見出し画像

【西口監督就任記念】西武鉄道の西口に全部行く

10月11日、埼玉西武ライオンズ・西口文也新監督の就任会見が行われた。

(以下、いつも通り「西口さん」と呼ぶ)
西口さんは1995年にライオンズに入団。キレあるスライダーを武器にライオンズに栄光をもたらし、通算182の勝ち星を積み上げた名投手だ。2015年の引退後は投手コーチ・二軍監督を務めてきた。

個人的にも思い入れが深く、2度の「ノーヒットノーラン未遂」を現地で体験したり、2008年日本シリーズ第7戦で先発したところを見たり、2015年の引退試合はレフトスタンドの端っこで泣きながら見た。今年2月の春野キャンプでは引退記念グッズに9年越しにサインをいただく幸運にも恵まれた。

そんな西口さんがライオンズの監督を務める。精一杯応援していきたい。
(もちろんGM兼監督代行を務めた渡辺久信は前述の2008年日本シリーズで日本一を見せてくれた人だし、シーズン途中で監督休養となった松井稼頭央も子どもの頃からのスーパーヒーローだ)

2015年の引退試合
今年2月の春野キャンプでサインをいただく

そんな想いが募り、居ても立ってもいられなくなり、西武鉄道に飛び乗った。全国8億人のライオンズファン全員が気になっているであろうあの疑問を解決するために。

西武鉄道にはいくつの「西口」があるのか?
そして「西口」には西口さんと関連するものはあるのか?
ないだろうけど。ないに決まってるけど、全ての西口に足を運び、無理やりこじつけていく。駅の推し獅子企画で鍛えたこじつけ力を発揮する時が来た。

なお「西口」の有無は西武鉄道HPに掲載されている構内図を元に判断。「西武鉄道としての西口」がある駅のみを対象とした。

 最初に降り立ったのは東飯能駅。西武池袋・秩父線は飯能駅を境に運行系統が分かれているが、その飯能駅から約1分で東飯能駅へ到着する。西武秩父線は大部分が山の中を突き進んでいくが、東飯能駅は飯能市の市街地に位置している。東口には丸広百貨店の大きな建物も見える。それでも森林が多い飯能市らしく、地元の木材があちこちに使用されていて風情を感じる。木材と言えば西口さんの出身地である和歌山県も森林が多く林業が盛んだ。
また東飯能駅の推し獅子は宮澤太成。ルーキーイヤーの一軍デビューは果たせなかったが、西口さんも来季の躍進に期待していることだろう。

東飯能駅の西口
木材が使用された案内板
東飯能駅の推し獅子は宮澤太成

次に訪れたのは武蔵藤沢駅だ。駅舎の新しさが目に付く。西口には広々としたロータリー。ぎょうざの満洲があることに埼玉らしさを感じる。またフジサワプラザという居酒屋があり、なんだか公共施設の名前のようだ。しかし駅の利用客はあまり多くないようで、今年から駅係員が常駐しない「遠隔対応駅」となったようだ。西口さんも就任会見で「ベンチでどっしり何もせずに試合を見ているのが一番いい」と冗談交じりに語っていたが、これこそ監督業における「遠隔対応」と言えるのではないだろうか。
武蔵藤沢駅の推し獅子は武内夏暉。新人王間違いなしの活躍を見せてくれたが、来季以降も西口ライオンズを引っ張ってくれる存在になるだろう。

武蔵藤沢駅の西口
武蔵藤沢駅の推し獅子は武内夏暉

隣の狭山ヶ丘駅にも西口がある。実は5月に駅の推し獅子noteを書く時にも降り立っている。西口にスーパーマーケット「BigA」を見付け、「BigなAnthony」ことアンソニー・ガルシアとのこじつけに成功したのだった。当時はまだ稼頭央さんがチームの指揮を執り、ガルシアは育成選手だった。しかし5ヶ月が経ち西口さんが監督になり、ガルシアは支配下登録された。時の流れを感じざるを得なかった。ロータリーには川越を中心に西武沿線に店舗を展開するくらづくり本舗と、書店のリブロがあった。どちらも西武沿線で長く親しまれているブランドだ。ライオンズで長く親しまれているといえば西口さんだろう。

狭山ヶ丘駅の西口。隣にはくらづくり本舗
狭山ヶ丘駅の推し獅子はガルシア

所沢で西武新宿線に乗り換え東村山駅へ。国分寺線・西武園線も乗り入れるターミナルだが、大規模な再開発が行われている。どうやら高架化工事が完成間近のようだ。西口を出るとロータリーがあるが、周囲が工事中であることに目が向いてしまう。また東口には地元出身の志村けんの銅像が建っている。ドリフといえば志村けん、ライオンズといえば西口さんということでどうだろうか。
東村山駅の推し獅子は山村崇嘉。ここだけポスターの写真を撮り忘れてしまったのが悔やまれる。山村は今季4番打者を経験。思うように成績は残らなかったが、将来の主力打者として西口政権での飛躍を期待しよう。

東村山駅の西口
高架化工事が進む

国分寺線に乗り換え小川駅に到着した。西口に降り立つと目の前に交番がポツンと位置しており、何やら工事が行われている。どうやら西口を中心とした再開発が行われているようだ。歴史的低迷を喫したライオンズも西口さんを中心に再開発に乗り出そうとしていると言っていいだろう。またエキナカにはライオンズ選手とも関係が深い「笑顔道」が運営する整骨院が出店していた。ライオンズ選手のサイン入りユニフォームが飾ってあった。またHPには球団OB・野田昇吾の写真も掲載されているではないか。

そして小川駅の推し獅子は上田大河。ルーキーイヤーはリリーフとして夏場に存在感を発揮したが、フェニックスリーグでは先発にも取り組んでいる。西口政権を長く支える投手となってほしい。

小川駅の西口
小川駅の推し獅子は上田大河

国分寺駅で一旦JR中央線に乗り換え、武蔵境駅から西武多摩川線に乗り込む。れっきとした西武鉄道の路線ながら、西武鉄道の他の路線とは接続していないという変わった特徴を持つ。のんびりとした雰囲気の電車に揺られ、多磨駅に到着した。一つ手前の新小金井駅がかなり古そうで、駅構内の踏切を通って改札に向かう形だったため、多磨駅も似た雰囲気なのかと思っていたら、想像とは正反対の近代的でキレイな駅で驚いた。どうやら2020年にリニューアルしたらしい。東京外国語大学の最寄り駅となっているようで、学生の姿が数多く見受けられた。しかも留学生もたくさんいるようだ。留学生と言えば来季のライオンズも外国人選手の活躍が大きなカギになるだろう。
多磨駅の推し獅子は川下将勲だ。高卒1年目の育成選手で、今季は三軍で実戦経験を積んだ。数年後に西口さんの元で初勝利を記録できることを願っている。

多磨駅の西口
多磨駅の推し獅子は川下将勲
見慣れない多摩川線の路線図

長い移動を挟んで次は西武池袋線の練馬駅だ。多くの路線が集まるターミナル駅で、常に活気がある。中央口とは反対の小さな改札を抜け、駅直結の西友の脇を通っていくと西口に到着する。西口に至るまでの通路は少々地味だが、西口を出ると人や自転車が多く行き交っていた。近くには書店やラーメン屋もある。ターミナル駅という雰囲気はなく、生活感が強いとでも言うのだろうか。出口によって違う練馬駅の二面性を見た気がした。二面性と言えば西口さんも飄々とした雰囲気を携えながら、勝負に対する厳しさを感じているファンも多いのではないか。つまり練馬駅は西口さんだ。
練馬駅の推し獅子は平良海馬。今季は怪我により先発としての活躍を見せられなかったが、来季は再び先発での快投を期待したい。

練馬駅の西口
練馬駅の推し獅子は平良海馬

次は石神井公園駅だ。急行も止まる大きな駅だが、練馬駅と同様に中央口が最も栄えており、西口は少々地味だ。とはいえ改札を出てすぐにスーパーやカフェが並んでいるのだが。また線路の北側にはライオンズマンションがある。石神井公園駅にライオンズあり。ライオンズに西口さんあり。何を言ってるか分からないかもしれないが、西口さんのような大らかさで許してほしい。
石神井公園駅の推し獅子は佐藤龍世。2023年後半戦にブレイクし、今季は故障があったものの貧打に苦しむ打線の中で孤軍奮闘した。来季も打線を牽引する活躍を期待したい。

石神井公園駅の西口
石神井公園駅の推し獅子は佐藤龍世

その次は東久留米駅。珍しく西口の方が栄えており、大きなロータリーがある。駅舎も立派だ。近くには串カツ田中、福しん、庄や、サイゼリヤとチェーン店が揃っていて、酒を飲みたくなってくる。駅の速報板にはライオンズファンへのメッセージが貼られていた。
なんか「、」が多いのが気になってしまう。これは「『点』を取れ」という東久留米駅の駅員から西口さんへのメッセージに違いない(写真を見返してみたら石神井公園駅と一緒だったけど)。
また東久留米駅の推し獅子はコルデロだったが、退団が決まってしまった。二軍落ちしてからもずっと二軍の試合に出場しており、イースタン優勝に向けて奮闘してくれていたのだが…。

東久留米駅の西口
東久留米駅の速報板。「、」が気になる
東久留米駅の推し獅子はコルデロ

所沢駅で西武新宿線に乗り換え、本川越駅方面に向かう。ここまで読んでくれた奇特な方は「意外と西口少なくね?」と思っているのでは。それもそのはず。西武鉄道は池袋・新宿をターミナルとして、西に線路が伸びている。その線路を跨ぐように北口・南口が設けられているパターンがほとんどだ。また西武秩父線を始めとしたローカル線では出口が1つのみで、そもそも出口に固有の名前が設定されていないことも多い。
しかし例外が南北に線路が伸びる所沢から本川越の区間だ。怒涛の西口ラッシュ。西口に次ぐ西口。ノーノー未遂に次ぐノーノー未遂。内転筋に次ぐ内転筋なのである。
 
まず航空公園駅。所沢市役所や公園があるが、いずれも東口方面。西口を出てもほとんど住宅街しかなかった。しかし西口を出てしばらく歩くと国道463号にぶち当たる。その数字から地元では通称「ゲッツー通り」と呼ばれている。西口さんも現役時代にたくさんのゲッツーを打たせてきた。
航空公園駅の推し獅子は松本航だ。今年はリリーフも経験したが、結果が出ない苦しいシーズンだった。来季こそは投手陣の一翼を担ってくれることを願っている。

航空公園駅の西口
航空公園駅の推し獅子は松本航

お隣の新所沢駅。今年2月に閉館した新所沢パルコは西口に位置していた。ロータリーも大きく、西口が大いに栄えている。エキナカには西友、くらづくり本舗が出店しており、近くにはぎょうざの満洲もある。狭山ヶ丘駅同様に実に西武沿線らしい。また焼き鳥の「日本一」も出店している。ライオンズが西口さんの元で日本一に輝くことを願っている。「他の駅にも日本一は出店しているだろう」という意見は西口さんのスライダーばりにかわしていきたい。
推し獅子はブランドンなのだが、残念ながら戦力外となってしまった。個人的にも応援していたのだが、いかんせん怪我が多過ぎた。しかし新所沢駅の推し獅子コーナーは充実している。レオライナのかわいいイラストが展示されるとともに、利用客からもイラストを募っているではないか。ライナの描き方まで示してくれている。実に親切な駅だ。まるで今年西口さんにサインをお願いした時のような親切さだ。

新所沢駅の西口
新所沢駅の速報板
新所沢駅の推し獅子はブランドン
ライナ似顔絵のお手本

その次はまた隣の入曽駅。こちらも航空公園駅同様に西口は住宅街だった。しかし改札内の連絡通路から何やら建設中の建物が見える。どうやら新しい駅舎を作り、再開発の真っ只中のようだ。小川駅と同様に西口さんもライオンズを生まれ変わらせてほしい。
入曽駅の推し獅子は陽川尚将。残念ながら戦力外だ。コルデロと同じく、西口二軍監督の元ではよく試合に出場していたのだが…。せっかくタイガースから移籍してきてくれたので、もう少し一軍で姿を見たかったのが正直なところだ。新たなフィールドでの活躍を祈りたい。

入曽駅の西口
再開発中の入曽駅
入曾駅の推し獅子は陽川尚将

お次は狭山市駅。これで4駅連続。こんなに連続で乗り降りしていると何が何だか分からなくなってくる。
ホームから改札へ上がるエスカレーターにこんな看板があった。「伊東眼科」。
伊東と言えば伊東勤。西口さんが現役時代に最も多くバッテリーを組んだのは伊東だ。
狭山市駅の推し獅子は木瀬翔太。高卒の育成選手だ。今季は三軍でまずまずの成績を残した。来季は少しずつ二軍での登板を増やし、将来的には西口さんが指揮を執る一軍で雄姿を見たい。

狭山市駅の西口
伊東眼科の看板
狭山市駅の推し獅子は木瀬翔太

怒涛の西口ラッシュの最後は終点・本川越駅だ。元々は西口がなかったものの、2016年に開設され、駅西側に位置する東武線・川越市駅へのアクセスが便利になったとのことだ。西口さんのような親切さだ。
駅売店のトモニーではライオンズ応援感謝セールとして、「こだわりのワッフル」「こだわりのフィナンシェ」「こだわりのしっとりバウムクーヘン」が値引きされていた。これでもかと言うほどの「こだわり」の連続だ。西口さんにも細部に「こだわる」野球を期待したい。
また推し獅子は炭谷銀仁朗。ライオンズ復帰1年目の炭谷は主に武内とバッテリーを組み、チームにしっかりと貢献してくれた。来季もまだまだ若手に負けずに元気な姿を見せてほしい。そして炭谷がプロデビュー戦でバッテリーを組んだのが西口さんだ。それから20年近く経ち、西口さんも炭谷も感慨深いことだろう。

本川越駅の西口
こだわりを連呼する応援感謝セール
本川越駅の推し獅子は炭谷銀仁朗

旅の最後は所沢駅。西口に新しい商業施設「エミテラス所沢」がオープンしたこともあり、多くの人で賑わっていた。来季のライオンズには多くの白星を積み重ね、ベルーナドームが所沢駅のように多くの人と笑顔で賑わうことを願ってやまない。
所沢駅の推し獅子はキャプテン・源田壮亮。優勝を果たし西口さんとキャプテンが胴上げされる姿を楽しみにしている。

所沢駅の西口
所沢駅の推し獅子は源田壮亮(9月撮影)

結論。西武鉄道には15の「西口」がある。
練馬
石神井公園
東久留米
所沢
狭山ヶ丘
武蔵藤沢
東飯能
東村山
航空公園
新所沢
入曽
狭山市
本川越
小川
多磨


西武鉄道に92の駅があるので、西口率は16.3%だ。かなり少ないのではないか。全国8億人のライオンズファンの疑問に応えることができてよかった。西口さんの元でライオンズが飛躍することを願い。今回の検証の結びとしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?