教えない音楽教室をテスト運営してみた
音楽教室を開いてから、今年で18年になります。どうしたら子どもたちに音楽を教えられるか、一生懸命工夫して、勉強してきました。
ここ数年は「教えない教育」について考えています。
今は子どもたちがインターネットを自由に使い、自分で学ぶ方法を取得すれば、いくらでも無料で学ぶツールがあります。昔は東京に行かなければ受けられなかった授業がオンラインで全国に配信されたりします。
でも、その世の中にあっても、伸びる子と伸びない子がいます。
わたしは今こそ、上の記事で唱えた「衝撃的な体験」、つまり、「ハートに火をつける」ということが教育で大切になってくるのではないかと考えています。
そこで、音楽教室ミューレで「学ぶ土台」を育てた生徒たちに、「教えない音楽教室」をテスト運営してみることにしました。走りながら、どうしていくか考えます。
今、2回目が終了したところです。
1回目のとき、「アフリカコノハズク」という、ふくろうのぬいぐるみを持ってきた子がいました。わたしが「アフリカにもふくろうが生息しているんだね。暑いところでも生きられるんだね」と言ったら、「南極と北極以外には全ての大陸に鳥類が生息してる」と言っていました。
そうしたら、別な子が、宮沢賢治の「よだかの星」について話し始めました。
鳥類のことを話した子は、宮沢賢治は知らなかったようで「パプリカの作曲者か」と聞いて、周りの子が大笑いしました。(それは米津玄師)
「宮沢賢治といえば、曲を作ったのを知っているか」とわたしが言って、YouTubeでお気に入りの遊佐三森さんの演奏をみんなで聴きました。
この日は音楽を演奏する子はあまりいませんでしたが、初回ということで、看板作りをした子がいました。
こちらは入り口にかけた「がっきぶ」という看板。「教えない音楽教室:楽器部〜オトナとコドモの交差点〜」というのが正式名称です。
こちらは奥の部屋の看板。「モクモクルーム」と言います。もくもくと練習したい子が籠る部屋です。
「まず看板かい!」って思ったんだけど、こうして出来上がると、部屋に入るたびにテンションが上がり、何かやろうというモチベーションも上がります。看板ってすごく大切なんだなと思いました。
わたしは、前から弾けるようになりたいと思っていたウクレレを少し練習していました。
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2回目。
とある子が、ウクレレの本を持ってきました。「こんな本が家にあった」と言って。それでウクレレで早速、いくつかの曲のメロディーを弾いていました。
わたしは宮沢賢治の「星めぐりの歌」の楽譜をプリントアウトして、ウクレレでコード演奏の練習をしていました。すると、ある子が「僕もその楽譜ください」と言って、自分で持ってきたエアロフォンでメロディーを吹き始めました。
自分で紙コップを持ってきて、マラカスを作っている子もいました。
パソコンを持ってきて、「ダン!」と机を叩く音を録音し、周波数を調べた子もいました。
わたしが新しいヘッドホンを付けていると、「そのヘッドホンの周波数帯域はなんですか」と聞いてきた子がいたので、「知らない。そこに箱があるから調べたら?」と言うと、インターネットで調べて「これはすごい!びっくりした!!」と興奮して教えてくれましたが、わたしにはさっぱり分かりませんでした。
わたしは、それぞれのやりたいことをもっと深めることができるように、「プロジェクトシート」という用紙を作り、「欲しい人〜?」と言ったら、さっと5人の手が上がりました。
こちらができたプロジェクトシートです。
プロジェクト名、提案者、プロジェクト内容、参加のメリット、募集要項が買いてあります。最後に、「やりたい人」が自分の名前を書きます。
こんなプロジェクトがありました。
入浴剤を作ったら、パチパチ音をバイノーラルマイクで録音して、ASMR動画を作るのも面白そうだな〜と思っています。