アニエス・ヴァルダ監督 『幸福』 : 「真の幸福」などあるのか?
映画評:アニエス・ヴァルダ監督『幸福』(1965年・フランス映画)
映画が始まった途端に、その色彩感覚の素晴らしさに唸らされる。「ヌーヴェルヴァーグの祖母」の異名を持つアニエス・ヴァルダ監督の作品を見るのはこれが初めてだが、その際立った映像美おいては、ヌーヴェルヴァーグの中でも、ジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』や『軽蔑』と並ぶ素晴らしさであった。さすがにどちらも、美術畑出だけのことはある。
さて、そんなヴァルダは、『シェルブールの雨傘』などで知られる、ヌーヴェ