Gemini1.5 proのDeep Researchと巡る、「自分探し」の冒険
1ヶ月無料という案内に背中を押され、GeminiのAdvancedプランにアップグレードしました。
Gemini1.5 proのDeep Researchをお試し
まずは一般論の煮込み料理をどうぞ
自分の関心領域を、まずは試しと「可能な限り網羅せよ!」とドキュメントを作りまくってみたのですが、もともと興味ある分野の資料をざっくりつくってもらったところでは、どこかで見た「一般論まとめ」レベル。
10サイト検索だろうが、300サイト検索だろうが、適切なドキュメントサイズまで煮込まれてしまうので、結局一般論(出汁ガラ)になる仕様のようです。
初めての分野の学習の見取り図として、あるいは自分には慣れた分野を人に伝える際の抜け漏れチェックリストにはよいかもしれません。
でも、これじゃあ大して面白くもありませんよね。ソースとして収集できるサイト量が増えただけです。
どうせなら、「ドキュメントまで作る」という個性をもっと活かして遊びたいところ。
そうだ、エゴサをしよう。
エゴサをして、自分の自己紹介資料を作ってもらうのです。
それは、AI時代のあたらしい自分探しの地図。なんだかワクワクしてきたところで、出発です。
ほぼ無名な人物をGeminiにエゴサさせた結果
資料のタイトル
タスクを投げて数分後、リサーチが完了し、ドキュメントが完成しました。
指示した覚えのない、壮大なタイトルが目に飛び込んできます。
「フォトグラファーゆっかのすべて」
ライターもやってるんですけど、タイトルに反映されないのは情報量のせいでしょうか。
ライターとしては無記名記事が大半なので、当然ながら全く拾われてません。フォトグラファーとしては、名前付きで寄稿している記事もあるので、閉鎖したメディアもあれど、絶対量は写真が上。
ウェブにない=存在しない世界線が、ここにあります。
プロフィール
プロフィールの項では、どこかのサイトに記事を載せる際に提出した覚えのある文章と再会。
単なる事実を、あたかも仮説のように語るスタイルにGeminiらしさが光ります。
エビデンスある仮説は、エビデンスのない定説に似た生ぬるさがあって味わい深いです。
写真作品の特徴
作品の特徴の項では、「子どもが地面に寝転がって空を見上げている写真」や「水たまりで遊んでいる写真」など、どこかにあったかもしれないけど、どこにでもありそうな表現に、ちゃんと見ていないであろう疑いが否めません。
(↑ここのどっかにあったっけな…?)
また、ゆっか氏(自分)は、作品の主題として子ども写真を卒業してからすでに4年以上経過しています。なのに、あたかもいまだに撮っているような口ぶり。
データを煮詰めると、時間的変化は失われる様が浮き彫りになりました。
たしかに、写真展や賞、写真作家として記録がある時期の主題は子どもです。虫と庭(畑)を主題にしてからは、まだSNSでしか発信していないので、収集されているはずの情報は、溶けて消えてしまったのでしょう。
(↑固定された記事も溶けた)
公式のサイトでもnoteでも目立つところに掲載している写真とコーチングを結びつけた要素も完全に無視されています。
情報量が相対的に少ないものはないものとして扱う。
特に支持しない場合、情報の新しさよりも量が重視される。
これは、Geminiのリサーチのひとつの傾向といえるかもしれません。
社会における影響力
反対に、捏造された情報もあります。
それが、「社会における影響力」です。
はっきり申し上げて、そんなものはございません。
ここは明確にエビデンスに基づき、否定しなければならないところ。そもそもないなら立項してはいけません。
なんというハルシネーション。なんとクリシェな持ち上げ方。
ちなみにわたしは、その人物が自分だとは伝えていません。つまり、忖度ではなくナチュラルにやっちまっています。
言っていません。
似たようなことは言ったかもしれないけれども。
そんな、クサい言い回しをした覚えはござません。
共感された、覚えはありません。
週一以下の更新頻度ですし、スパム以外のコメントはほとんどつきません。
Geminiさん、その共感と感動は一体どこで見つけたんでしょうか?
今後の展望
極め付けは、今後の展望です。
完全にガセです。断定されている情報も含め、根も葉もございません。
さあ、Geminiのハルシネーションが波に乗ってきました。
真面目な用途であれば、面白がっている場合ではありませんが、これはお遊び。どんどんガセネタをインストールしていきましょう。
作品への影響
作品への影響の分析は、どうしてこうなったのかがまるでわかりません。
察するに、ゆっか氏は現在60代の年齢だと推測されたのではないでしょうか。一体誰と混じってしまったのか、気になるところです。
とりあえず、視聴することで自分のルーツを辿れるかもしれないので、アマプラでお気に入り登録しました。
地域活動
地域活動では、もう冒頭で書いた内容を忘れてしまったのでしょうか。
プロフィールで、「神奈川県と東京都の県境を拠点に活動」と書いたのに、活動拠点は十勝という、時空の穴の存在が疑われる記述が登場。
ゆっか氏の作品が生まれた背景を考える上で「重要な要素」と言い切っているので、わたしは一刻も早く十勝に行ったほうがいいのかもしれません。
十勝も行きたい旅行先リストに、追加決定です。
作品への評価と批評
作品への評価と批評でGeminiは、デマを自らデマだと証明する高度な技を披露しています。
「子どもの成長を記録することの大切さを再認識させられた」という声が多数寄せられていると言った直後、「具体的な情報は見つかりませんでした」と、自分ツッコミ。M-1にLLM部門があるなら、優勝候補となったことでしょう。
人間業では到達できない、この芸風。
その技巧は、次項で頂点に達します。
関連情報
無名な人物の関連情報を探そうとすると、何が見つかるでしょうか。
それは、「楽」で「お金がかからない」暮らしの情報です。
著名人なら、書ききれないほどのリンクが集まるであろうこの項のトップを飾る暮らしの情報は、この人物が面倒くさがりやの庶民であることをスマートに示す、Geminiのエレガンスの現れでしょう。
京都の伝統も凌ぐ上品なアイロニーに、心が鷲掴みにされました(握りつぶされかけています)。
結論
Geminiは、結論と今後の課題としてどんな情報を収集すべきかを添えて資料を結びます。
高い評価
活躍
長けている
一線を画す
個性的な作風
人間味あふれる
注目が集まる
これらの単語がこれほどまでに空っぽだと気付かされた瞬間があるでしょうか。
言葉を集める魔術師Gemini1.5 proと巡る、自分探しの冒険の果てに手に入れたのは、言葉の無意味さ、でした。
ほぼ無名の人物のエゴサ資料から見えてきたこと
かのホリエモンは、どこかの動画で自分の著作などのデータをAIに読みこませれば、自分みたいなことを勝手に言ってくれるので、もう自分が仕事する必要がないと言っていました。
かの落合陽一も、どこかの動画でAIをエゴサして、たくさんの情報をそれなりに正確に収集するのを見て感心していました。
すでにウェブ上に大量の情報がある、有名な人物について、AIはおそらくある程度正しい情報を集めることができます。
一方で今回試したように、ほぼ無名の人物の場合、似た名前の別の人物と情報が混ざり、資料としての網羅性を確保するために情報を勝手に加え、ありえないデータを捏造してしまいます。
これをどう捉えるかは、視点によって変わるでしょう。
視点によって変わるメリットとデメリット
採用担当者がGemini1.5 proのDeep Researchで応募者をリサーチしてある程度ふるいにかける場合、似た名前の犯罪者と混同されたりすることで、知らないうちにリスク材料として扱われる可能性があります。
反対に、Web上ではこれが自分の功績かのように扱われるのかと、その捏造された経歴を自分のものとしてPRすることもできるでしょう。
ウェブ上に自分の情報をたくさん蓄積されればするほど存在感は高まり、自分が手を動かす必要はなくなり、名義貸しレベルの軽作業で実益が得られるかもしれません。
反対に、ウェブ上に散逸した情報が素材として再生成され続けることで、固有の視点はあっという間に一般論に統合され、もはや自分が他者にもたらす印象の主導権も失うかもしれません。
だから、具体的に生きよう
メリットとデメリットをこうして並べると、ウェブに情報は載せないほうがいいの?と潜在的なリスクに怖くなり、何かをさらに確かめたくなるのは人情です。
けれども、この葛藤に答えはあるのでしょうか。
わたしは、ここらでPCを閉じて行動を始めるしかない、と思いました。
視点は無限に取れるけど、選べる具体的な行動はその瞬間においてたったひとつ。
その具体的な行動が何かが発生するまでは何もわからないし、わかるのもその行動に現れる側面だけです。
いくら言葉を尽くそうが、それを発生させるまで確認したい事実はないのです。
Gemini1.5 proのDeep Researchが教えてくれたこと
ちょっとした遊び心でやってみたエゴサ。
無名であるほど味わい深い、おもしろ回答が刺激的でした。
刺激を受けた結果、捏造された自分に「具体的に動けよ」と背中を押してもらい、Geminiさんの貢献には、感謝しかございません。
というわけで年末年始、話のネタの占いがわりにあなたも遊んでみてはいかがでしょうか?
まだ気づいていない(関係ない)あなたのルーツや、言った覚えのない名言と出会えるかもしれませんよ。