WebGPUが正式リリース:次世代のWebグラフィックスAPIをChromeで
2023年4月6日、ChromeチームはWeb上での高性能な3Dグラフィックスとデータ並列計算を実現する新しいWebグラフィックスAPI、WebGPUの正式リリースを発表しました。WebGPUは、Chrome 113のベータチャンネルでデフォルトで利用可能となっています。
WebGPUの特徴
WebGPUは、現行のWebGLとは異なり、Direct3D 12、Metal、Vulkanといった先進的なGPU機能にアクセスできるAPIです。これにより、GPU上の一般的な計算処理にも対応し、開発者がより高度なグラフィックス機能をWeb上で利用できるようになります。
この初リリースでは、WebGPUはChromeOS、macOS、およびWindowsで利用可能です。Linux、Android、および他のプラットフォームへの対応も近日中に実現される予定です。
WebGPUは、開発者向けに設計されたWebプラットフォーム専用のAPIであり、親和性の高いJavaScript API、Promiseとの統合、ビデオのインポートサポート、エラーメッセージなどを提供しています。これにより、開発者はより使いやすい環境でWebアプリケーションの開発が行えます。
関連ライブラリと対応状況
W3Cの「GPU for the Web」コミュニティグループが、Mozilla、Apple、Intel、Microsoftなどの主要企業の協力を得てWebGPUを開発しました。Chromium用のDawnライブラリとFirefox用のwgpuライブラリがそれぞれ独立したパッケージとして提供されています。
現在、Babylon.js、PlayCanvas、TensorFlow.js、Three.jsといったWebGLライブラリの多くが、WebGPUのサポートを実装または計画しており、開発者は簡単にWebGPUを利用できるようになっています。
開発リソース
開発者は、W3CのWebGPUおよびWGSLの仕様や、サンプルコード、WGSLのツアー、MDNのドキュメント、公式の説明書、ベストプラクティス、GPUコンピューティングリソースなどを参考に、WebGPUを活用したアプリケーション開発を行うことができます。
Chromeチームは、WebGPUを実現するための貢献者全員、特にIntelに感謝の意を表しています。今後もWebGPUの開発と普及に向けて、引き続きアップデートや拡張が行われる予定です。これにより、今後はより高度なグラフィックス機能や深いシェーダーコアへのアクセスが可能になり、Web上でのリッチなグラフィックス表現が一層進化することが期待されます。
WebGPUの応用分野
WebGPUのリリースにより、Web開発者は従来のWebGLに比べてパフォーマンスや機能面で大幅な向上が見込まれるため、Webアプリケーションやゲーム、データビジュアライゼーション、機械学習など、さまざまな分野での応用が期待されます。
WebGPUの導入により、Webアプリケーション開発においてもGPUの計算能力を最大限に活用できるようになり、これまで以上にパワフルで効率的なアプリケーションの開発が可能になるでしょう。
WebGPUを使ってみる
WebGPUを使うためには、まずChromeを最新版に更新してください。次に、chrome://flags/ にアクセスし、WebGPU Developer FeaturesをTrueに設定する必要があります。
設定が完了したらChromeを再起動し、WebGPUサンプルにアクセスして、WebGPUのデモを確認できます。
最後に、タスクマネージャーやアクティビティモニターを利用して、実際に描画処理にGPUが使用されていることを確認しましょう。これで、WebGPUを活用したアプリケーション開発の第一歩を踏み出すことができます。
まとめ
最後に、WebGPUが正式リリースされたことで、Web開発の新たなフロンティアが拓かれることとなり、開発者たちはこれまで以上に創造力を発揮し、Webエコシステムをさらに発展させていくことが期待されます。