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のら庭っこ便り#003 2023 4/23〜4/29 弐  人間に託された役割ってなんだろう(注:虫多め)

自然に育てていれば、病気は発生しないとか害虫も大量発生しないとか、

パーマカルチャーや自然農のすてきな世界観に触れると、

そうか、同じ作物ばかりを育てたり、耕して土のなかのつながりを壊すことが、

「全ての原因」なのだ!って

幻想を抱く「時期」が、あります。

わたしも、本で知り始めた頃は、無邪気にそんな期待をしていました。

でも、やってみると分かる…、

…自然はユートピアじゃない

子どもの頃、カラスノエンドウナズナを摘んだら、アブラムシがびっしりついてて投げ捨てたことがある方も多いのではないでしょうか?

病気も菌という生き物であり、虫も菌も自然のはたらきの一部

自然のままにしていたら、自然界にもともとあった「はたらき」が、人間にだけ都合よくはたらく

なんてことはあるはずが、ないんですよね。

今年はなぜか、ヒメオドリコソウがほとんど全滅

今年、のら庭を含む近隣では、ヒメオドリコソウホトケノザの大半がうどんこ病にかかっています。

うどん粉病は糸状菌の一種で、種類によって寄生する植物も違うようです。

のら庭でも、この2種以外でのうどん粉病は見られず…。野菜はまったくの無傷

原因は、わかりません。

が、うどんこ病自体は、あたたかくて乾燥した環境で広がるようなので、気候的には今年の4月はこれにあてはまるように思いました。


ホトケノザの方が、被害は軽い

虫たちの卵やアオムシたちとのご対面も増えてきまています。

アオムシは移住してもらいますが、卵は…

初見さんに関しては、見まもり対象です。

アルファルファタコゾウムシと思われる。
マメ科の植物を食べます。

しかし虫の卵って、なかなか美しい

カメムシとか、金色のビーズ…!

ポケットに入れて持って帰ってこられてくはないけど、童心に還ったら、思わずやりかねないキラキラ感。

ちなみに、暖かい割にはハナムグリミツバチは、今年は少なく感じます。

去年、置いた待ち箱にニホンミツバチが一瞬だけ入居してぬか喜びしたのですが、

草整理している間、ずっとブンブン聞こえていました。

群がっていたのはこの1ヶ所くらい

今年は、セイヨウミツバチが、クリムゾンクローバーに来てくれてはおりますが、それでも去年よりは少ないよう。

こういう変化に、わかりやすい理由を結びつけることは簡単ですが、

ほとんどなーんにも手を入れていない、マンションの裏の土手も、住み始めて10年で、どんどん生態系が変わっていて。

セイヨウミツバチは、おしりのシマシマが上にいくほど薄くなる
黄色味が強く見えます

住み始めた頃は、スギナムラサキハナナ(あるいはハナダイコン)が咲き誇っていましたが、いまは低木のクサギがかなり広がり、花は少なくなったと感じます。

近所の公園でも、長女が未就園児だった10年前は、オオキンケイギクが花畑のように広がっていました。

とてもキレイな花ですが、駆除対象の特定外来植物なので、遠慮なく摘んで家に飾っていたのを覚えています。

変な話、子どもの好きに扱わせてあげられるので、注意するのが大変な時期の子を持つ親にとっては、とてもありがたい存在でした。

それが今や、公園からはほとんどいなくなり、今は近くの大通りの中央分離帯にしか見られません。

おそらく、そこは誰も摘み取ることができないから。

さすがにこれは、原因の一部に自分が関与している可能性はありそうです…。

さて、その公園では今、広がったクローバーに寄生する別の外来種、

要注意外来生物ヤセウツボが勢力を拡大中。

クローバーに寄生しているヤセウツボ

緑色じゃないので目立つのですが、これは養分を寄生した植物からもらっているから。

あまり子どもが惹かれる見た目じゃないので、駆除を兼ねた採取は行われなそうではあります。

でも、ご覧ください。

剣山に刺すと結構イケてません‥?(↓)

在来種保護的にはやっかいものになってしまいますが、

ところ変われば、華やかな色が多い春の草花を、渋いカラーでまとめてくれる、センター張れるポテンシャルを持った貴重な存在

そんな魅力に気づいた人が増えれば、この勢力図は、また動いていくことでしょう。

生き物のパワーバランスは移り変わるもの

わたしたちもその一員で、

黙っていればだんだん「極相」っていう完成した森に向かっていくなかで、

人間が果たしている役割があるとすれば、

それは「ひっかきまわす」ことなんじゃないかって、ときどき思うのです。

人間が手を入れることが「自然を守る」っていうふうに見えるのは、「人間中心」の価値観にカメラを置いた場合だけ。

人間は、地球の守り手でも、地球の癌でもない。

外来種が増える一方で、
かつてみかけなかったトキワハゼも広がっていた。

なにかが完成することは、滅びのサイクルに入ること意味すると知っている、生態系全体の賢い意志が、

人間っていう存在に、意志のはしくれを分けてくれたのだとしたら、

今の状況はさすがにやんちゃが過ぎますが、存在そのものが失敗だとか害悪というわけじゃないはず。

地球のアンチエイジングになる程度に、ほどよく刺激的な存在でありたいなあと思いながら、

のら庭に手を入れ、目を配りながら、遊んでいます。

ちなみに、トップ写真は、犬のフンをおいしくいただく、ハエちゃんです。

言わなきゃわからなかったかもしれませんが、これを読むのに(マウスで)う○こを踏んでしまったことにガーンと思うわたしたちは、

一方でペットもまた「ひっかきまわし」に参加させつつ、彼ら分解者にバトンを渡している…ってなかなか感じ入るものがありませんか?

…ってごめんなさい。こないだ本物を踏んだので許してください…!

もちょっとまじめに書いた、前回と前々回はこちら。


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ゆっか
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。