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日本を代表するSIer5社の企業理念、その共通点と違いとは?


1. 各業界の企業理念を比較する意義

企業理念とは、その企業が何のために存在し、どのような価値観や行動指針を持っているのかを示す重要なものです。いわば、その企業の「心臓部」とも言える存在で、理念がしっかりしている企業ほど、社会の中で明確な役割を果たしていると言えるでしょう。

そんな企業理念を私たちが理解することには、大きな意味があります。理念を知ることで、その企業がどんな方向性を持ち、業界全体が何を大切にしているのかが見えてきます。例えば、「この業界はイノベーションに重きを置いているのか、それとも社会課題の解決に力を注いでいるのか」など、業界の風土や文化をつかむことができます。

また、企業理念を理解することは、自分のキャリア選択にも役立ちます。「自分はこの業界や企業の価値観に合っているだろうか?」と考えるヒントになるのです。企業の理念と自分の目標や価値観が一致していれば、その企業や業界で働くことが、長期的なやりがいや満足感につながるでしょう。

そこで今回は、日本を代表するSIer業界の5大企業(アクセンチュア、NRI、NTTデータ、IBM、富士通)を取り上げ、それぞれの企業理念を比較してみます。企業理念を紐解くことで、業界のトレンドや各企業の個性を明らかにし、あなた自身のキャリアの選択肢を広げる手助けになればと思います!


2. 各業界の企業理念のまとめ

まずは、日本を代表する主要なSIer企業5社の企業理念を、表形式で簡潔にまとめました。それぞれの理念から、各社がどのような価値観や方向性を重視しているのかが見えてきます。まずは表にざっくりとまとめて、その下に具体的な説明を書いてみました。

以下では、それぞれの理念の背景や特徴を深掘りし、各社が目指している未来像を明らかにしていきます。

アクセンチュア

アクセンチュアは、「イノベーションを通じて価値を創造し、クライアントや社会の未来を形作る」ことを企業理念の核に据えています。具体的には、デジタル、クラウド、セキュリティなどの分野で最先端の技術を駆使し、顧客の成長と持続可能な社会の実現を目指しています。また、多様性と包括性(Diversity & Inclusion)を重視し、すべての人が能力を発揮できる環境づくりにも注力しています。

野村総合研究所(NRI)

NRIの企業理念は「未来創発」です。「未来を創る」という大胆な考え方のもと、ITとコンサルティングを融合させ、顧客の課題解決や社会全体の発展を支援しています。特に金融分野で強みを持ち、長期的な視点で価値を創造する姿勢が特徴です。NRIは「私たちの価値観」として、誠実さや独創性を大切にし、信頼関係を重視しています。

NTTデータ

NTTデータは、「Trusted Global Innovator」というビジョンを掲げています。この言葉には、「世界的に信頼されるイノベーターであること」という強い意志が込められています。ITを通じて新しい価値を創造し、社会の発展に貢献することを目指しています。NTTデータは、公共、医療、金融など幅広い分野でサービスを提供しており、顧客との信頼関係を何よりも大切にしています。

IBM

IBMは、「Let's put smart to work(賢さを働かせよう)」というフレーズで、技術と知識を社会課題の解決に活用する姿勢を示しています。クラウドやAIを活用した革新的なソリューションで、顧客のビジネスを変革し、社会的価値を生み出すことを目指しています。また、IBMは多様性を重要視し、社員一人ひとりが持つユニークな視点やアイデアを活かす文化を築いています。

富士通

富士通の企業理念「Fujitsu Way」は、「イノベーションによって信頼を築き、持続可能な社会を実現する」というビジョンを掲げています。この理念のもと、「挑戦」「信頼」「共感」の3つの価値観を重視し、技術革新を通じて社会課題を解決することを目指しています。国内外での広範な事業展開により、社会のさまざまなニーズに応えています。

3. 企業理念の共通点と相違点

企業理念を比較してみると、5社それぞれに特徴がある一方で、SIer業界全体として大切にしている価値観が浮かび上がってきます。これを知ることで、業界全体の姿勢や、自分に合った企業を見つけるための手がかりが得られるはずです。


3.1. 共通点

1. イノベーションの追求
どの企業も、イノベーションを通じて顧客や社会に価値を提供することを理念の中心に据えています。この「革新」という言葉、よく聞くけれど、実際にはそれをどう実現するかが難しい。例えば、アクセンチュアは最先端技術を駆使して世界中のクライアントを支援していますし、富士通は技術を使って「信頼」を築きながら持続可能な社会を目指しています。同じイノベーションでも、各社でその目指す方向性に違いがあるのが面白いですね。

2. 社会課題の解決
「企業が社会の役に立つ」なんて言葉はよく聞きますが、この業界ではそれがただのスローガンではありません。NRIが掲げる「未来創発」という言葉には、社会の課題を先取りして、それを解決するという力強い決意が感じられます。NTTデータも、「信頼されるイノベーター」として、医療や公共分野など広範な分野で貢献を続けています。

3. 信頼の重要性
NTTデータの「Trusted Global Innovator」という言葉には、信頼を基盤に事業を進めていくという姿勢がはっきりと表れています。富士通も「信頼」を重要な価値観として挙げており、これが他社と協力しながら持続可能な未来を築くための土台となっています。

4. 多様性と包括性(特にグローバル企業)
アクセンチュアやIBMは、多様性と包括性を大切にしています。アクセンチュアでは、全ての人が能力を発揮できる環境づくりを重視しており、IBMも社員一人ひとりのユニークな視点やアイデアを活かす文化を持っています。特にグローバルに事業を展開する企業では、こうした多様性が大きな強みになっているようです。


3.2. 相違点

1. 注力分野の違い 各社がどの分野に力を入れているかを見てみると、業界の中での立ち位置がよく分かります。例えば、NRIは金融分野に特化し、顧客の課題を解決するコンサルティング力が強み。一方、IBMはAIやクラウド技術を活用して、より幅広い課題解決を目指しています。また、NTTデータは医療や公共分野でのイノベーションを積極的に推進しています。

2. 企業理念の表現方法 グローバル企業と国内企業では、理念の表現スタイルにも違いが感じられます。IBMやアクセンチュアは、抽象的で広範囲に適用可能な理念を掲げています。たとえば、IBMの「Let's put smart to work」というフレーズは一見シンプルですが、「賢さを働かせる」とはどういうことかを考える余地を与えてくれます。一方、富士通の「イノベーションによる信頼と持続可能な社会の構築」は、理念がより具体的で、目指すべき社会像が明確です。

3. 社員へのフォーカス 人材育成にどの程度力を入れているかも企業ごとに違いがあります。アクセンチュアは、多様性の中で全員が能力を発揮できるような環境作りに力を注いでいます。一方で、富士通やNTTデータは、個人の成長というよりも、社会全体への貢献を前提に事業を進めている印象があります。

4. サステナビリティへの言及 富士通が「持続可能な社会の構築」を明確に掲げているのに対し、他の企業では間接的な表現に留まることが多いです。ただし、これもそれぞれの企業がカバーしている分野の違いによるものでしょう。

4. まとめ

今回、SIer業界の主要5社(アクセンチュア、NRI、NTTデータ、IBM、富士通)の企業理念を比較し、各企業の方向性や業界全体の特性を整理してみました。これを通じて、イノベーションや社会課題の解決、信頼の構築といった共通点が見えてきましたが、それぞれの企業が特化している分野やアプローチには違いがあることも分かりました。

私自身、SIer業界に大きな関心を持っており、今後もさらに業界への理解を深めたいと考えています。次回の記事では、SIer業界が具体的にどのような業務を行っているのか、またどのようなプロジェクトで社会に貢献しているのかを掘り下げてみたいと思います。

この業界の全体像を知り、自分が目指すキャリアとの接点を見つけるためにも、継続的にリサーチを進めていきたいと思います。


5. 参考文献

  1. アクセンチュア

  2. 野村総合研究所(NRI)

  3. NTTデータ

  4. IBM

  5. 富士通


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