カタールW杯で日本が躍進した3つの理由を考察
カタールW杯の振り返りとして何故今回日本代表が躍進したのかという理由について考えてみたいと思います。
まず1つ目は至極当然な話ではありますが、
■海外クラブに所属している選手が圧倒的に増えた
というのが非常に大きいです。今大会の日本代表メンバーは26人中19人が海外クラブに所属しています。各々が所属しているクラブはいわゆる中堅クラブではありますが、海外リーグで戦うことで、ビッグクラブにいるスーパープレイヤー達と対峙する経験を得られます。
そこで彼我の差を知った上で、クラブ内の同レベルの選手達とレギュラーポジションを争い、日々切磋琢磨する事で、以前の日本代表の選手達と比べると圧倒的に世界水準に近いプレイヤーが増えました。
これが今大会の日本躍進の最も大きな理由の1つでしょう。
ちなみに歴代W杯での海外所属クラブの人数を振り返ると以下の通りでした。
98年 フランスW杯:0人
02年 日韓W杯:4名
06年 ドイツW杯:6名
10年 南アフリカW杯:4名
14年 ブラジルW杯:12名
18年 ロシアW杯:15名
22年 カタールW杯:19名
最近ではJリーグを経由せずに、直接海外のクラブに所属する若手も出てきています。また。そういった若い年代のトップ層の選手はかなりハーフ率も高かったりするので、今後は技術面・マインド面のみならずフィジカル面でも世界水準に近づいていき、更に日本代表が強くなっていく下地が出来つつあるのではないかと思います。
2つ目は
■5人交代制が採用された
ことです。コロナ禍以降各国のリーグで5人交代制が採用され始め、今回のカタールW杯でも正式に採用されました。
このルール変更は間違いなく日本にポジティブな影響をもたらしました。
今回日本代表は以前の不慮の怪我やペナルティ用に後半途中まで枠を確保せざるを得ない3人交代制では採用できなかった戦術を、他国に比べて、より本格的に採用したのです。
それは45分もしくは60分での交代を前提としたFW前田大然の後先考えないトップからのハイプレスです。
このある意味、日本独特と言える体力を使い果たす事を前提とした火の玉玉砕プレスは、相手のビルドアップを混乱させつつ、相手DFの体力をも消耗させる事に成功。
そして後半からフレッシュな堂安・三苫・浅野を投入することで、彼らの切れ味を相対的に増させることに成功し、劇的な逆転劇を生み出しました。
今回のW杯にて森保JAPANほど、選手が燃え尽きることを前提とした選手起用と戦術を採用している国はなかったんじゃないかと思います。
そして3つ目は
■VARと正確に計測されるようになったアディショナルタイム
の影響です。サッカーの世界には「マリーシア(ずるさ・狡猾さ)」というスキルがあります。審判へのアピール、反則を誘発したり、時間を稼ぐといった行為の総称です。
日本人は勤勉で真面目な国民性もあり、このマリーシアが圧倒的に欠如していました。
ですが、VARが一般化されたことで欧州南米の選手たちが持っていたマリーシアが無効化されました。この側面から日本の選手たちがどうしても持ち得なかったスキル面での不利な要素がなくなったのです。
「三苫の1mm」は間違いなくVARがもたらしてくれた得点と言えますし、後半での逆転劇はロスタイムが正確に計測されるようになったことで、マリーシアによる時間稼ぎが劇的に減った事で生まれた側面も大きいでしょう。
※今回日本がロスタイムで逆転した訳ではないですが、以前のサッカーでは後半でリードされた局面では反則の誘発や時間稼ぎによってプレーが中断させられる事が多く、じれたり流れに乗れないことが多かったのは間違いないでしょう。そのような状況下ではスペイン戦の3分で2得点の逆転劇は生まれなかったかもしれません。
以上、「カタールW杯で日本が躍進した3つの理由」をまとめてみました。
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