キックボードおじさん
今日は少し早めの出社。
駅まで歩く時間はない。
よし、自転車で行くとしよう。
朝が弱い私、少し寝ぼけながら、ゆらゆらと、自転車を漕ぎ始めた。
まだ、開き切らぬ目は花粉症で痒み、朝の日差しを浴びて更に小さくなった。
6時45分、彼が来た。
後方から、シャー、シャーと、アスファルトが擦れる音、振り返ると彼が居た。
折りたたみ式の小型キックボード、跨るはおじさん。軽快な足捌きで私の自転車を追い越して行った。
メタリックなボディーは、単色シルバー、小さなタイヤを高速で回転させている。
あれ、キックボードって、こんなに速かったけ!?
全身、黒を基調としたシンプルな装いのおじさん。年齢は、50〜60歳ってところだろうか?
キックボードおじさんは、これまたシルバーの眼鏡をかけている。
頭部の毛はかなり薄め、面積で言うと、半分って所だろうか?
とにかく、ちゃんとおじさんなのだ。
NIKEのスニーカー、Colemanのリュックと、実用性も兼ね備えたおじさん、とんでもなく速くキックボードを進ませる。
私は小さくなった目を見開いた!
『キックボードってこんなに速かったか!?』
とは言え、こちらはマウンテンバイク、坂道はこちらに利がある。
キックボードごときに負ける訳には行かない。
私は追いつき、抜き返した。
しかし、駅まで残るのは直線。
地面を鳴らす、キックボード。
軽やかに、私を追い越していった。
6時55分
駅に到着、キックボードおじさん。
慣れた手つきで、キックボードを折りたたみ、改札へと姿を消した。
キックボードおじさんスゲー!
また、会いたいです。
キックボードおじさん。