見出し画像

テクノロジー株急落とプライバシー保護規制の関係について

<じっちゃまセミナー<要旨>>
<今、ハイテク株が売られている理由について>
<第1の理由・・漠然としたインフレ懸念?>

週末にテキサスのニューヨーク海岸石油関連製品を輸送するパイプラインがハッキングされて、いま一時的にパイプラインが止まっている。これは極短期で解決する問題だと思うが、大動脈であるパイプラインが、数日間でも止まったと言う事で、ガソリン価格などが高騰するんじゃないか? との、懸念が出ている。ガソリンの高騰不安につられて、いま1.60%を少し超えたくらいの10年債利回りまで、今後上昇してくるんじゃないか?と、そして長期金利が上昇すれば、高いバリュエーションがつけられているネット株にとってネガティブであると、そういう考えから、ネット株が売られていると、いうことだと思います。

<第2の理由・・経済再開でネット企業の業績において、前年比較が困難になり業績的にアゲインストの風が吹くんじゃないか?・・との不安が有るから・・>

今、アメリカでは新型コロナのワクチンの接種が進んでいます。去年の今頃は外出禁止令が出ていたから、みんなが家にこもっていて、インターネットでショッピングやゲームなどを楽しんでいたけれども、今後、経済が再開してみんなが外に出るようになると、ネット企業にとっては業績の前年比較が困難になる、すなわちピークデジタルですよね。そういうことで業績的にもアゲインストの風が吹くんじゃないかと、言われています。

<第3の理由(本日、主に説明したいこと)・・それは、ウェブクッキー(Cookie)が、廃止? 自然消滅? オワコン? ⇒ そうなると、ネット広告には大きな影響が有りそう? ⇒ デジタルコマーズ全体の業績が、落ち込むんじゃないの?・・との漠然とした不安が有るから・・>

クッキーの廃止不安でネット広告の在り方が、今大きく変わろうとしている。それにまつわるぼんやりとした不安、それがフェイスブック(FB)とかグーグル(GOOGL)トレード・デスク(TTD)とかの銘柄が売られている大きな理由になっているんじゃないかな? と思います。簡単に説明しておきますけれど、クッキーとは、ウェブサイトを閲覧した足跡がパソコン上に保存されるのですが、その履歴に関する小さなデーターファイル、それをクッキーと言います。何に使われるかと言うと、ある課金サイトいく時に、毎回アクセスの為のパスワードとかを入力しなくても済む、アクセス許可の簡素化をしたり、アマゾン(AMZN)なんかで物を買ったりする時に、ショッピングカートの情報をキープする為に使われるものがクッキーと呼ばれるものです。最近になって、“このクッキーって個人情報がダダ洩れになる” その1つの原因になっているんじゃないの?と、だから、ユーザーに断らずにそういう履歴を集めて、それを、ばら撒くのは良くないのじゃないのかと、言う事で、プライバシー保護規制みたいなのが出てきてクッキーが非常に問題視され、なるべく使わない方向に行こうじゃないかと、いう業界の機運になっているんです。で、株価との話をすれば、デジタル広告業界が長い間使い、慣れて親しんできたクッキーがいよいよオワコンになる、そうすると新しいスタンダードが、いま出つつ有るけれども、どのくらい消費者に受け入れられるか? どのくらい効き目があるか?まだ分かんない。そうすると、過渡期、移行期、例えば広告の有効性が、つまり消費者が見たい広告を表示できるか? もし、消費者が見たくもない広告ばかり表示されれば、その広告はシカトされるクリック率が下がる。すると、広告を出すことによる売上高が増えるリターンがなくなっちゃう。そして、広告のROI(アールオーアイ)、リターンがストーンと落ちると、みんな広告を出さなくなるし、ネットショッピングも不活発になるし、ということで、デジタルコマーズ全体が落ち込むんじゃないか? と言う漠然とした不安が有るんです。そう言った事が、例えば昨日、フェイスブック(FB)とかグーグルGOOGL)とか、リボルブRVLV)とかトレード・デスク(TTD)とか、これらが下がった理由なんじゃないかなと思います。(講義時間16:13)

「備考」
・オワコン
:主に一般ユーザー又は個人ユーザーに飽きられてしまい、一時は栄えていたが現在では見捨てられてしまったこと。ブームが去って流行遅れになったこと、および時代に合わなくなった漫画・アニメや商品・サービスを意味するインターネットスラングである。正式な名称は「終わったコンテンツ」、おわコン、終わコンとも表記される。
・ROI(アールオーアイ):「Return On Investment」の略語で、日本語では「投資対効果」や「投資収益率」と訳されている。

<個人的に気になった質疑>
Q1、債権やオールド株に流れている機関投資家の資金はいずれグロース株に戻るのでしょうか?(ライブ時間59:10)

A、はい、グロース株に戻ると思います。
1 .「機関投資家の資金は、今、グロース株から逃げて、オールドエコノミーに集中しているの?・・その理由は?・・」

今、企業の業績は非常に良いです。今回の第1四半期決算は、ほぼ80%の企業が発表を終えました。EPSの平均は44%増でした。決算発表前の下馬評での予想は+22%でしたから、1ヶ月足らずで+22%と言うコンセンサスが、+44%になったんです。それくらい足元の業績は、いろんな会社が、今、凄く伸びています。では、“何故、それがハイテク株にとっていけないのか?” と言う事ですけれども、よく昔のことわざで、“盲人の国に行くと、片目だけ開いている人でも、その人が一番よく目が見える人になる” と言うのが有ります。それと同じように、周囲を見渡してみると、昨年は、どの会社も業績が悪く成長していない状況だったわけですけれども、そう言う苦しい状況の中に有っても、頑張って売上高を伸しEPSを上げている企業は目立つ訳ですよ、その優等生振りがですね。それがネット株、ハイテク株だった訳です。しかし今は、そういう優等生的な企業が、ごろごろ有ります。EPSと売上高成長率が、がんがん伸びている銘柄が、そうすると、“なんで割高の高い金を払ってハイテク株買わなきゃいけないの?” ということで、相対的に “特別な付加価値感” が失われている訳ですね。それが今起こっていることなんです。
2 .「機関投資家が買っているオールドエコノミー株って、どんな銘柄なの?」
去年は、個人投資家が買い易い相場でした。何故ならアップル(AAPL)とかアマゾン(AMZN)とか、フェイスブック(FB)とか言う企業名は、誰でも知っている株ですよね。けれども、サザン・コッパー(SCCO)ニュートリエン(NTR)アンセム(ANTM)CVSヘルス(CVS)とか言われても、みんな、“はあ~、なにそれ?” って感じで、会社名すら知らないでしょう? だから、個人投資家はバリュー株の多くを知らない、目もくれないわけなんですが・・今そういう物が上がってんのね。そして、個人投資家のみなさんに認知度が高い、ブランドが良く知られている銘柄、それらが今は、軒並み鳴かず飛ばずの状況、それで個人投資家は、“何だ儲からない、株なんかやってもつまんないな・・もう株に投資するのはや~めた!“ って感じで、今、段々株式市場から去っていっているんですよ。そういう事情でハイパーグロース株とかテーマ株とか、ストーリー株とか、そういうエキサイティングだと思われていた銘柄が、軒並みKOパンチを食らっています。
3 .「今回、去って行った個人投資家が、近い将来また戻ってきて、個人投資家でも儲かるような相場になるの?」
これにはサイクルが有って、そういう銘柄が安くなれば、今度は機関投資家がある時点でそういう銘柄に乗り込んでいくから、グロース株が又見直される局面は有ると思う。じゃあ、どういう局面でそう言う機会が到来するんだというと、今年のGDP成長率は6.4~6.5%だと言われていて、来年は3.3%、再来年は2.5%、GDP成長率は、がくん、がくん、と落ちていくわけですね。GDP成長率が落ちてくる局面では、いずれ、“成長している銘柄を買いたい!” と言う局面に変わっていく。すると、もう一度ハイパーグロースのネット株とかが、プレミアムを付け直すと言う局面が出てくるのも当然でしょう?
4.「好決算でも株価が下がっているグロース株は、ピークデジタルってこと?」
去年の今頃、一年前のことを振り返ってみると、去年の今頃はみんな頭を抱えて、家の中でごろごろしていた訳でしょう。“新型コロナ怖い、どこにも行きたくない、ネットショッピングやゲームが出来ればいいや” と言う状況で、その恩恵を受けてネット関連の企業の業績が良かった訳ですよ。ところが経済再開でみんなが待ちに出て行くようになると、“何が悲しくてネットショッピングなんか、しなきゃなんないの?” って感じで、アマゾン(AMZN)とか、ネット企業の前年比較の業績は、確実に苦しい局面に入っていく訳ですよ。とてもじゃないが前年以上の成長率は出せるはずが無いわけだから、投資家は、”う~ん、安くて買いたいんだけど、前年比較の業績がちょっと苦しいからね~“ って形で、買えなくなっているわけでしょう? これがピークデジタルと言うものですよ。要するにデジタルはもうピークをつけちゃったわけですよ。だから暫らく、潜伏期間を与える必要が有る、ってことです。

Q2、グロース株中心のポートフォリオにしています。大きく下げているようなのでインフレに強い石油や銀行や資源にリバランスした方が良いでしょうか?(ライブ時間1:06:20)

A、1 .「まず、今、インフレを意識するのが正しいのかどうか?・・について考察してみましょう。」
インフレに関しては、“う~ん、どうだろうね~“ と言う感じで、半信半疑です。なぜかと言うと、まだアメリカの失業率は6.1%です。アメリカ経済が絶好調時の失業率は3.5%くらいです。すなわち、インフレがなくても3.5%まで失業率は改善できる訳ですよ。すると今まだ6.1%なのに、なぜインフレの心配を今からするんですか? ちょっと早くない? もっと言えば経済には余裕が有るんですよ。たるみがあるんですよ。まだ失業者がいるんですよ。パウエル議長も言っていたけれども、”あと800万人くらい、雇用余地がある” というふうに言ってるのね。そうするとこの前の非農業部門雇用者数は20万人、そうすると、今のペースで雇用を増やしていたら、800万人まで到達するのに、まだあと何ヶ月もかかるわけでしょう? インフレなんかまだ心配する必要がないわけですよ。失業率が高い(収入がない)=お金がなくて欲しい物も買えない人が多い、まだ需要が弱いわけです。つまり、”まだ失業率が高く需要が弱いのに、今すぐインフレなんかにならない!” ということです。] 
2.「今上がっている株は、必ずしもインフレで有利になる株ばかりでは有りません。」
例えば、年初に紹介した銘柄で、健康保険の会社アンセム(ANTM)と言う会社があります。健康保険に関する消費者のブランドで、ブルークロスを展開しているフランチャイズがアンセムなんですね。これなんかは、インフレには全然関係ない銘柄です。でも新値を付けている。その理由は単純に業績が良くてバリュエーションが安いからです。薬局のチェーンCVSヘルス(CVS)と言う銘柄も、年初に紹介しました。これもいま凄く上がっています。何故上がっているのかと言うと業績がコンスタントに伸びてきて、しかもバリュエーションが割安だから、ゆっくりだけれども着実に業績が伸びている。でもPERが11倍これって安いよね、って感じ。今動いている銘柄と言うのは非常に地味なストーリーの株ってのが結構あるのね。だからそういう点にも目配りした方が良いと思います。

Q3、今後の雇用統計の連続した好結果と、人種別労働者の、黒人労働者の、テーパーリングへのシグナルとなりますか?(ライブ時間1:20:10)

A、1 .「テーパーリングへのシグナルは、インクルーシブな成長だと思う。」
”インクルーシブなグロース” だと思うんですね。これが、FRBのメンバーのキーワードみたいになっていますから。インクルーイブって言うのは、“仲間に混ぜてあげる“ って言う英語ですけれども、例えば、黒人、低所得者層、低学歴の人達、そういう人達にも雇用の機会が提供されなければ、”FRBは仕事をしていない!“ と言う考え方をFRBのキーメンバー達は持っています。FRBのキーメンバーの筆頭に上がるのはパウエル議長ですね。彼は、”労働者の賃金と生産性に関して“ いくつかの論文を発表しているんです。すなわち、賃金問題とかに関しては凄く意見を持っている人です。弱者に対する救済に関しては、FRBは結構本気で取り組んでいます。パウエル議長は、そういう人達の境遇に対して本当に同情していると思います。加えて、もしパウエル議長が次回のFRB議長として再選されなかった場合、次期FRB議長の最有力候補と言われているのがラエル・ブレイナード理事という女性理事がいるんだけれども、彼女もインクルーシブという事を声高に言っています。また、FRBの中心メンバーではないけれども、遠くから睨みを効かしているしているのがサンフランシスコ連銀メアリー・デイリー総裁、このサンフランシスコ連銀は従来からFRBの重要メンバーを輩出してきた銀行です。この総裁も、インクルーシブグロースと言う事に関して、とても、とても強い意見を持っています。そういう人達飛び超えて軽々しくテーパーリング意見がふっと出るかと言うと、”ふ~ん、どうだろうね~?”って、思うよね。
2 .「FRBにとっての教訓・・・利上げの最終局面でこそ、弱者への雇用が増えること」
前回リーマンショックが有った時に、ベン・バーナンキー議長とジャネット・イエレン議長が引き継いだんだけれども、彼と彼女の采配の一つの教訓は、“利上げは、粘って粘ってぎりぎりまで利上げしない方が良い、粘っている最終局面でこそ恵まれない人達、黒人、低所得者層、低学歴者の雇用が、が~んと増えるのだから”、そのが~んと増える瞬間と言うのを、待ちに待っているんですよ、パウエル議長は。今は、まだそれは起きてないんですよ、起きていない。そこから見てもテーパーリングと言うのはまだ早すぎると思います。

「備考」
・インクルーシブ:“あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う“ と言う社会政策の理念を表す。インクルージョン(inclusion)、排除しないってこと。
サザン・コッパー(SCCO):ペルー、メキシコ、アルゼンチン、エクアドル、チリで、銅やその他の鉱物の採掘、探査、精錬、精製に従事している。同社は、銅及びモリブデン精鉱を生産する為の銅鉱石の採鉱、粉砕、浮選に携わっている。銅精鉱を製錬して、ブリスターおよびアノード銅を生成する。陽極銅を精製して銅陰極を生成する。モリブデン精鉱と硫酸の生産;精製された銀、金、その他の素材の生産。亜鉛と鉛の採掘と加工。
ニュートリエン(NTR):カナダの肥料メーカー。カリ、窒素、リン酸塩、硫酸塩製品の開発、製造、販売に従事。農園ネットワークを介し、北米、南米、オーストラリアの農業生産者へ直接小売販売やサービス提供を行う。配合飼料、工業用製品、金属仕上げ用製品の製造、販売も手掛ける。
CVSヘルス(CVS):子会社と共に運営する統合薬局医療会社である。同社はオムニケア株式会社(オムニケア)およびオムニケアの長期介護(LTC)事業を通じて、シニア・コミュニコニコティへ医薬学品の調達、関連薬学局コンサルタントとか慢性ケア施設、及びその他のケア施設への付帯サービスを含む薬局ケアを提供する。同社は調剤サービス、小売/ LTC 及び法人3つの事業を運営する。
(配信日:2021/05/11)

<あとがき>
連日下げてたけど、2週間ぶりに反発、グロースもバリューも上げたね。ここから買いに入っていいのかな?分かるわけないけど、下値支持線をキープしたCRWD、OKTAを買いに行こうかな。
以上




サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。