趣味か仕事か
ここ1年以上ミートソース作りにはまっている。子どもたちも大好きで、ミートソーススパゲティはいつも完食してくれる。
イタリアンレストランやちゃんとしたパスタ屋で食べるミートソースは美味しいのに、スーパーで売っているレトルトや缶詰はなんであんなに薄っぺらい味か、もしくはとってつけたような濃厚風味で全然美味しくないんだろうとういう長年の不満が動機であった。
色々とレシピを探し、今はそこから少しアレンジした自分流のソースを作っている。香味野菜を1時間くらいかけてじっくり炒める「ソフリット」から始め、さながら偏執狂のようにスジ肉やスネ肉のブロックを細かく刻んでしっかり炒め、ブラウンソースや赤ワインとともに3時間は煮込む。夏場は自家製のスイートバジルや刻んだパセリを添える。ほぼ半日がかりの仕事となる。
いや、待てよ。これは仕事ではないな。
シンパパなどと偉そうに謳ってはいるものの、家事のかなりの部分を肉親のサポートに頼っている。料理をするのだってほぼ土日に限定されているし、ことミートソース作りに関しては、自分の作りたいものを素材からこだわり、それを目当てに買い物に行き、優雅に時間を費やしている。これを趣味と言わずしてなんと言うのか。家族は美味しいと言ってくれるが、結局自己満足の行為である。
主婦は凄いなぁと思う。毎日毎日、来る日も来る日もレシピを考え、冷蔵庫の中の食材ストックや賞味期限を気にし、限られた時間の中で下準備をし、タイミングよく素早く仕上げる。それでも時には家族から不満を言われたり、残されたりすることもある。これこそが仕事と呼んでいい領域であろう。
土日に仕事的な料理もしないわけではないが、毎日ではない。そして独自のアレンジなどの趣味的な要素もついつい求めたくなってしまうので、そもそも心に多少なりとも余裕がないとできたものではない。
結局昨晩のミートソース作りもやはり趣味の領域であった。