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【ワタシ、不妊治療してました#9】腐れ縁Episode 2
28の誕生日を迎える2週間ほど前に別れることになったことも、ショックから立ち直るのに時間がかかった要因の1つ。
別れた日からまともにご飯も食べられず、夜も眠れず、外出もできなくなってしまい、死ねたら楽なのにと思うくらいになっていたタイミングで、腐れ縁教授から呼び出された。
来月から日本の大学に移るとのこと
しかもワタシの実家の近くにある大学
日本全国にたくさん大学があるのに、なんでよりによって、実家の近くなんだよ。
腐れ縁の知り合いの先生が他の大学に移るからポストが空いたことで、そこに腐れ縁教授の専門がピタッとハマったということらしいから、偶然といえば偶然、だけど、またもや腐れ縁と思わざるを得ない感
とにかく、日本に戻れたことが嬉しかったようだったけど、「人の不幸は蜜の味」を体現したかのような腐れ縁教授、別れ話なんて好物中の好物。喜びに喜びが重なったから、傷心のワタシには迷惑なくらい上機嫌。ニヤニヤしながら、「そんな器のちっちゃい男なんかと別れて良かったんだよ」と、言われても、まだその時は元彼と何で別れなきゃいけななかったのか、ぜんぜん受け入れられない状況のワタシはぜんぜん前向きになれないから、無反応。そのうち、「俺だったらおまえみたいなスペック持ってるやつ振ったりしないけど」と、いや、おっさんから慰められてもぜんぜん嬉しくないと、何を言われても、はぁーとため息しか出ず、相当、重症化していた。
でも、たかが1人の男で人生棒に振ったら、これから一生後悔すると気づき、この日を境に、心身の健康を取り戻さなければと、海外勤務前の健康診断を皮切りに、厄介な親知らず、全部抜いてしまえとか、でも、そういえば、元彼は親知らず怖くて抜けないとか腑抜けたこと言ってたな、とか思い出したりして、なんだかんだで、何か思い出したり、何か見るたびに亡霊のように出てくる元彼。
その後のワタシがどうなかった気になっていた腐れ縁教授は、「東京から離れて、上海行くまでの間、うちの大学で手伝えばいいから、実家からも通えるし」ということで、東京から離れた。
やはり、こういう時には物理的に距離を取るのが手っ取り早いと実感した。
しかも、大学に独身の先生いるから、紹介すると。
腐れ縁教授、優しいじゃん、と思うような展開に見えるが、腐れ縁教授は知り合いがほとんどいない新天地での生活が寂しかっただけで、青い森の熊先輩と同様、ほぼ毎日、近くの飲食店に連れ出された。
そして、紹介された人、何だか微妙ではあったものの、一緒にご飯食べに行った時に上海行きの話をしたら、目が点になり、翌日からワタシの上海行きを考え直すように促す長文のメールが大量に届くようになり、もう、本当に勘弁って、思うような出来事だった。
残念ながら、腐れ縁教授の思惑は外れた。
近いもの同士でくっつけばいいんだというのは、いかにも安直な考えですね。
とはいえ、元彼の亡霊より、腐れ縁教授のパワハラ的行為の方がまだマシと、感覚が麻痺していた。
そんなこんなで、別れから4ヶ月経ち、上海で働くことになった。海外勤務とはいえ、午前中の便で行って、午後には到着するので、到着後、すぐに勤務となった。