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「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」雑感

21_21 DESIGN SIGHTで開催中の表題の展示を見てきました。

クリスト氏の作品は直にはみたことがないけれど、水面を歩けるようにした作品「フローティング・ピアーズ」や、でかい構造物を包むような作品は見覚えがあるな…と思ってあとから調べたら、同じく2121で2017年に開催していた「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」で紹介されていたアーティストだった。


今回の展示は凱旋門を文字通り“包む“プロジェクトの、構想から完成までを追っていくような展示構成になっている。

足場を組んだり、包む布を凱旋門に縛るロープを制作したりといった過程や完成時の様子を映像(でかい)で投影していて、あまり時間がなかったのでさっとしかみれていないが、入口では全部をちゃんと見ると2時間以上かかる旨の注意があった。

完成お披露目の映像は大迫力

たまたま近くに用事があったついでで寄ったので、前情報なしで、それどころか誰のどんな展示なのかも知らずに行ってしまった。
見ている間はなんかスケールのでかいアートだな〜いろんな人が関わってんだな〜お金かかりそうだな〜とか思いながら見ていた。

あとから結局あれはなんだったんだ?となって調べたのだが、作者のクリスト氏はこのプロジェクト完成前に亡くなってしまったこと、プロジェクトは政府のお金などに頼らずにこれまでの作品の一部を売ったりして、自分達で調達していること、いつも作品制作にあたっての場所の確保の交渉も自分達で行っていること…等がわかった。

アイディアを形にする力が強すぎる。根気がすごい。

ものすごい時間とお金と労力がかかるのに、数日〜数週間しか作品を見ることができないというのもかっこいい。
作者が完成を見られなかったというのはとても残念だ。これもコロナで完成が遅れたせいだというのだからやるせないな。

展示室では凱旋門の模型があったり、広い空間で大きな壁面に映像を投影していたり、実際に凱旋門にかけられた布とロープを模した間仕切りがあったり、プロジェクトに関わる大勢の人の写真パネルや凱旋門を保護する構造物の図面が壁一面にプリントされていたりした。

かなり映像に重きを置いた展示なので、普通の展示に比べると物量は少ない。

ひろーい空間に置かれた凱旋門の模型

きちんと前情報を持っていって、映像もきちんと見たら、数十年越しのプロジェクト完成のドラマにとても感動できるんじゃないだろうか。

個人的には映像作品の展示って、見始めるタイミングが中途半端になるからあんまり好きじゃない。パネルで解説してくれ〜っていつも思っている。

もっと作者がなんで包むアートを制作するのかの理解や、これまでのプロジェクト概覧ができる展示があるとよかったなと思う。
まあ映像をさっとしか見られなかったので、もしかしたら途中で語られていたのかもしれないけど。
いや多分あった。最初の方に。

結局なんで建物を包むのか。多くの人の注目を集めて何かを感じてもらうため?
関連書籍でも読んでみようかな。

あとはグッズショップがギャラリー3に移動していたけど、そこの内装もおしゃれだった。グッズも大変洒落ていて、使いやすそうなデザインだったのだけれど、値札が無いからいくらなのか全然分からない。
店員さんがグッズのTシャツ?をユニフォームにしていてよかった。

折り畳むと凱旋門になるTシャツ。店員さんがセットアップで着ていて可愛かった。
壁面のデザインもユニーク

会期を見たら、来年2023年2月まで(長!)とのことなので、しばらく別の展示はやらないのかな。
空間を大胆に使った展示がかっこいいので、クリストとジャンヌ=クロードの最後の作品を体感しに訪れてみては。

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