1 . <パウエル議長が再指名された>2 . <世界同時株安にどう対処する?>
1 . <パウエル議長が再指名された、債券、株式はどうなる?>
昨日、11月22日寄り付き前にバイデン政権が、”ジェローム・パウエルFRB議長を再任する”、という事を発表しました。パウエル議長が指名されるという人事自体に関しては大方の予想通りの結果だったと思います。
1 . 「でも市場の反応は少しギクシャクしたよね・・」
パウエル再任の発表を受けて市場は最初好感して、1回は、ぱ~と買われたよね。しかし、その後で、”ちょっと待てよ”、という感じに受け止め方が変わって債券が売られて債券利回りが上昇、そして株式ではハイパーグロース株の一角が物凄くやられる局面なりました。そんな具合にちょっとトレードはギクシャクしました。
2 . 「再任されたパウエル議長も、副議長に指名されたラエル・ブレイナード氏も二人共ハト派なのに、何故、市場の反応はギクシャクしたの?」
それは、”これから金融引き締めが来るぞ!”、という風に投資家が解釈して、”いよいよか?!”、と身構えたからです。
3 「投資家が、”いよいよ金融引き締め、利上げが来るぞ!”、と身構えた、その理由を教えて?」
そもそもパウエル議長の再選問題、それが今まで長引いた大きな理由の一つは、大きな歳出法案が議会の中で動いていて、その大型歳出法案とFRBの人事とを抱き合わせにされて、法案修正をめぐる人質にとられていたからなんです。すなわちパウエル議長の承認、指名をめぐって、上院の中でそれを人質にとって、”その法案を通したいならパウエルを降ろしなさい!”、と言うふうに、一部の非常にリベラルな民主党議員たちが駆け引きをやっていたんです。そんな状況下で、バイデン大統領がパウエル議長の再任を発表したという事は何を意味するのか?と言うと、”これは今まで人質にとられていた大きな法案の、票読み、根回しに目途がついたんじゃないか?”、と投資家は捉えたわけです。
4 ,「じゃあ可決の目途がついた法案って、金融引き締めと密接な関係が有ると言うことなんだね?」
そのとおりです。その法案なんですけれども、それは1.75兆ドルの大型の法案なんですよ。なのでそれが可決すると、”またお金がばら撒かれる”、という事ですよね。それは景気にとってはプラス材料ですけれども、同時に強力なインフレ圧力にもなるわけですね。そうすると、”これでいよいよFRBは、金融引き締めを急がないといけないよね~、利上げだね”、となるわけです。
5 . 「金融引き締めを警戒して、ハイパーグロース株が売られた理由は?」
昨日起こった事は、長期金利も少し上昇したけれども、それよりも短期金利の上昇が顕著でした。短期金利が上昇したという事は何を意味するかという事は、皆さんお察しの如く、市場参加者が、”あっ、いよいよ利上げだ!政策金利が上がるぞ!”、いう風に解釈したという事であります。そしてバリュエーションの高いハイパーグロース株が売られたという事は、”これで株価に利上げが織り込まれた”、と言う説明になります。
長短金利について説明を補足しておきますと、長期金利は、債券市場の参加者が考える、遠い将来のインフレ率はどうなるか? 例えば今から5年後とかのインフレ率がどうなるか? と言う予測に敏感に動きます。だからもし、インフレになるという風に市場参加者が思えば長期金利は上昇するし、逆に言えば長期債の債券価格は下落するということです。一方短期金利は何に左右されるのか?と言うと、政策金利はどうなるんだ?という事に大きく左右されます。その理由は、アメリカの政策金利は略してFFレートと呼ばれるものですけれども、そのFFレートと3ヶ月物、1年物、3年債とかの短期債はお隣さんの関係にあるんですよ。だからパウエル議長が利上げしたら、すぐそのお隣さんである3か月物とか1年物とかの債権は利回りがFFレートに連動しなければいけないという事です。長期の債券は償還期限が5年10年20年という風に、遠い将来になりますので、今日明日のFFレートがどうなっているかはあまり関係なくて、それよりも、”将来の、長期で見たインフレ率に負けるようでは駄目だよね”、って形でインフレ率が長期金利をディクテートするという事なんですね。
6 .「”CME Fedwatch (フェドウォッチ)”、政策金利の予測について。」
アメリカの政策金利FFレ-トには先物が有ります。そして市場参加者やトレーダーが、先物の実勢取引価格から逆算して、どの位の確率で、将来の、今後の連邦公開市場委員会FOMCの政策金利のディスジョンdecision(決定・決断)が出てくるのか? と言う事を、それを逆算するそれを伺い知る方法・サイトが有るんですね。それをちょっと説明しますね。グーグルgoogleで、”CME Fedwatch (フェドウォッチ)”、を検索して、リストから、”CME のFedwatchツール:FOMCへカウントダウン”、をクリックすると、タイトルが、”TARGET RATE PROBABILITIES EOR 15 12 2021 FED MEETING:2021年12月15日 連邦準備制度理事会の目標金利確率”、横軸が政策金利、縦軸が予測割合%のグラフが開きます。上部の日付タブはFOMCの開催予定日になっていて、何を意味しているかと言うと、今後のFOMCで利上げ確率がどう変わっていくか?という事を、市場参加者やトレーダーがどう予測しているのかを、時系列で示しています。(なお、広瀬さんの詳しい解説は、公開note、タイトル<米国市場の相場見通しと注目銘柄アップデート:配信11月5日>を参照してください。第5章:市場関係者は、今後の政策金利の動きをどう見ているのか?という問題について)。いい機会なんで、一度自分でグラフを見て下さいね。参考に一例だけ見てみると、2021年12月15日が次のFOMCミーティングなんですけれども、その時のFFレートの確率を、100%の投資家が政策金利0.25%を予想しているという事ですよね。この事から12月15日のFOMCでは金利は動かない。政策金利は変更されないという事が、このチャートから読み取る事が出来るわけなんです。結論的には、つまり昨日何が起こったのか?と言うと、このグラフの日付タブが、右側にシフトしたという事なんですよ。昨日ハイパーグロース株、例えばスノーフレーク・SNOWとかエアビーアンドビー・ABNBとかね、クラウドストライク・CRWDとかさ、そう言う急成長している、高い高いバリュエーションを獲得している銘柄が、何故ガツンとKOパンチを食らったのかと言うと、これが動いたからなんです。つまり、【利上げが早まりますよ~!。来年2022年中に3回の利上げが有りますよ~!】という事が、市場に織り込まれたと言う事ですね。 以上 (2021/11/23 配信)
2 . <世界同時株安にどう対処する?>
金曜日11月26日、マーケットが大きく下げた理由は、新型コロナの南ア変異株の報道です。2週間ほど前に初めて認識されて、それが急に増えているとの報道されました。アフリカからヨーロッパに到着した旅行客からも検出されたと言う報道に、世界のマーケットが嫌気して大きく下げたわけですね。
1 . 「南ア変異株ってどんな株なの?」
1 . 新型コロナ南アフリカ変異株11529、別称オミクロンと呼ばれる新型コロナの新種の変異株です。
2、新型コロナワクチンが感染阻止のターゲットにしているのは、スパイクプロテイン(スパイクたんぱく質)と呼ばれる部位で、変異株はここがミューテイション(変異)するのですが、デルタ変異株の場合、変異箇所は10前後なのだが、南ア変異株の場合は30箇所と多いとの事です。
2 . 「今のワクチンは南ア変異株には効かないの?」
1 . 但し変異が多いからと言って現行のワクチンが効かないと決まったわけでは有りません。まだ分からないのですが、現行のワクチンで十分対応可能かも知れないですね。
2 . 現行ワクチンを開発した製薬会社ファイザー・PFEによると、現行ワクチンの有効性の可否は2週間以内に結論が出ると言っています。
3 . それから、ファイザーやメルク・MRKが開発した錠剤の経口薬が南ア変異株に対して、どう効くのか? また、効くのか効かないのか?と言う事について言及しておけば、この新型コロナ経口薬はスパイクプロテインに働きかけるのではなくて別の作用でコロナの症状を和らげるので、変異とは一切関係がないのです。南ア変異株の変異数が多くても、ファイザーが開発した飲み薬が効かなくなる事とは、無関係だという事です。
4 . ワクチンメーカの対応ですけれども、例えばファイザーは1ヶ月半有れば、南ア変異株に対応したバージョンアップしたワクチンを開発し、100日以内に量産に入って出荷出来ると言っています。という事はアメリカでの蔓延に対して十分時間的に間に合うということです。なのでそれ程パニックになる事はない、という事ですよね・
3 . 「南ア変異株の感染力は強いの?」
1 . 南ア変異株に罹ると、これまでの新型コロナよりも症状が重くなると言いう事はまだ報告されておらず、従来の病状と同程度だと言われています。
2 . 南ア変異株の方がデルタ変異株よりも伝染力が強いのか?どうかは、まだ分からないです。ただサイエンスの一般論としては、変異の数が多ければ多い程、伝染のスピードは弱まります。
4 . 「じゃあ、パニックになる必要はないんですね? でもいずれはアメリカにもやってくるよね?」
1 . 今まで説明したように、変異の数が多いからと言って、直ちにパニックになる必要は全然ないと言う事です。むしろアメリカなんかが直面している問題は、既に半年以前にバイオンテック・BNTXやモデルナ・MRNAのワクチンを接種した人は、そろそろワクチンの免疫の有効性が切れてくる。なのでブースターとして既存のワクチンを、もう1回注射してやることが急務であると、そちらの方が目下の重要事項だと思います。
2 . 空の旅行者がアフリカからヨーロッパなどに行き来している関係上、もう既にヨーロッパにも南ア変異株が上陸しているでしょう。けれども、たぶん、南ア変異株は先程説明したような理由で伝染力が弱いかも知れない。だから病気の蔓延という事で言えば、早くても来年の4月か5月から6月にかけて、今のデルタ変異株みたいな感じで広がる可能性は有ります。だけれども、今既にぐちゃぐちゃに蔓延してしまっていると言う事ではない。という事に気を付けて下さい。
5 . 「じゃあ、マーケットはどうなるの? すぐに回復するの」
1 . 昨日は世界的に下げたんだけれども、リックス指数(恐怖指数)は28.62位まで上がったんで、かなり恐怖がマーケットに走っていると思うんですね。それは何を意味しているかと言えば、逆に底入れが近いかもしれない?、という事です。
2 . 但し、昨日はサンクスギビングデー感謝祭明けの半日立ち合いだから、市場参加者が非常に少なかった関係で、ひょっとすると月曜にもう1回売られ直すかも知れないね?。こういった形でマーケットが、ガクッガクッと下がった時と言うのは、普通1日目2日目と大きく下げて、3日目のザラ場に転換点が来る事が多々有ります。なので今回もそのパターンなので有れば、火曜日のザラ場が一つの買いポイントになるかも知れない。これは過去の経験則を適当に当て嵌めているだけですけれども、もしそれが今回も当て嵌まるんで有れば、そう言うタイミングになると思います。
以上 (2021/11/27 配信)
<あとがき>
ハイパーグロース株って短期でも長期でも、とにかく金利が上がったら、高いバリュエーションが嫌われて売られてしまうのかな?。株価が下がるって事はそういう事なのかな。政策金利FFレートの引き上げは短期金利の上昇に即つながるって事は分かった。元々債権の金利が高ければ、株式投資のリターンリスクを嫌って確定利率の債券市場に資金が流れるのも分かってるよね。投資資金の行き先を決める為の関数が、長短関係なしの金利なんじゃないのかな? なんか分かったようで、はっきりとは分からないんだよね。
とにかく大きく負けてま~す・・苦笑いして終わろうかな。
サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。