NVIDIAの決算を終えて：市場が動かなかった理由と来年への期待

2024年11月24日 08:07

NVIDIAの決算は素晴らしい内容だったが、市場の反応は冷静だった。株価上昇の限界と来年の展望について考える。

決算内容は素晴らしかったが市場の反応は冷淡

NVIDIAの最新決算は、売上、利益ともに市場予想を大幅に上回る結果だった。特にAI需要の拡大を背景に、データセンター部門の成長が著しい。しかしながら、決算発表後の市場反応は思ったよりも冷淡で、株価の大幅上昇には至らなかった。

今回の決算がこれだけ好調にもかかわらず、市場が大きく反応しなかったことは、NVIDIAに対する市場の期待値が非常に高いことを示している。これほどの数字で「物足りない」と感じさせるのは、企業が大きく成長しすぎたがゆえのプレッシャーと言えるだろう。

NVIDIAはこの1年間で株価が大幅に上昇し、その評価額はAppleやMicrosoftと肩を並べるまでに成長した。これだけの巨大企業がさらに2倍になる未来を想像するのは難しい。すでに多くの成長が株価に織り込まれているため、今後の上昇余地は限られているのではないかと考えざるを得ない。

現時点では、NVIDIAを手放して他の銘柄に乗り換える選択肢が見当たらない。AI関連の成長性を持つ企業の中で、これほど市場の中心にいる銘柄は他にない。売却するにしても代替銘柄が見つからない以上、NVIDIAをホールドし続けるのが合理的な判断である。

NVIDIAがこれ以上上昇しないと仮定すると、同様に評価額が高いAppleやMicrosoftも、今後の上昇は緩やかになる可能性がある。そして、それはS&P500のようなインデックス全体の動きにも影響を及ぼすだろう。上昇幅は少なくなるが、緩やかに上昇を続ける可能性が高いと見ている。

来年の市場は緩やかな上昇を想定しているが、トランプ政権が新たにスタートする1年目であることを考えると、予想以上にポジティブな展開が訪れる可能性もある。特にインフラ投資や減税政策が実施されれば、NVIDIAを含めた成長株に追い風が吹くかもしれない。期待値を抑えつつ、好転するシナリオにも備えたい。

NVIDIAの決算を通じて、市場が期待する水準の高さと、成長企業としての限界を実感した。それでも、AI分野をリードする企業としての地位は揺るがず、ホールドの選択が妥当だろう。来年の市場環境がポジティブになることを期待しつつ、引き続き冷静に状況を見守っていきたい。