ひとりで運転ができた【5/22】
去年、運転免許を取って、取った途端に乗らなくなって1年が経った。
1年はとても早い。
免許証は身分証明書以外の機能をすっかり失いかけていた。免許証は財布にもするっとおさまってくれて、とっても便利な身分証明ではあるのだが、このままではいかにもまずい。切実に感じていた。
次第にわからなくなる、アクセルとブレーキの位置関係。
ペーパードライバーの定義にはいろいろあるようだけど、「アクセルとブレーキの位置関係を失念する」はひとつの大きな分岐点だと思う。
忘れてはならないものを忘れているのだから。
なお、おろおろしながらネット検索をしたところ、ブレーキが左、アクセルが右だとわかった。ついでにウィンカーの出し方とか、ワイパーの出し方なども思い出すことができた。とはいえこんなにも大切なことを、なにもかも失念していたなんて本当にやばい。1年の歳月は、人をあっさり無能にする。
だけどこの前、私は運転をした。
自分が運転する以外に選択肢はほぼほぼありませんって状況になったので、仕方なく運転をしてみたところ、意外や意外、ちゃんと走行できたのである。地方の小さな島での出来事だ。
島のなかには3車線以上の道路がほとんどなかった。後続車も少なく、対向車もごくたまにすれ違う程度だったので、周囲からの圧を受けることなく運転できたのがよかったらしい。
とはいえ、運転する前の晩には不安を紛らわすために予習はたっぷりとした。主にYouTubeを見て、YouTuberの言葉に素直に耳を傾けまくっていたのだ。ありがとう動画文化。運転動画が好きなだけ見られる時代になってから運転免許を取ったことはひとつの大きな幸運だったと思う。
1年ぶりに運転ができてからというもの、心なしか、ちょっと気が大きくなっているのを感じる。できることが増えると、ほかのこともできそうな気がしてくるのだ。
これはあくまでも気分の問題で、錯覚の可能性も重々あるんだけど、でも「できそうな気がする!」って思いながら何かをするのは気分がいいので、もうしばらくはここに心をうずめたままにしておきたい。
東京ではまだ運転ができる気がしないと思っていることにも、まだもう少しの間は目をつぶっておきたい。