ネオ・ディグ・モード vol.28 「シチュアシオニスト(SITUATIONIST)」
東京を拠点にフリーランスで海外ブランドのPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、気になる海外ブランドを深堀りする新連載!
私が2023年元日からvol.110まで公開した「ディグ・モード」のリニューアル版です。
vol.28は、シチュアシオニスト(SITUATIONIST)!
パリ・ファッション・ウィークをチェックしていたときに気になった、シチュアシオニスト。
ベラ・ハディッド(Bella Hadid)がパリでアイテムを着用したことで、さらに注目を集めたブランドです。
H.LorenzoやSSENSEなどで取り扱われています。
シチュアシオニストってどんなブランド?
シチュアシオニストは、2015年にイラクリ・ルザゼ(Irakli Rusadze)が設立したジョージア発ブランド。
この記事では、デザインのインスピレーション源やジョージアについて着目しながら、深掘りしていきます。
17歳でブランド設立
子どもの頃からファッションが好きだったルザゼは、17歳のとき、自身のブランドを設立しました。
ブランド名は、20世紀半ばの社会革命的グループ「シチュアシオニスト」から付けられています。
シチュアシオニストとは、前衛芸術家、知識人、芸術家、政治理論家らによって形成されたグループのこと。
このグループとルザゼのブランドとの共通点は、目的のない思索、実験、そして自分の欲望に従うことです。
ヴェトモンとの類似点は、あまり無し
ルザゼの主なインスピレーション源は、ジョージアの歴史、そして現代のジョージアです。
ジョージアのシンボルやカルチャーコードが落とし込まれている、シチュアシオニストのコレクション。
コレクションを作ることで、「まだあまり知られていないジョージアのカルチャーと世界をつなぐ架け橋になれる」とルザゼは信じています。
シチュアシオニストは、ヴェトモン(VÊTEMENTS)と比較されることが多くあります。
ヴェトモンの創始者であるデムナ(Demna)も、ルザゼと同じジョージア出身だからです。
でも、ルザゼは「インスピレーションの類似点があったかもしれませんが、ヴェトモンとの類似点はあまり無い」と思っています。
自分の信じる価値観を守るために
2024年5月9日から12日まで開催された、ジョージア・ファッション・ウィーク。
そのとき、「ロシア法」と呼ばれる法案をめぐって、ジョージアは大きく揺れていました。
ロシア法とは、外国から20%以上の資金提供を受けるNGOやメディアなどに、国に登録するよう義務づけるもの。
ジョージアは、2023年12月、EUの加盟候補国として認められたところです。
外国から資金提供を受けるNGOなどの活動が抑えられる可能性がある、とジョージアの市民はロシア法に反発。
4月以降、首都トビリシなどで、市民による大規模な抗議デモが連日おこなわれていました。
シチュアシオニストは、EUを表現するために、183足の手作りの靴底をかぎ針編みしたブランケットを制作。
その背景には、「自分の信じる価値観を守るために、利用できるプラットフォームを使うべきだ」というルザゼの考えがあります。
気になったらチェックしてみて!