全てを破壊する女「豊川祥子」について
昨日『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』のアニメを最終回(第13話)まで見た。そのアニメの中に出てくる豊川祥子(とがわさきこ)というキャラクターについて少し語りたいと思う。
悪い言い方をすればこの女が全ての‘’元凶‘’であり、良い言い方をすればこの物語の全ての始まりはこの女だった。
※以下、話の中核に触れるネタバレがあります。
中学生の頃、祥子は高松燈(たかまつともり)に出会い、燈の作詞の才能を見い出す。そして、後に長崎そよ、椎名立希(しいなたき)、若林睦(わかばむつみ)といった楽器が出来るメンバーを集め、祥子自身はキーボード、燈はボーカルを務めることに。そうして、祥子は「CRYCHIC(クライシック)」というバンドを結成するが、祥子と睦は訳あってCRYCHICを辞めてしまう。
祥子「わたくし、CRYCHICを辞めさせていただきます」
睦「私はバンド、楽しいって思ったこと一度も無い」
そよや燈に祥子はCRYCHICを一生消えない思い出として残していってしまう。
それほどまでに忘れられない。第3話のサブタイトル「CRYCHIC」。第3話のみんなでのカラオケのシーンは燈の『春日影』(※CRYCHICの楽曲)の歌詞ノートの言葉を借りるとするならば、「眩しいやさしく美しい温かい」とても儚く尊い時間であったのだろうと思う。出来るものならば私はCRYCHICでみんなが楽しく明るく和やかに過ごす日々をもう少し見ていたかったと思う。
燈はもしかしたら、祥子がいなければボーカルとして歌うことも無く、学校生活を送っていたのでは無いだろうかと考える。高校に入学してから今では同じMyGO!!!!!メンバーとなった千早愛音(ちはやあのん)に出会い、ボーカルを始めるということも考えられるが、愛音もボーカルをやりたかったため、可能性としては低いと感じた。
主に睦や祥子のせいなどでCRYCHICのことを引きずっていたそよは第7話にて新しいバンドで『春日影』を演奏した周囲に対して「なんで春日影やったの!?」と激怒してしまう。その理由は春日陰がCRYCHICの思い出の曲であり、ライブを見に来ていた祥子が『春日影』の演奏とともに泣き出し会場を飛び出してしまったからでもある。
第8話にてCRYCHICをやり直そうとしつこくけしかけるそよに対して祥子が「おためごかしですわね」と言い放つ。
このシーンで私は思った。果たしてどちら(そよ or 祥子)が「おためごかし」なのだろうかと。
第12~13話にかけて祥子の父親はアルコール中毒者であり、金銭的に困っていて(祥子自身がコールセンターで働いていたため)、CRYCHICを辞めざるおえなかったであろうことが判明する。
祥子はおそらくお金のために新しく「Ave Mujica(アベムジカ)」という仮面を付けたバンドを睦を含む新たな5人で結成する。
Ave Mujicaは自分たちを人形に例えたしばらくの寸劇の末、こう言った。
そこから、Ave Mujicaの曲が始まり、MyGO!!!!!メンバーは一切出て来ない。私は『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』のアニメを見ていたはずなのにいつの間にかAve Mujicaの話になっていてMyGO!!!!!はどこにいってしまったのだろうかと困惑してしまった。
私はこの時感覚的に豊川祥子によって「CRYCHIC」と『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』のアニメは壊されてしまったのだと感じた。
正直に書くとするならば、燈たちMyGO!!!!!メンバーが一生懸命積み重ねた一瞬一瞬をAve Mujicaが全て台無しにしてしまった気がしてアニメ鑑賞後の私は非常にショックを受けた。
果たしてAve Mujicaは祥子の新しい‘’居場所‘’となり得るのだろうか。
ここまで紆余曲折あったが、豊川祥子には最終的には幸せになってもらいたいと感じる。きっと元来は優しい性格であったのだろう(燈、そよ、立希などを新しいバンドに巻き込みたくなかったことからして、今もそうなのかもしれない)と思うからである。
今後のAve Mujicaの展開に期待したい。
だけれども、私は祥子が燈、そよ、立希たちを深く傷つけたこと。『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』は良いアニメであったこと。
その事実は忘れられない、忘れない、忘れたくないと思う。