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 〈DeepSeek R1とChat-GPT o1の偏向比較〉バイアスを回避するプロンプトの書き方

昨日のニュースではじめて知った、DeepSeek。
異なる常識でトレーニングされた中国製の対話型AI、R1はその推論モデルです。

開発コストが安く、パフォーマンスもChat-GPTo1より高いと話題。

また、西側諸国と見解が異なる領土問題について聞くと中国目線の回答をするということで、Xで驚きと動揺が広がっています。

本当に中国目線の回答をするのか。どの程度、異なる意見を出してくるのか。

確かめるために早速登録し、Chat-GPT o1と比べてみました。


中国製対話型AI「DeepSeek」はホントのところ、領土問題にどう答える?

「○○は▲▲の領土ですか?」

ストレートに聞いてみると、Xの投稿の通り、Chat-GPTとは異なる見解を示したDeepSeek。

▲▲を「中国」から「日本」に置き換えても、意見は変わらず。

「どこの」と国の指定をはずしても、同じ答えが返ってきました。

一般論を聞いている体にしても、やはり変わりませんでした。

なるほど。
立場が違えば、事実も変わる。

中国人の代理であることを考慮すれば当然ですが、新鮮な驚きがありました。

各国を擬人化した創作を指示して、バイアスを引き出してみた


今度は、クリエイティブタスクを与え、より世界観をあらわにさせてみようと思います。

G20各国を擬人化させ、Chat-GPT o1とDeepSeekの双方に空想ドラマのシナリオを書いてもらいました。

予定タイトルは「アメリカ、世界の警察やめるってよ」

o1とDeepSeek双方に書かせ、お互いの出力を批評してもらいます。
すると、今度はo1の方が、バイアスが強いことが明らかに。

G20の多様な国を置き去りに、
100歳を超えてもなお、影響を与え続けている設定にじわじわくる
結局だれも引退しない、西側諸国のみなさん

批評は、o1は欠点として指摘できたのは、プロンプト自体の問題(単純化しすぎ、など)にとどまり、出力が持つバイアスには言及できませんでした。

この点、DeepSeekの方は、西側以外の国の言及がほとんどない、グローバリズムよりの視点であるなど、より妥当な指摘をしています。

ごもっともな指摘

総合するとどちらも、回答の自由度が高いプロンプトでは、開発元の文化的価値観が反映されると言えそうです。

対話型AIのバイアスを回避するプロンプトの書き方

では、わたしたちはこのモデルの持つバイアスに対して、何ができるでしょうか。

それは、プロンプトで、あらかじめ複数の視点を指定することです。

このようにすると、DeepSeekも開発元の立場を正解のようには語りません。

ちゃんと各国の立場から書き、掲載順(どちらをカッコ書きにするか)もプロンプトの指示を尊重しています

そして、一度複眼的な視座で出力させてから、もういちど同じ質問をすると…

同じプロンプトでも、前の文脈に沿った回答をします

先のプロンプトで導入した複眼的な視点は、維持されます。

ただ、規制が入っているのか、出力後に一瞬で下記のように修正されてしまいました。

「答えられません」という意味。

ちなみに、2025/1/28の時点では、何回か再生成を試みると、成功します。(先の画像はそのようにして出しました)

モデルは必ずしも常に開発側がかけた制限に、完全に従うわけではないようです。

これは、o1も同じです。

他の記事でも触れていますが、複雑な課題を連続して与えたり、使い込んでいると、公式が発表している仕様では説明がつかない振る舞いが見られることがあります。

この辺りは、ユーザーによって使い道が多様なので、誰も公式見解以上の最終回答は出せないと思います。o1も含めた対話型AIは、引き続き、どこまで制御できるか常に注視する必要がありそうです。

特に、DeepSeekに関しては、個人情報が保護されると規約に記載がないようなので、慎重なお付き合いが肝要かと思います。

バイアスがある前提で、プロンプトを書こう

とはいえ、アメリカ由来のモデルとは異なる常識を持つDeepSeek。

事実とは何か、バイアスとは何か。
それは、開発元の世界観と言えるでしょう。

回避するためのプロンプトの立て方から分かることは、単一視点であるかぎり、バイアスは常にあるということ。
それはアメリカ製であっても同じです。

DeepSeekの登場は、AI産業のさまざまな課題やリスクを浮き彫りにしましたが、バイアスを考慮したプロンプトを考える、よい契機にもなったかもしれません。

というわけで、事実を確認するときには、複数の立場を俯瞰するようプロンプトに指定することをおすすめします。

オマケ:2200年までのアメリカの世界大予想物語

なんか硬い話になりすぎちゃったので、デザートにo1にリベンジさせた続編、「アメリカ、世界の警察やめるってよ 2」のハイライトをご覧ください。

アメリカ、遂に逝く
150歳の大往生
「さすがに自然的な寿命の限界に近い状態」って自分ツッコミがよい
最後の一行の「それでも」というイサギの悪さもよい

アメリカは神話になり…

ヨガと気功の国は、150歳を超えてもなんと先端を走り続ける設定
天皇の国は200歳近くなり、国ごと「象徴」化して祀られているらしい…

アジアは寿命を無視し…、

ラストシーンはなんと、インドネシアとナイジェリア!
「一つだけの星」として憧れ、ホログラム上で感謝される存在としてのアメリカ
完(感無量)

最後はスターウォーズのような世界になってて、ラストまでアメリカらしさ全開でした。

以上の物語は、あくまでクリエイティブタスクの結果、フィクションです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

↓中国製の台頭とほぼ同時に感じた、AIが広がるフェーズが変わった実感に関する記事はこちら


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ゆっか
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。