日記 #9

23.7.1.

 田中みな実が好き。最近知って(世に疎い)、「あざとくて何が悪いの?」もラジオの「あったかタイム」も両方追うようになった。
 彼女の何が良いって、何と言っても他者の感覚が希薄なところ! それでいて、自我の押し付け方があまりに凛としているおかげで、さも当たり前かのように芸能界を闊歩できているところ。
 今朝TVerで観た「あざとくて…」なんて実に酷かった。田中の推す北村匠海がゲストに来たのだけど、勝手に舞い上がった田中が一人芝居を始めた挙句に終始セクハラし続けるありさまで、番組がほとんどめちゃくちゃになっていた。こなれた雰囲気の合コンに童貞が迷い込んで荒らしまわったときみたいだった。山ちゃんも弘中もヒいていたし、北村匠海はもっとヒいていた。
 でも、そういうところが好きなんです。だってそんな大人めったにいないしテレビではもっとレアでしょう。他者の感覚が希薄な田中みな実は、ゆえに傲慢で、協調性がなくて、大胆不敵で、幼さと気持ち悪さがあり、それとまったく同じぶんだけ素敵。
 子供みたいな人が好き。目が離せなくなる。芸能人としても推せるし、近くにいたら友達になりたかった。

 もう七月らしい。年の半分が過ぎた。留学まであと二か月半。今までもそこそこ勉強してきてはいたけれど、一層本腰を入れなくてはいけない。今日はいつもより少しだけ勉強を頑張った。今はフランス語の単語帳を二種類、基本単語が羅列されたものと読解・リスニング対策を兼ねたものとを並行的にやっていて、今日新しく問題集を注文した。反復に飽きてきたし、そろそろ実践の段階に進む頃合いでもある。
 知っている単語と知らない単語が妙につり合いの取れている今が一番つらい時期で、定期的に頭がパンクしそうになってぐったりするが、そこをもう一歩踏み込むことで一気に学習の質が深化することを僕は知っている。頑張る。

 A.エルノー『事件』を読み終わった。『嫉妬』のほうが好みだったがこちらのほうが凄まじかった。でも訳が残念で、そしてそれ以上に解説がひどかった。このテクストはたしかにフェミニスティックな色彩を帯びている。それはわかる、シスターフッドについて、家父長制と資本主義について、リプロダクティブライツについて考えさせてくれる。でもそれだけがすべてではないでしょう。僕はあの言葉のまとまりを物質として受け取り、その物質性に感銘を受けたのだけれど。

想像を通して見る、あるいは記憶を通してふたたび見る、それが書く行為の宿命である。

アニー・エルノー『事件』 菊地よしみ訳

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