【NTL】かもめ観劇の話
こんばんは。今日もお疲れ様です。
マキタネルです。
帰路につきながら、昨日のことを思い出します。
さて、NTLiveに久しぶりに足を運びました。
演劇に触れていたものとして、チェーホフ「かもめ」だけは落とせない。
記録として感想を置いておきます。
少しでもご興味を持っていただけたら幸いです。
National Theater Live
演劇がお好きでしたら是非一度はNational Theater Live(ナショナルシアターライブ)をご覧になってください。お好きでなくても、是非。
歴史的な作品から現代的なものまで幅広く、ウエストエンドの舞台公演がなんと日本で!3000円で観れてしまいます。(スクリーンを通してではありますが)
上演場所は限られていますが、例えば車で1時間半の場所にあるなら、絶対に行く価値があると声を大にして、むしろ荒げて言えます。
抽象的な演出技法は昨今日本でも多く取り扱われているものの、やはり日本の劇ではなかなか目にできない、いい意味で期待を裏切られる瞬間にたくさん出会えます。
ちなみに私はこれまでの上演作品の中でニコラス・ハイトナー演出「真夏の夜の夢」が最も好きです。違和感は全くないのに、今まで見たことのない世界観で、大掛かりで、でもなぜかずっと不安で、夜のテーマパークに足を踏み入れたような気持ちにさせてくれる極上の時間でした。
ジェイミー・ロイド演出
「かもめ」
今回のかもめラインナップはこんな感じでした。
エミリア・クラークさんは今回初ウエストエンドだったようで、確かに初々しさはありましたがそれがニーナらしさを引き立てていて非常に良かったです。
翻訳もきちんと日本人向けで分かりやすくよかったのですが、私は本場のジョークやさりげない言い回しが結構好きなのでその要素が少し少ない気がして残念な部分はありました。
本作との違い(ネタバレを含みます)
実はかもめを読んだのはもう何年も前。
そして舞台作品として楽しんだのは今回が初めてのため全てを拾えたわけではありませんが、やはり違う部分を感じられると楽しいものですね。
そもそもの作品の舞台や職業の違いなどはありましたが中でも明確に違ったのは
主軸がコンスタンチンではなくニーナである
最後、コンスタンチンが自害するところまでは描かれていない
という二点でしょうか。
悲劇というに変わりはないのですが、観客に最も近い場所に押し出される信念やコンセプトは現代に寄せられているのかなあと感じました。
ネル的感想
実は率直に言うと本作の方が好きです。
しかし、2時間半以上をあの演出でもたせるというのは、役者はもちろん演出の圧倒的構成力だとも感じました。
ほとんどセリフ劇のように進んでいく中で、確かに湖が見えたり、確かに休憩スペースが見えたり。
更に笑いどころや落としどころもきちんと用意されていて、観客とともに作り上げていくという意識を作り手側がまず持ってくださっているところが素晴らしいと思いました。
また視覚的な面でも、セットは本当にただの芝居小屋ですが、衣装に愛を象徴する赤色(それに近い色含め)が少しも使用されておらず、それでいてニーナだけは白く染まれるように用意されていたのが印象的で。
だけれど結局最後まで何色にも染まらなかった彼女が、孤独の中愛を叫ぶシーンにはついつい涙してしまいました。
まとめ
今日も明日も観たい!垂れ流しておきたい!というような、日常に寄り添う作品ではありませんが、自分と向き合いたくなったときや人生を振り返りたくなったとき、「例えば10年後、ふとした瞬間に自分の支えになるかもしれない体験」を与えてくれる作品だと思います。
私は、大事なことをこの観劇を通して再度見つめ直せたような気がするので、皆様にとってもその発見が良いものであることを祈っております。
劇場によって終演時期は異なると思いますが、
・兵庫 シネ・リーブル神戸
・京都 アップリンク京都
上記2か所は2月17日(金)からの上演なので、お近くの方は是非足を運んでみてください。
また、お家で観劇可能なNational Theater home(ナショナルシアターホーム)というサービスもあるので気になる方はそちらもチェックしてみてくださいね。
次回、性欲と食欲についての話。
ここ2日間はまた切り裂かれるような寒さがやってくるみたいです。どうぞご自愛ください。
ネル