見出し画像

デザインポートフォリオをより良くするポイント | ネオモルフ デザインアカデミ

こんにちは、アートディレクターの松元駿です。


クリエイターにとって、ポートフォリオは必須の営業ツール。
僕も毎年自分のポートフォリオをアップデートしています。

今ではクライアントにポートフォリオを見せるだけでなく、外注先クリエイターのポートフォリオを見せてもらう機会も多くなりました。


今回はそんな僕だからこそ話せる『伝わりやすいデザインポートフォリオのコツ』をお教えします!

デザイナーとして仕事は受けているけど、なんとなくポートフォリオを作ってしまっていた方必見です!




デザインポートフォリオの必須項目


では早速、ポートフォリオに記載してほしい最低限の情報をご紹介します!


クライアントや転職先があなたのポートフォリオを丁寧に見てくれるとは限りません。

ザッピングされても雰囲気が伝わるくらい、見る側のことを配慮し、簡潔にわかりやすく見せられるようにしましょう。


「ポートフォリオ全体の印象から興味を持ってもらえてはじめて細部を見てもらえる。」

それぐらいの感覚で作るべきものだと考えています。



1. 自己紹介


まずは自分のことを知ってもらわなければいけません。
自己紹介には次のような情報を載せましょう。


  • 名前(フルネーム、読み仮名も併記)

  • 生年月日

  • 顔写真(顔写真があると印象に残りやすい)

  • 最終学歴、職務経歴

  • スキルセット・資格(クリエイティブ以外も可)

  • 使用可能ツール(Illustrator、Photoshopなど職種に応じて記載)

  • 趣味や活動、特技(サーフィンの話をして面接官と仲良くなった経験があります 笑)

  • 連絡先

  • InstagramなどのSNS(プライベートな内容が多ければ不要)


簡潔に書くことが重要で、箇条書きでも構いません。
長い文章にしてしまうと読んでもらえないことも。



2. 作品紹介


ポートフォリオの主役である作品紹介。

作品をただ並べるのではなく、

「クライアントが求める情報は何か?」
「どんな作品をメインにアピールするか」

戦略的に構成を考えたうえで、見せ方を工夫しましょう。



= 必須要素 =


作品画像

高画質で見やすい画像を用意します。
デザインデータを載せるのではなく、合成でも良いので実用例を見せたほうが効果的です。



写真集をデザインするような感覚でレイアウトの綺麗さにも注視してください。

好きな写真集や雑誌のレイアウトをまねるのも効果的です。

「写真の幅を統一させる」「余白は一定に」など、見た目にルールを設けると綺麗にまとまります。




作品概要


作品タイトル、プロジェクト名、役割(デザイナー、アートディレクター)など。

上の画像のようにキャプションの位置も一定にすると、見る側は情報を探すために苦労しません。

一定のレイアウトルールは見栄えも良くしてくれるので、載せる情報の文字サイズや書体、行間は使い回すべきです。



= 追加要素 =


僕のポートフォーリオのキャプションとしては記載していませんが、以下のような内容もおすすめです。

しかし、情報量が多くなればその分レイアウトもごちゃごちゃした印象になっていくもの。

掲載するならレイアウトの腕の見せ所です!


どうすれば美しく、そして読みやすく掲載できるか挑戦してみてください。


  • 作品のコンセプトや見どころ

  • 作品制作時のこだわりポイントやエピソード

  • 納品後の成果や効果



= おすすめ要素 =


有名企業の経験があればロゴ一覧を入れておきましょう。

「こんな有名な会社と仕事しているのか!」とあなたの信頼度が一気に上がります。


目安として、一部上場企業や認知度の高い企業やブランドを5つ以上経験していれば記載しはじめてみてください。




ポートフォリオの作成時に注意すべきこと


ここからはポートフォリオを作成する上で注意するべきことをお教えします。

『自己満足の作品集』にならないように以下の点について考えてみましょう。


相手がみたいであろう作品はなにか?


相手が求めているデザインをまずは見せるようにしましょう。


例えばロゴ案件であれば、ページの順番はロゴから始まるべきです。

「ロゴデザインを頼みたいのに、この人はバナーしか作っていないのかな?」不安にさせてしまうことも。


印刷物やPDFなら、ページの入れ替えを柔軟にできるようなデザインや構成にしておくと便利です。



作品のバランスで仕事をコントロールする


あなたが目指すクリエイター像はどのようなものでしょうか?


例えば僕の場合はブランディングが特に好きで、ウェブデザインやバナーの仕事も受注しますが、率先して取りにはいきません。

そんな僕のポートフォリオは『自分が理想とする仕事』や『やっていて楽しい分野の作品』を多めに載せています。


ブランディングを多めに乗せている
ウェブやバナーは最低限


ウェブやバナーに関しては

「もちろんできますよ?」

器用さをアピールする程度しか載せておらず、その内容も特に気に入っているもののみ。


バランスで言えば2割程度しか記載せず、残りは全て自分が今後たくさん受注したいジャンルの作品ばかりです。


「この人はこのジャンルが得意で経験豊富なんだ!」と思ってもらえるように、自分が受けたいジャンルの案件がより多く受注できるような構成にしてみましょう!



クリエイターとしてのブランディング


まず前提として、レイアウトを綺麗に見やすくしなければデザインが下手だと思われてしまいます。

自分が持っているエディトリアルデザインの知識と技術を総動員して、どんなクライアントワークよりも丁寧にデザインしましょう。


それを踏まえた上で、自分の印象をポートフォリオのデザインで作っていく必要があります。


  • ポップな仕事をしたければ、楽しげな印象に。

  • スタイリッシュな仕事をしたければ、クールな印象に。


あなたの仕事柄は作品画像からだけでなく、ポートフォリオ全体の印象からも伝わり、結果的にお願いされる仕事のジャンルが変わってきます。


ポートフォリオであなた自身の印象を操作して、セルフブランディングしていきましょう!




アップデートし続ける


クリエイターは日々の忙しさに忙殺されがちですが、時間を作って常にポートフォリオを最新に保つようにしましょう!


目安は半年〜1年でアップデートしていき、毎回全ての作品を選抜しなおして、よりクオリティーの高いポートフォリオにしていきます。

作品数が多すぎても見づらいですし、自信のないものをいつまでも載せていても仕方がありません。


最強のチームを作るつもりで、自分の作品の一軍を強化していきましょう。


ちなみに作品数の目安ですが、僕のポートフォリオは見開き25ページ程度にしています。




ポートフォリオは紙?ウェブ?


そもそもポートフォリオをどのような形状で見せるかも考えなければいけません。


僕の場合は印刷かPDFで見開きで見てもらうことを前提としたレイアウトにしていてます。

PDFなら作品の入れ替えやページ順はすぐに変更できますし、印刷の場合でもA4タテで印刷してクライアントに適した順番に並び替え、ファイリングしています。


形に正解があるわけではなく、人によってははウェブサイトであったり、インスタが最適解の場合だってあります。


  • クライアントが見やすい形は?

  • 自分の使い勝手と編集のしやすい形は?

  • セルフブランディングに適した媒体は?


さまざまなことを天秤にかけて自分に合ったレイアウトや媒体を決めてください。



業種ごとのおすすめ媒体


あくまで僕が好感を持てるポートフォリオの指標ですが、イチ参考として業種ごとに僕が求めているポートフォリオの形状と掲載作品のポイントをまとめてみました!


昨今では「作品をオンラインで送ってください」と言われることも多いので、印刷物優先ならPDFも必ず用意しておきましょう。

ウェブサイトやポートフォリオプラットフォームを利用するならカテゴリ分けをしっかりしておくのがおすすめです。



【グラフィックデザイナー】


優先順位

  1. 印刷

  2. PDF

  3. ウェブサイト

  4. ポートフォリオ プラットフォーム

  5. SNS


紙(素材)にこだわって印刷好きをアピールすれば、こだわりを持って仕事をしてくれる印象を与えることができます。

ウェブサイトを作成する知識があれば独自サイトを、なければAdobe PortfolioやBehance、WIXを使用してオンライン上にも作品を残しておきます。


アートディレクターからの目線
ポートフォリオのレイアウトをエディトリアル(誌面)デザインの技量としてもチェックしています。 グリッドシステムを利用するなどして、美しい見た目と見やすさを両立しましょう。




【ウェブデザイナー】


優先順位

  1. ウェブサイト

  2. ポートフォリオ プラットフォーム

  3. SNS

  4. PDF

  5. 印刷


ウェブデザインを印刷物で見せるには限界があるため、ポートフォリオ用のウェブサイトを作成しましょう。

見やすさとアニメーションの両立で器用さをアピールしてください。


アートディレクターからの目線
プログラミング技術が高くても基礎的なデザイン力の低いウェブデザイナーが目立ちます。 ウェブデザイナーも基礎はグラフィックデザイン。 ウェブデザインの技術面だけをアピールするサイトでは不十分で、グラフィックの基礎知識があるウェブデザイナーかをチェックしています。




【フォトグラファー】


優先順位

  1. ポートフォリオ プラットフォーム

  2. SNS

  3. ウェブサイト

  4. PDF

  5. 印刷


優先順位はウェブ媒体ですが、対人においては印刷にこだわった写真集を用意しておくととても強いです。

以前仕事した方で、名刺が小さなフォトブックになっていたカメラマンさんのアイデアは面白かったですね。


アートディレクターからの目線
お洒落な風景写真が撮れる(だけの)人にはあまり興味がなく、『物撮り(ライティング技術)→ポートレート(表情を引き出す技術)→アート作品としての写真』の順に重要視しています。 またインスタグラムの運用がとても大切です。 インスタグラムのフォロワーが多いフォトグラファーは、アートディレクターからクライアントにお薦めするときにとても強い判断基準になります。



【動画クリエイター】


優先順位

  1. 動画サイト

  2. SNS

  3. ポートフォリオ プラットフォーム

  4. ウェブサイト


リール(作品を5秒程度にして詰め合わせ動画)を作成してYoutubeやVimeo上に用意しておきましょう。

動画プラットフォーム上でプレイリストとして過去の制作物をまとめるだけでも良いですが、SNSやAdobe PortfolioやBehanceのようなプラットフォーム、独自のウェブサイトなどを利用してカテゴリーごとに見やすく整理しておくこともおすすめです。


モーショングラフィッカーのリール例


アートディレクターからの目線
お洒落な編集技術だけでなく、意図した動画の構成になっているかを見ています。 ウェブ広告で制作する動画はブランディングよりも広報目的で作られるものが多いため、メッセージを伝えるための構成や編集技術に着目しています。



【イラストレーター】


優先順位

  1. SNS

  2. ポートフォリオ プラットフォーム

  3. ウェブサイト

  4. PDF

  5. 印刷


ファン向けのものではないので作品集にならないように注意してください。

画集ではなく事例集として、どのような場面で使われていたかまでを見せると理想的です。

絵だけを載せるのではなく、ポスターとして貼られている写真や、掲載されているウェブサイトのスクリーンショットが効果的です。


アートディレクターからの目線
個性が強いイラストレーターはアーティストとしての人気が出てからの大器晩成型。 指示したものを描いてくれる商業イラストレーターを頻繁に探しているアートディレクターからすると、さまざまな画風が描ける器用さと柔軟性を見ていることが多いです。




おすすめのポートフォリオ プラットフォーム


まずはBehanceというウェブプラットフォームがおすすめ。

Adobeが買収したことにより、Adobe Portfolioとリンクして使用することもできます。


Behance

Adobe Portfolioは簡単に自分のポートフォリオサイトを作成できるサービスで、Adobe CCに契約していれば追加費用なしで利用できるサービスです。



まずはBehanceで作品を整理し、それを元にAdobe Portfolioでウェブサイトを簡易構築するのがおすすめです!



最後に


ポートフォリオはクリエイターにとって必須の営業ツールです。

クライアントだけでなくプロデューサーやアートディレクターが見ることも多いものなので、デザインや見せ方に徹底的にこだわって作成してみましょう!


ポイントは、

  • 見る側の気持ちになって作成すること

  • 見た目のクオリティーが高いこと

  • 自分の受けたい分野を目立たせること

  • セルフブランディングを意識すること

  • 業種に合った媒体で作成すること


クライアントのパンフレットを作る気持ちになって、どうしたら自分を売り込みやすいか戦略的に構成を考えてみましょう!


定期購読マガジンでデザインが誰でもできるようになる知識を毎週投稿しています。内容の濃いnoteを執筆していきますのでフォローやシェア、サポートを宜しくお願いします!インスタグラム(@neomorph.jp)でも無料の知識を公開しているのでチェックしてみてください!