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白い軌跡が次々と浮かび上がっていく海を、私はボーッと眺めている。船が波を切る音と大きなモーター音だけが聴こえている連絡船。旅行客と思しき人達も乗っている。 静かな海とはほど遠いので情緒も何もあったものではないが、故郷に帰っているという実感が湧いてくる。 『四方を海に囲まれた島ではあるが、観光地としての開発が進んでいるので大きな不便はない』 他国から日本を評したような評価がついているのが私の故郷である離島だ。満員電車に揺られるような喧騒には縁がないが、離島にありがちな過