしくお願いいたします!3月の末に、これまで住んでいた横浜を離れて、応援している松本山雅FCがある長野県松本市へ移住をします。自分の人生の中で、最大の決断になります。
下田:応援しているクラブのホームタウンに移住する話は、たまに耳にすることがあります。でも、住んでいる場所も仕事も変えるのは、なかなか勇気が必要なことですよね。
ぐっち:私も移住に伴って会社をやめ、心機一転新しい仕事に就く予定です。松本という街が魅力的なこともあって、県外から移住してきた方は私の周りにもそれなりにいる印象です。実は同じ時期に、私と同じ横浜から松本に移住するサポーターがもう一人いるんですよ。
下田:そうなんですね!本日はぐっちさんを惹きつけた松本の魅力をたくさん教えてください!
はじめてのアルウィンで感じた、
山雅サポーターのあたたかさ。
下田:ぐっちさんは横浜在住とのことですが、どういったきっかけで松本山雅FCと関わりを持ったのでしょうか?
ぐっち:一番最初の関わりとしては、いまから20年ほど前です。松田直樹さんが横浜F・マリノスに所属していた頃、松本在住の友人に松田さんのサインをお願いされて、横浜F・マリノスの練習を観に行ったことがきっかけです。
練習後、ファンサービスを待つ長蛇の列ができていたのですが、松田さんは車から降りて全員にファンサービスをしてくださいました。私もその中の1人で、とても紳士な方だと感じ、この日を境に彼のことがさらに好きになりました。
下田:横浜F・マリノスと松本山雅FCは、ともに松田直樹さんが所属していたクラブですね。
ぐっち:それから月日は流れ、松田直樹さんの所属した2クラブ(松本山雅FC vs .横浜F・マリノス)の試合が開催されるということで、2015年5月23日に初めてアルウィンに行きました。
「一人分の席くらいは空いているだろう」と安易な気持ちでスタジアムへ向かったところ、予想以上の盛り上がりで空席を全く見つけられず、南ゴール裏からバックスタンドの途中までを3往復ほどしていました。
すると「ここ、一人なら入れるよ!」と山雅サポーターから声をかけていただいたんです。「ありがとうございます!」と無事試合を見ることができ、私はその席で山雅の応援に魅了されてしまいました。
下田:初めて見に行った試合でそこまでフランクに声をかけてもらうなんて、驚いたのではないですか?
ぐっち:本当にびっくりしましたし、「(そこまで良くしてもらって)いいんだ?」と感じました。その方にはこの場を借りて感謝を伝えたいと思っています。
2回目の観戦となった川崎戦も一人で行きました。そこで隣に座っていた山雅サポーターのグループから「今度一緒に見ましょうよ!」と声をかけていただき、次の試合から一緒に見るようになりました。
下田:それで横浜から松本に通うようになったんですね。
ぐっち:はい!自分の中では、山雅サポーターとの繋がりが深まるにつれて、スタジアムへ足を運びたい気持ちが大きくなっていきました。
2015シーズンの最終練習日、初めてファンサービスを受けた時のことも印象に残っています。前田直輝選手にサインをお願いしようと並んでいたのですが、私に順番が回って来そうになったその時、サインペンを忘れてしまったことに気付きました!でも、近くにいた方がすかさずペンを貸してくださって。
その方とはTwitterで繋がっていたようで、練習終わりに「もしかして先ほどの方って、ぐっちさんですか?」とメッセージが来まして、当日一緒に『まるちゃん』(松本山雅FCサポートショップ)へ飲みに行きました。
(『まるちゃん』店主・丸山篤史さんの取材時に撮影)
そうしたら『まるちゃん』の店内で別のテーブルに座っていた方ともTwitterで繋がっていたんです。「もしかして横浜のぐっちさんですか?」とお声掛けいただき、また繋がりが増えたことを覚えています。そこからはサポーター同士の飲み会や、『山雅後援会 東京支部』のイベントに参加していくにつれて、たくさんの人と繋がっていくことができました。
結果として2016、2017シーズンは近場のアウェイをメインに通い、2018、2019シーズンはホームフル参戦をすることができました!
下田:横浜-松本間の移動距離がありながら、2年連続ホームフル参戦はすごいですね!
ぐっち:希望通りにお休みを取らせてくれた職場には感謝しかないです。自分の中では"山雅シフト"と呼んでいました(笑)。基本的には自走で松本まで向かい、試合後に帰って次の日は仕事か、連休や午前休みをとって松本に泊まることもありました。
人との繋がりから、街との繋がりへ。
下田:横浜から全試合通うなんて相当なクラブ愛かと思うのですが、何がそこまでぐっちさんを惹きつけたのですか?
ぐっち:「行ったらみんなに会える!」の気持ち一つですかね。行かないで後悔するよりはまず行こうかな、って思いながら通っていたらフル参戦になっていたような感じで。私にとってのアルウィンはそれだけ魅力的なんですよ。「今日は誰と会えるかな、何人の人と会えるかな」ってワクワクしながら向かっています。
下田:だいたい何人くらいのサポーターとスタジアムで顔を合わせるんですか?
ぐっち:会って話をするのは30人くらいで、「おう!ぐっち!」って声をかけられる人数だと、かなり多めに見積もって100人くらいはいるかな…!と思います。
下田:100人ですか!完全に人気者ですね!
ぐっち:みなさんから良くしてもらえるのは本当に嬉しいですし、声をかけられると言いましたが、むしろ自分から会いに行っちゃう部分はあります(笑)。現地でみんなと挨拶をすることが日常になっていて、試合開始前、終了後、ハーフタイムには「どこいるー!」ってスタジアムをうろちょろしています。
ただ、今でもそうなんですけど、僕は人見知りなんですよ。
下田:そうなんですか?てっきり人見知りしないタイプかと思っていました。
ぐっち:冒頭で申し上げたF・マリノス戦、川崎フロンターレ戦のように、山雅のサポーターさんはグイグイ来てくれて、ユニフォームを着ているだけで壁を感じないくらいフランクに接してくれます。僕は自分から話かけるのが苦手なタイプなので、このように接してくれたことで心を開きやすくなりました。
下田:たしかに、同じ服を着ていることの効果はすごいですよね。
ぐっち:はい、ユニフォームを着ているだけで無敵に感じます。
下田:山雅サポーターのみなさんにとっては、横浜から通ってくれるぐっちさんの存在が嬉しかったのではないでしょうか?
ぐっち:使命感じゃないですけど、「行くとみんなが喜んでくれるのでは?」と自分の中で勝手に思い込んでいた部分はあるかもしれません。
下田:必要とされているような感覚ですか?
ぐっち:そうですね。アルウィンには居場所があるというか、今までのプライベートとは全く違う空間が作れていました。
山雅に出会うまで、私は本当に面白みのない休日を送っていました。家で溜まったビデオを見たり、親しい友人とお出かけする程度で。こうやっていろいろな人と会える場所が、日常になかったんですよね。
下田:そのようにして多くのサポーターと繋がっていく中で、何か副次的な影響はありましたか?
ぐっち:いろいろな方と繋がっていくと「このお店美味しいよ、あの店は雰囲気がいいよ」と街を紹介されるようになっていきました。実際に行ってみると、みなさんが仰っていたとおり、店員さんの人柄がすごく良かったり、食事が美味しかったりと魅力的なお店がたくさんありました。このような繋がりから、徐々に松本という空間が好きになっていく感覚がありました。
あとは景色です。横浜から自走で松本に向かうと、近づくにつれてどんどん山が見えていくんですよ。その光景がなんだか神々しくて、降り立つと四方が山、山、山、山。建物もそんなに高くないので、横浜や東京とは空の量が違うというか、景色が奥まで見えるのも気に入っています。
下田:人との繋がりを起点に、街に魅力を感じるようになっていったのですね。
ぐっち:移住を決めたのは、山雅があることはもちろん、決め手は「松本という街を好きになった」部分にあると思っています。日常に松本を感じたい、と強く感じたからです。
2020年11月
運命を変えた恩人との旅行。
下田:では移住についてのお話を聞きたいと思います。この決断をするにあたり、ぐっちさんにとって大きかった出来事はありますか?
ぐっち:2018年くらいから、繋がったサポーターさんには「松本に来ればいいのに〜」「みんな喜ぶよ〜」と声をかけていただいていました。その時は、「それもいいかなぁ」とふわっと考える程度だったのですが、2020年の11月に『Pizza Verde Matsumoto』(松本山雅FCサポートショップ)のオーナー、五味さんと行った山登り旅行が大きな転機になりました。
下田:そこで何があったのでしょうか?
ぐっち:大きく3つあります。1つ目は山登りが最高に楽しかったこと。頂上から見た景色がとにかく壮観で、そこで飲むコーヒーやピッツァが格別に美味しかったんです。新しい景色、新しい美味しさ、新しい感覚と感動の連続で、この先ももっと山登りをしていきたいと思いました。
2つ目は、県外から移住してきた方の話を聞いたこと。旅行の最中に、東京から移住された『JAZZ雅鳴 きたや』(松本山雅FCサポートショップ)さん、福島から移住された『そば処 木鶏』さんに連れて行っていただき、移住を決めた想いを聞くことで、私の気持ちが松本に傾いていくのを感じました。
そして3つ目は、旅館に滞在している間に、五味さんからいただいたこの言葉です。
「ぐっちの力、ウチのお店に貸してくれないかな。」
この瞬間、私の心は決まりました。実は松本に移住して、4月から『Pizza Verde Matsumoto』で働きます。
下田:それは驚きました!てっきり移住後に転職活動をされるものかと…。実は私も、去年の3月に『まるちゃん』の店主さんを取材させて頂く前に、『Pizza Verde Matsumoto』に伺い、美味しいピッツァをいただきました!2階も見せていただいたのですが、まさに山雅一色の店内ですよね。
ぐっち:そうでしたか!私はもともと水道屋で働いていたので、ピッツァ職人は全くの畑違いではあるのですが、何よりも五味さんの考えに共感できたことが決め手になりました。
常々思っているのが、私は誰かの笑顔を見るのが好きで、自分が誰かを笑顔にしたい気持ちもあるし、それを見て自分も笑顔になりたい。
その意味で言うと、美味しいものを食べたら、みんな笑顔になるじゃないですか。しかも『Pizza Verde Matsumoto』は移動販売もやっているので、松本の街で色々な人と関わることができます。私に合っている魅力的なお仕事だと感じたので、引き受けさせていただきました。
下田:最初にその話を聞いたとき、率直にどう感じましたか?
ぐっち:びっくりしましたよ。でも、私が松本まで足を運ぶのと同じで、誰かに頼られたり期待されると、悪い気しないじゃないですか。自分がなにかのためになるのであれば、貢献したいなと思いまして。
下田:ほとんど即決だったと。
ぐっち:一応「考えます!」と言いましたが、引き受けるかどうかではなく、「ピッツァ職人として何ができるかな」といった内容について考えていました(笑)。職人としても成長したいですし、移動販売の車を使って色々とやってほしいとも言われているので、私が関わることで『Pizza Verde Matsumoto』をもっともっと広げていきたいです。
今後はアルウィンにも出店する予定です。なのでスタグルの販売側に自分が立つ可能性もあります。いままでは観客同士、今度はスタッフとしてサポーター仲間の皆さんに会える可能性があると考えると、楽しみでしかないです。
下田:ちなみに、『Pizza Verde Matsumoto』を知ったのもサポーターさんとの繋がりがきっかけだったのでしょうか?
ぐっち:ええ。2018年に試合翌日も松本に滞在することがあり、「今日は何を食べようかな!」とツイートしたら、「Verdeさん行ってきなよ」「メニューはこれ頼むといいよ!」と教えていただいたのが最初です。それからは何回も通いました。
下田:仕事も環境も一新することに、不安はないですか?
ぐっち:あまりないですね。強いて挙げるならば、(取材日時点で)部屋が決まっていないことと、松本の雪に対応できるかどうかが心配ですが。
でも今は、ワクワクしてしょうがないです。
人を好きになり、クラブを好きになり、
地域を好きになる。
下田:ぐっちさんは松本山雅FCと出会ったことで、何を得ることができましたか?
ぐっち:「人との繋がり」。これが一番です。そして人の縁がクラブ、街へと広がっていきました。クラブと人と街が密着し、できあがる三角形こそがJリーグクラブの代えがたい価値だと感じます。Jリーグがあることで街が活性化しますし、人が元気になります。特に地方にはエンターテインメントが少なかったりしますので、松本には素敵な観光地がたくさんある中でも、松本山雅FCのある意義は大きいと思います。
下田:松本山雅FCは、『松本山雅ジャーニー』というアウェイサポーターに地域を体感してもらう施策を行っていますが、ぐっちさんのように県外から人を呼び込んでいくためにも、Jリーグクラブの地域に対する存在意義は大きいと感じます。
2019年4月から「松本山雅FC」と事業PRパートナー契約を締結しているのが、東京都目黒区にオフィスを構える「quod」だ。彼らは新たな事業開発の一環として、松本山雅FCとスポーツを通じた「ひとづくり」「まちづくり」「未来づくり」に貢献する事業に取り組んでいる。
今回、その新たなプロジェクトとして発表したのが「松本山雅ジャーニー」。試合が終わるとすぐに帰ってしまうアウェイチームのサポーターに、松本という地域に触れてもらうことを目的にしたオリジナルツアーだ。
ツアーには、松本山雅FCが育てる「あやみどり」の収穫体験や近隣農家で採れた野菜を使っての農場BBQ、絶景を望みながらの星空観察&朝ごはん、ピザ作り体験など、盛りだくさんのイベントが用意されている。(記事より引用)
ぐっち:私も「Jリーグを見に行ってみよう」がきっかけで松本山雅FCに出会って、そこから人との縁があり、地域の良さに気づき、移住することになりました。松本山雅FCがなければ、山登りの楽しさには気づかなかったと思います。
下田:松本山雅FC、松本という街にあるものは、ぐっちさんが住んでいた場所にはなかったのでしょうか?
ぐっち:一番違うのは、人と人との「心の距離」ですかね。住んでいる街にあるスポーツクラブを応援していればまた違ったのかもしれませんが、ただ住んでいるだけでは隣の人でさえ壁がある感覚がありました。
でも松本山雅FCの試合に行けば、「サポーター」という共通点ができて、たとえ初見であっても話しかけてくれる人がいる。そして今は、スタジアムに行けば多くの友人に会える。私にとっては、その距離の近さは松本でしか感じられないものです。あとは個人的に、親切にしてくれる方が多かったのも松本に惹きつけられる要因になりました。
下田:「クラブを起点に」とはいえ、そこでどのような人と関わりを持てるかは重要なことですよね。
ぐっち:冒頭でも申し上げたように、私がサポーターとの輪を広げることができた要因の一つが、『山雅後援会 東京支部』のイベントで素敵な方々と出会えたことでした。その経験から「自分でもやってみたい!」「こういう場がもっとあったらいいのに!」と思うようになり、2018年に東京の『信州料理と地酒の店 ゴチ 水天宮前』(松本山雅FCサポートショップ)でサポーター交流会を主催したこともありました。
下田:やってみていかがでしたか?
ぐっち:「輪を広げたい、繋がりを深めたい」が目的だったため、知り合いには極力声をかけずに募ったところ、最終的には20人以上が集まるイベントになりました。初対面同士であっても、松本山雅FCが好きであればすぐに打ち解けられますし、実際に「こういう場いいね!」「またやってほしい!」といったお声をいただけてすごく嬉しかったです。
下田:ぐっちさんが松本山雅FCを通じて得られた「人との縁」を他のサポーターにも還元していったんですね。ぐっちさんのこうした行動は、"松本山雅FCのために"という想いからくる発想なのでしょうか?
ぐっち:正直、そこまで深くは考えていません。自分が他のサポーターと交流することで笑顔になれたので、このような輪がもっと広まったらいいなと思っていただけで。クラブに直接お金が落ちるわけではないですが、山雅を共通点にみんなが繋がって、楽しい場になればいいなと。
下田:でもサポーター同士が深く繋がっていけば、それに伴ってクラブに対する愛着も上がると思うので、結果的にクラブの利益にも貢献している感じがします。
ぐっち:たしかに、僕も繋がりが増えていくにつれて楽しくなりましたし、グッズも買うようになりましたし。だからこそ、人と人がもっと繋がればいいなと思っていて、ただその中に少し、「自分と繋がって欲しい」って気持ちも紛れています(笑)。
下田:ぐっちさんが松本山雅FCをサポートするにあたって、大切にしていることはありますか?
ぐっち:自分が楽しむこと。試合は"楽しむイベント"なので、全力で楽しむことを大切にしています。私は楽しいことや感情はどこかで連鎖するものだと思っているので、少しでもその力になれたらいいなと、心の中に置きながら応援しています。
下田:お話を聞いていると、ぐっちさんはサポーター仲間の皆さんのことが本当に大好きなんだなと。
ぐっち:思い出に残っているのは、新型コロナウイルスの影響で実に8ヶ月ぶりにアルウィンに行った2020年11月1日のことです。たくさんの方と久しぶりにお話をしている中で、いつの間にか感極まってしまい、涙が出てきてしまいました。時間が経ってもなかなか止まらず、違う方と顔を合わせるとより一層涙が出てきて…。これが山雅サポーターに対する、自分の感情なんだと感じました。
あらためて松本が、松本山雅FCにかかわるみんなが大好きなんだなって思いました。
下田:これほどまでに大好きな場所は、これまでのぐっちさんの人生に存在していましたか?
ぐっち:なかったんですよ。毎日仕事をしては家に帰る生活で、行動範囲は家の近所だけ。当たり前に行ける場所なんてなかったですし、歩いていて「よぉ!」って声をかけられる機会も本当に少なかったです。
下田:大げさに言えば、松本山雅FCに出会って人生が変わってしまうような感覚ですか?
ぐっち:もう全然違います。丸っきし違います。私、松本山雅FCにハマるまでは、やることがなさすぎて休みの日も仕事をしていましたからね。今は真逆です。休みの日は松本山雅FCを全力で楽しみたいので、仕事は時間内に終わらせます。この年齢になって、趣味を通じてここまで深い縁ができるなんて、全く想像していませんでしたよ。
下田:では最後に、移住するにあたって楽しみしていることと、今後の夢があれば教えてください。
ぐっち:日常の中で、松本に住んでいる人たちと関われるのが楽しみでしょうがないです。今までは松本での滞在時間が短かったので、ゆっくり街を見たり、行っていないお店に行ったり、出会っていない人とも会いたいです。そして山登りにもたくさん行きたいです。
夢を語るなんておこがましいのですが、私は松本でみんなの笑顔を見ていたいですし、自分も笑顔でいます。笑顔の連鎖を起こして、一人でも多くの人が幸せだと感じる時間を共有することが目標の一つです。これからは『Pizza Verde Matsumoto』の店員として、笑顔を提供できるお仕事に就くので、山雅は楽しい場所だといろいろな人に伝えていきたいです。
これからはより一層、松本のために、松本にかかわる人のために、生きていきます。
【了】
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