【発達障害・ASD・ADHD】アスペルガーの僕が30歳までの人生を振り返って、目指すべき方向・身の振り方について書いてみようと思う。
アスペルガー症候群とADHDの僕が、今までの自分の経験から発達障害を抱える人は、どのようにキャリアプラン(生存戦略)を築いていくべきかを書いてみます。
僕自身について
高校卒業後の進路
発達障害を抱えている事が前もって分かっている場合、障害者雇用枠での就職をお勧めします。発達障害を抱える人にとって、試用期間の壁を超えるのは難しい。1日8時間、週5日、障害特性を隠し通し続けることは、ほとんど不可能だからです。自覚がなくても必ず、どこかでボロがでてしまっています。
入社後、途中からカミングアウトするケースは、あまり上手くいかないケースが多いので止めておいた方がいいです。経歴詐称とは言われないかもしれませんが、あまり良い印象を与えません。
高校卒業後→就労移行→大学→就職
高校卒業後→大学→就職と進むのが一般的かなと思いますが、振り返ってみると、アスペルガー症候群の僕には、想像力の欠如によって酷い失敗をしてしまうパターンが多かった気がします。「これを言ったら、どうなるか」自分の言動が相手にどういう印象や影響を与えるかが分からない。健常者であれば、普通に過ごしていれば身に付く知識でも、発達障害を持つ人の場合、どこかで学ぶ機会がないと身に付かないのかなと思っています。
もっとも、僕が抱えている障害特性と読者のあなたが抱える障害特性が同じとは限らないのですが、ここでは、コミュニケーション上に何らかの問題を抱えているという前提で話を進めます。
これまでの経験から、就労移行などでSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を学んだ後に、大学へ進学した方が、その後の友達付き合いなどが円滑になる気がします。講義、サークル、ゼミなどきっと役に立つシーンは多いはずです。僕自身は、この想像力の欠如によって友達付き合い、内定の掛かった最終面接など、棒に振ったチャンスがものすごく多い気がします。
想像力が苦手な部分をカバーするために、一度、働くとはどんな感じなのか模擬形式で体験してみる。求人票を実際に見て、どんなスキルが必要とされているのかを確認してみる。実際に面接を体験してみるなどして、大学卒業後の自分をイメージ出来るようにしてみるのが良いのではないかと思います。
また、就労移行に行った事で、自分を客観視出来るようになったのは、大きかったなと思っています。「アスペルガーやADHDによって引き起こされる障害特性に悩んでいるのは自分だけ」という感覚が薄れ、現在の状況を落ち着いて考える事が次第に出来るようになりました。
妥協や建前が苦手
就職活動では、本音と建前を使い分けなくてはいけません。
「ぶっちゃっけ、働きたくないんすけど、親がうるさいから」と言ったら、落選します。下記の引用記事には、日本人で仕事のやる気がある人は3%しかいないという調査が公表されています。つまり、ほとんどの人が本音と建前を上手く使い分けて、何らかの仕事を獲得・従事していることになります。
「御社が第一志望です」流石に、これは分かりやすい嘘だとしても、許容範囲内で嘘・綺麗事・ハッタリを織り混ぜたりして、自分をアピールする事が必要です。僕は就職活動を始める頃、公正明大でなければならないという拘りから建前を上手く使い分けるのが苦手でした。
これは就職活動に始まった事ではなく、同じクラスメイトが格好いい、似合うと思って着ている服を、自分の美的感覚からイマイチだねと本音を言うと不快にさせてしまう。結果として友達が離れていってしまう。そういった言動とその影響の因果関係が直感的には、結びついていないケースが多いのです。
想像力の欠如を補う、原因と結果を結びつけるトレーニングには多少の時間が必要かなと思います。高校生活の段階で抑うつ状態にあった場合は、卒業後、就労移行在籍中に直す努力をしてから大学に進学するのがいいのではないかなと思います。
僕は日東駒専、偏差値が50前後の大学に1浪で入学しました。さすがに偏差値50くらいの大学だと、肌感覚で周囲の8割は現役生という感じでしたが、1歳2歳の違いって、本人に根強いコンプレックスがあっても、周囲はほとんど気にしていません。打ち明けても、「へぇ、そうなんだ。」で終わりでした。どうってことないです。
就労移行では、他人に頼る・相談するという事を学ぼう
僕は、他人に頼る・相談するというのがずっと苦手でした。他人と上手く馴染めない過去の経験から何事も一人でやろうとする傾向が今もあります。
障害者雇用で長期的に働く場合に重要な能力を一つ挙げるとすると、自分が何に困っているかを、周囲に説明できる能力ではないかと思っています。発達障害の場合、目に見えないのが最大の障害特性といわれるくらいなので、周囲の人には自分から伝える力がないと、なかなか分かってもらえません。
自力で難しければ支援員を頼ればいい。一人で戦っていると、そういう当たり前の発想になかなか行き着かないのです。相談・ヒアリング等を通して自身の障害特性を説明する機会が多くあり、相談する事によって自分が楽になったり、もやもやした悩み事が明らかになったりします。その結果、親以外の他人を頼るという事がどういう事なのかを学べると思います。
硬直的かつ猪突猛進的な思考に気をつけよう
想像力の欠如が弱いという部分が、企業選びにも影響してきます。ヤバイ企業をかぎ分ける能力が著しく低いということでした。
僕はかつて年間の離職率42%という会社に入社し、2年近く在籍しました。
障害者雇用求人の中には、ソルジャー採用枠の(ボロボロになって戦死したら、ぞうきんのように使い捨てればいいという前提で、明るく健康そうな奴を大量に採用する)求人があります。
新卒入社した子が、8/31末(半年以内)で自分から退社を決意する
オフィスの椅子がヤバイほどボロい(従業員への還元意識が極端に薄い)
職場体験の1ヶ月中に、休職や退職が相次ぐ
職場体験中に上記のような兆候があったのに、個々の事象がヤバイ企業という事に結び付かないという事がありました。また、拘りの強さから他者のアドバイスより自分の思い込みを優先してしまうことがあり、結果として失敗してしまったなと思っています。
自分は少し変わっているというかズレている。他の人の意見も試しに聞いてみようか。ぐらいでちょうどいいと思います。
ブラック企業を見極めるポイントはいくつかありますが、離職率が高過ぎる会社は、根本的に改善が難しい問題があったり、閉塞感というのでしょうか。居心地が悪い事が多いです。
早期退職→金欠→どこでもいいから早く就職したい。金銭的な意味での焦燥感があると、本当にこの企業で定着(長く働き続けること)できるだろうかという視点が欠け、盲目的な判断をしやすいので注意しましょう。
就職等の人生に関わる決断は慎重に。特に早期退職は履歴書の汚点となり、後々の就職活動で苦しめられる。
就労移行ってどこを選んだらいい?
就労移行は、たくさんあるのですが、求人メディア媒体を持つ就労移行やプログラミングを学べる事業所を選ぶのがいいのではないかと思っています。
就労移行事業所に真面目に通所し続けると、媒体に掲載中の企業から一人一人にあった企業を紹介してもらいやすくなるからです。就職に強い就労移行と、そうでないところがあります。
経営学部を卒業して、めっちゃ後悔している
僕は、偏差値50くらいの大学の経営学部を卒業しました。しかし、振り返ってみると経営学は、経営者やそれなりの役職者になった人が学んで初めて役立つ学問だと気付きました。つまり、卒業したら会社員になる予定の人には、ほとんど知っていても仕方のない知識を4年間学ぶことになります。
それから、障害者雇用枠の仕事は事務が多いです。事務(会社の末端)に大学で学ぶ知識はほとんど必要ありません。学んでも活かす場がないというのが実情です。また、現代が高度に発展した結果、既存の経営学や経済学だけで説明出来るケースが極端に減っている気がします。
何を学んだらいい?
経営学部で学んだ内容が、ほとんど役立たなかったと上記で書きました。
今から学ぶなら、やはりプログラミングやコンピューターサイエンスを学べる学部がいいかなと思います。AIやIOT、ブロックチェーンなどIT人材の需要は留まる事を知らない勢いで伸びています。一方で事務は、いつでも替えが利く人材です。いずれ事務は、AIに代替される時代が必ず来ると思います。
ビッグデータから読み解くスキルという意味で、統計学はかなり役立つかなと思っています。ただし、データ・アナリストはPython(パイソン)を初めとするプログラミング経験が必要とされることが多いので、やはりプログラミングを学んでおいて損はないと思います。
大学に行く意味はない?
最近、Yahoo!ニュースなどで不登校YouTuber?を見かけますが、大学を出ておいた方がいいです。統計を確認すると、大卒者の方が非大卒者より生涯年収が高い傾向にあります。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ。日本だと堀江貴文さんなど大学中退して実業家として大成功を収めた人もいますが、ごくごく一握りです。例外と断言してしまってもいいでしょう。
大学で学ぶ内容が必ずしも役立つとは言えないのですが、卒業するメリットは大きいです。なぜなら、日本においては新卒切符があるからです。
日本って、一度人生で躓いてレールから外れてしまった人に対して、ものすごく冷たいという側面があります。なので、スタートでレールを踏み外さないようにするというのは、めちゃくちゃ大事です。そして、30歳前後までにキャリア形成が出来ないと、一生窮状から抜け出せないという事にもなり得ます。
逆に言えば、新卒切符を上手く活用する事で、人生の難易度(無理ゲー具合)が下がる気がします。というのも、障害者雇用枠での採用は、障害者手帳を持っている、もしくは取得予定の人という制限があるため、求人倍率何十倍という大企業に、割とすんなり入れるからです。
大学卒業後、就職活動が上手く行かなくて、就労移行事業所を利用する場合、その時点で、第二新卒・中途といった区分になってしまうため、新卒切符を活用することが出来ません。
早期・退職してしまった場合、職業訓練受講給付金
事務系職種への転職を目指す講座(Excel、Wordなど)が多い傾向にありますが、都内だとWebデザインスキルの習得を目指す講座などがあります。転職に役立つスキルを半年程度、学びながらお金がもらえるという制度です。僕の場合は、生活費と通所交通費で大体12万円前後。貯金が全くないと、生活が苦しいですが・・・こういうのもあります。こちらの制度、在職中は使えません。
専門実践教育訓練給付
実は、専門実践教育訓練を受けたいなと思っていて、個人的にまとめたスプレッドシートのリンク(千葉と東京に所在地がある専門学校・大学に絞っています。)を貼っておきます。興味ある方はどうぞご覧ください。
生活保護はニートだと受けられない。
仕事が長続きせず、生活保護を受給していた時期があります。
覚えている範囲で、受給時の条件を書いてみようと思います。
一人暮らし(物理的に別居している)
両親・祖父母を初めとする親族から金銭的援助を受けられない。
金融資産(50万円以上の不動産・株式等)を所有していないこと。
親と同居しており、親の経済的な援助が見込める場合、おそらく生活保護は難しいのではないかと思います。なろう小説にありがちなニートで1日中、ゲームしているような人だと難しいかと…..。
生活保護の申請のざっくりとしたイメージ(体験談)
申請書(全て紙)に名前、住所を書いて書きまくる。
就労移行事業所経由で、地元の虐待防止・障害者支援のNPO団体に申請支援を依頼した。
※1の申請が多岐に渡るのと、対面での申請を前提としているため、鬱状態の時などはかなりキツい。市役所の職員が生活状況の調査で自宅にやってくる。(引き出しなどを開けられることはない。)
テレビ、エアコン、冷蔵庫などの必需品と嗜好品の有無のチェック。嗜好品があれば、売って換金する事を推奨される。パソコン、スマホについてはノータッチ。(今は就活に必要ですからね。)
親族(両親、祖父母)宛てに電話の問診がある。お宅の〇〇さんが経済的に困窮しています。援助してあげることは出来ないでしょうかみたいな感じらしい。金のためなら、どんな恥ずかしさだって我慢してやるさ。それくらいの図太さが必要。早くベーシックインカムが認められる世の中になって欲しい。
1ヶ月に1度、役所に行き、生活状況などを報告する。
医療券と呼ばれるものがあり、医療費がタダになる。手続きが基本的に紙で煩雑なため、対応していない病院もあり、受付で露骨に嫌な顔される時がある。虫歯を放置していたので、歯医者に行った記憶がある。
手取りで11万5千円くらい。医療費などが浮くので、もし就労時の手取りが12万くらいであれば働かずに生活保護でもいいかもしれない。障害者雇用求人は額面で15万、16万は割と普通にあるため。
時給1000円×週40時間×4週 = 16万、ここから社会保険料天引きとか….鬼か?って言いたくなる。実質、最低賃金以下の暮らしじゃねぇか!!
年収300万円以下は一部の納税を免除して欲しい。生活保護から抜け出すための一時的な増額はないため、交通費が掛かる面接はかなり負担になる。家賃を含めて12万前後だと、数百円単位まで切り詰める必要がある。Web面接が出来ないか聞いてみよう!!
一旦受給が決まると、働かなくても何とかなるんじゃね?みたいな負の引力がある。食べて寝て小便して大便して植物人間のような、とりあえず生きてるだけみたいな生活が続く。ちょっとした贅沢ですぐ赤字になってしまう。SNSで友人の近況とかを見ていると、かなり辛くなる。
障害者雇用の給与だけでは明るい未来はない
障害者雇用枠での採用の場合、事実上、昇進の可能性から見放された採用だなと思っています。語弊を恐れずに言えば、窓際族採用とも言い換えられるんじゃないかなと思っています。法定雇用率があるから健常者よりパフォーマンスが劣る人材を企業側も一定数採用しなければならないわけです。当然、給与も低いです。
障害者雇用採用枠で働く事を決めると、労働市場での価値が、ほとんど最低賃金と変わらなくなってしまいます。社会からの戦力外通知を受け入れる事と同義だと思っています。
そのため、就労収入だけでは、300万円台ですら超えるのが難しく、幸せな未来を描けません。
なので、iDeCoとNISAを有効活用し、資産形成を早くから心がけましょう。給与が手取りで20万を切ってしまうことが多いため、一人暮らしの場合はiDeCoを実施すると生活出来なくなってしまいます。その場合は、NISAだけはきっちり行いましょう。
就活する際にぜひ読んで欲しい2冊
今の質問の背景には、こういう意図があり、面接が聞きたいのは、おそらくこういう事だろう。
模範解答を真似するだけだと面接で自分をアピールできないからダメだ。僕は大学時代そう思っていました。結果、内定がいつまで経ってももらえませんでした。質問の背景を理解して、面接官がどういう答えを期待しているのかという事が分かるので、お勧めです。
地頭の良さ・要領の良さなどは就職活動をする上で、とても有利になりますが、そのどちらも持ち合わせていない人が唯一出来るのは、どれだけ入念な準備をするかだと思っています。
転職の、となっていますが、新卒学生のうちから読んでおくといいかなと思います。給料はどんな仕事をするかよりも、あなたがどんな業界に身を置くかで決まる。という一説が衝撃的でした。
そうなんです。同じ事務職・同じ業務内容でも、営業利益が高い会社・労働生産性が高い業界にいた方が給料が高い。という動かし難い事実があります。
これは会社四季報などの平均年収を調べることでもわかります。スクリーンショットはトヨタ自動車のものになります。Ctrl + Fで年収と検索してみましょう。
障害年金を必ず申請しよう。
発達障害のグレーゾーンの人でも、障害年金の申請を必ず行いましょう。意外に思うかもしれませんが、障害者年金の受給要件に障害者手帳の有無は関係ありません。すべては診断書のさじ加減で決まります。僕の場合は、2ヶ月おきに13万円です。
今の時代、社会保険料などで給料から結構な額が天引きされてしまいます。その中で月65,000円、非課税の収入がプラスされるのはめちゃくちゃデカいです。
就労収入を生活費に充て、障害年金を投資の資金源として米国のS&P 500を10年、20年と運用していくのです。日経平均は、いまだにバブル期の記録を超えられず、30年間低迷しているため、投資先として勧められません。個人的には、35歳ぐらいまでは比較的大きなリスクを許容して値幅の上下が大きい個別株を買ってみてもいいかなと思っています。
男性の場合は、正直結婚は難しいかも
今現在の世の中は、女性が結婚相手を選ぶ時代なので、年収が低いと、結婚は難しいのかなと思っています。結婚して、子供がいて、ペットの犬がいて、マイカーにマイホーム…..こういう生活を思い描いているのなら、現実を直視して軌道修正をした方がいいです。諦めるのではなく軌道修正。時間は人一倍掛かるかもしれないけれど…..。
これぐらいは出来て当然という気持ちがあればあるほど、現実と理想のギャップが大きくなった時に辛くなります。大きくなり過ぎたギャップは、次第に矛先が自分に向かってしまいます。その結果、鬱などの2次障害に繋がりやすいのかなと思っています。
30歳で1人前くらいに考えるとすごく楽になる。
僕は今年で32歳になりますが、最近、人との衝突も減り、これはエネルギーの無駄だなと思う拘りも捨ててみたら、生きづらさが多少改善したかなと思っています。その結果、仕事が長続きするようになり、障害年金などの申請も済ませ焦燥感も少なくなってきたというのもあるかもしれません。
なので、むしろ30歳から本当のスタートぐらいな気持ちでやっていったらいいのかなと思います。
最後に
発達障害を抱えているだけで、人生のハードルが確実に上がります。僕もこれを読んでいるあなたも、攻略が限りなく難しい無理ゲーをプレイしている主人公なのです。上手くいかない構造的な問題があると思った方がいいでしょう。
そして、前述した早期離職(退職勧奨、解雇)は僕が実際に歩んできた道でもあります。大きな挫折がなく順調に歩いていける人生が一番ですが、一度間違えなければ分からない事も多々あります。発達障害を抱えている以上、遅かれ早かれどこかで転ぶでしょう。しかし、知恵があれば、転びやすい道を避けて歩いたり、転んでも怪我を小さくすることが出来ます。この記事が読者のあなたの知恵となり、人生のお役に立てれば嬉しいです。
きっと、これを読んでいる「あなた」は誰かに頑張れって言われなくても、十分過ぎるくらい頑張っている。だから頑張らなくていい。夢が無いからって別に悪く無い。焦らなくていい。生きているだけで偉い。
僕はそう思います。