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リードエンジニアの育成、はじめました。 〜外部エンジニアによる育成の試み〜

ここ2年ほど、株式会社ゆめみでiOSアプリの開発をお手伝いしており、直近半年はリードエンジニアの育成もしている田畑です。

今回、その育成で使っている資料について

  • 外部公開の許可をいただいた🙌

  • 内容をかなり一般化し「ゆめみでの育成」や「リードエンジニアの育成」に限定されない形で書いているので、他の会社・職種でも使えそう

  • 多くの方に読んでもらい、フィードバックをもらうことで自分の方法論を洗練させていきたい

と考えたので、この記事を書くことにしました。
情報公開を許可してくださった@raykataokaに感謝🙏

資料、中心となる考え方

資料自体はnotionにまとめているので、記事より先に資料自体を見たい方はこちら👇

考え方としては『1兆ドルコーチ』や『OKR』、それと『急成長を導くマネージャーの型』を取り入れたものになります。

概要

前提

まず、そもそもの前提として以下のことを考えていたので、これらの前提に基づいて問題の解決を図ることにしました。

  • 自分は外部の人間なので、ずっとここにいるわけではない

    • そのため、自分以外でもある程度育成ができるように前提の整理や
      方法論をまとめておく必要がある。

  • やるからには、自分が動いて際限なく育成するようなことはしたくない

    • 対症療法ではなく、根本療法で「リードエンジニアが足りない」
      という問題に対応したい。

進め方

なので、進め方としては

  1. まず、リードエンジニアに限らず「足りない」とはどういうことか?
    どういった原因によって「足りない」という現象は起こるのか、考えられる要因をリストアップし、

  2. 次に、ゴールの認識すり合わせのために、今回、育成することとなった、リードエンジニアの定義を確認、

  3. そして、そもそもリードエンジニアはなぜ必要なのか、必要性を確認し、

  4. 1.に絡めながら、リードエンジニアはなぜ不足しているのか推測し、

  5. リードエンジニアの育成をどのように進めていくか提案する

という形で進めていきました。

具体的に何をしたか?

1. 「足りない」とはどういうことか?(要素分解)

いきなり「足りてない→じゃあ育てましょう」とするのではなく、
問題の構造理解のために
足りてない」という状態がどういった環境要因、ゴール設定によって発生しうるのかの整理することから始めました。

ここでは、ざっくり「不足」を発生させうる要因として以下をリストアップしました。

  • 不必要・非現実的なほどにハードルが高い

  • 技能としての難易度が高く、習得に長い時間がかかる

  • 技能習得のチャンスが少なく、挑戦できる人数がそもそも限られている

  • なりたい人がいない


2. リードエンジニアとは何か?(定義)

1.で「ある職種・職位に相当する人間が不足する」とは、どういう前提・環境要因によって発生する現象なのか推測できたので、それと並行して、
今回、育成しようとしているリードエンジニアとは、どういうものなのかを確認・言語化します。

といっても、ゆめみさんではそれが詳細に言語化されており、外部公開もしているレベルなので、それを確認するだけで事足りました🙏


3. なぜ、リードエンジニアが必要なのか(メリットの確認)

2.によって、リードエンジニアに期待される内容が明確になったので、
その必要性についても言語化しておきます。

というのも、今回のゆめみさんでの育成では必要なかったのですが、組織での育成において、発生しがちな以下の問題に対応するためです。

  • 育成の中心にはいないが、育成において協力していただく可能性のある方々(例:プロジェクトマネージャー、デザイナーといった別職種の方々)に育成の必要性に納得していただき、協力的になっていただくため。

  • 育成の内容には詳しくないが、意思決定権者(例:役員)に育成の必要性について理解していただき、育成が必要な投資と納得していただくため。


4. なぜリードエンジニアが不足しているのか

ここからが本題です。

ここまでの、2. 定義 /  3. メリットの確認 で「何のために、どういった職務をこなせる人を育成するか」の確認ができ、関係者の目線も揃ったので、
ここからは、1. 要素分解 を実際に「リードエンジニア」という具体的な職種に適用し、リードエンジニアがなぜ足りないのか、その背景を推測します。


5. どのようにリードエンジニアを増やしていくか

リードエンジニア不足の背景が少しは推測できたので、他の会社で働くEMの友人に話を聞きつつ、どんな育成ができそうか考えていきます。

ただ、僕は依頼元の会社の社員ではないので、社内の力関係に頼り「会社が提示するキャリアパスに従ってください」と指示する、みたいな手段が取れません。

なので、

  1. 育成対象となる方に自分自身のキャリアプランを共有していただき

  2. 会社から依頼いただいている内容(今回はリードエンジニアの育成)と各人のキャリアプランを参照し

  3. 各人のキャリアプランと、依頼内容に重なる部分がある場合にそのことを指摘し、「会社とご自身のキャリア、双方にメリットがあるので今回、挑戦してはどうか?」と提案する

といった形で進めていました。
(逆に、キャリアプランと会社の要求に重なりがない場合は、その方と会社にその旨をフィードバックしていました)

育成自体は、各人に2.で掲げたリードエンジニアの定義と、自分自身の能力を比較していただき

  • リードエンジニアの業務をこなす上で、自分に足りない能力は何か?

  • 足りていない能力のうち、伸ばすことで日々の業務が最も楽になる能力はどれか?

  • それをどのように伸ばしていくか?

といった振り返りを週次でnotion上で行っていただき、それをレビューしていく、という形で行いました。

参加者からのフィードバック

育成開始から1ヶ月経過したあたりで参加者から、この育成についての
フィードバックをもらいましたが、

プラス面

  • 自分が抱えているタスクレベルではなく、プロジェクト・プロダクト全体という1つ上のレイヤーの視点獲得につながった

  • 毎週の振り返りが気持ちの振り返りにつながった

  • 1人でやっていると曖昧になりがちな意識付けが、週次レビューがあることにより、常に意識されるようになった。

マイナス面

  • プレッシャーを常に感じていた

  • 週次で振り返りを行い、毎回改善点を探し続けるのが割とつらい。

改善点

  • zoomなどを使った同期的なコミュニケーションでの壁打ちなどの相談ができれば更に良かった。

といった感じで、成長などについてのプレッシャーの問題がありはするものの、概ね良い反応でした。

個人的な感想

今回の育成において、最初の5ヶ月は「何かあれば相談」という形式だったのですが、その形式ではあまり効果がなかったため、「週次での振り返り」という形式に変更しました。
「何かあれば」というイベント駆動ではなく「週次」という時間駆動で、相談・振り返りを行うようになったため、振り返り・改善のサイクルが短くなったのは良かったように思います。

また、参加者の意識付けについても一定の効果があったように思います。
あとは、リードエンジニア同士での同期的な交流の場を設けたり、
「意欲的な目標設定を行う期間」と「保守的な目標設定を行う期間」を設定し、精神的なプレッシャーが高まりすぎないようにすると、成長と生活のバランスが取りやすくなるので、良さそうに思いました。

まとめ

今回はこの半年のゆめみでのリードエンジニア育成について、やってきたことをまとめてみました。

この育成を自社でも取り入れてみての感想であったり、自社ではどうやっているか、などのフィードバックをいただければうれしいです

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