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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2025年1月の記事一覧

ちをかくしか北村紗衣と 九段理江の『しをかくうま』

書評:九段理江『しをかくうま』(文藝春秋) 2024年に『東京都同情塔』で、第170回芥川賞受…

年間読書人
3週間前
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1984年以前レベルの、北村紗衣のフェミニズム : 『ベル・フックスの「フェミニズム理…

書評:ベル・フックス『ベル・フックスの「フェミニズム理論」 周辺から中心へ』(あけび書房…

年間読書人
1か月前
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アニエス・ヴァルダ監督 『幸福』 : 「真の幸福」などあるのか?

映画評:アニエス・ヴァルダ監督『幸福』(1965年・フランス映画) 映画が始まった途端に、そ…

年間読書人
1か月前
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小津安二郎監督 『秋日和』 : うす汚れた男たちの相互承認

映画評:小津安二郎監督『秋日和』(1960年・松竹映画) ひさしぶりの小津作品は、最後から3…

年間読書人
1か月前
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ロラン・バルト 『神話作用』 : 「神話」とは、肯定的に思える〈まやかし〉

書評:ロラン・バルト『神話作用』(現代思潮新社) かつて「難解」の代名詞でもあった、フラ…

年間読書人
1か月前
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フェデリコ・フェリーニ監督 『カビリアの夜』 : 「人間の善性」への信仰

映画評:フェデリコ・フェリーニ監督『カビリアの夜』(1957年・イタリア映画) フェリーニの…

年間読書人
1か月前
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北村紗衣読者には薦める勿れ : 施川ユウキ 『バーナード嬢曰く。』 第7巻

書評:施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』第7巻(一迅社・REXコミックス) 本巻の表紙を見て、ちょっとイラッと来た。主人公の「バーナード嬢」こと町田さわ子が、ちょっと照れたような、それでも笑顔全開で『最高の友達が 薦める本だから 最高の1冊です!』と言っている、本巻収録回から採られたカットなのだが、このセリフこの表情は、町田その子らしくなくて「読者に媚びている」と、私にはそう感じられたのだ。 デビュー作『サナギさん』以来(※ 正しくは『がんばれ酢めし疑獄!!』)の施川ユウキ

古泉迦十『崑崙奴』:幻想的な権威の限界

書評:古泉迦十『崑崙奴』(星海社フィクション) 結論からいうと、期待はずれだった。 本書…

年間読書人
1か月前
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北村紗衣の エリート・フェミニズム : シンジア・アルッザほか 『99%のためのフェミ…

書評:シンジア・アルッザ、ティティ・バタチャーリャ、ナンシー・フレイザー『99%のためのフ…

年間読書人
1か月前
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トマ・ピケティ ほか 『差別と資本主義 レイシズム・ キャンセルカルチャー・ ジェン…

書評:トマ・ピケティ、ロール・ミュラ、セシル・アルデュイ、リュディヴィーヌ・バンティニ『…

年間読書人
1か月前
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フランソワ・トリュフォー監督 『華氏451』 : 映画ファンは何を見ているのか?

映画評:フランソワ・トリュフォー監督『華氏451』(1966年・イギリス映画) アメリカのSF作…

年間読書人
1か月前
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酒見賢一 『中国雑話 中国的思想』 : 中国人的思考と日本人的思考

書評:酒見賢一『中国雑話 中国的思想』(文春新書・2007年) 酒見賢一が若くして急逝したの…

年間読書人
1か月前
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ジャン=リュック・ゴダール監督 『男性・女性』 : ゴダールという「解けない謎」

映画評:ジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』(1966年、フランス・スウェーデン合作…

年間読書人
1か月前
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高島鈴 『布団の中から蜂起せよ アナーカ・フェミニズムのための断章』 : 怒りを込めて立ち上がれ!

書評:高島鈴『布団の中から蜂起せよ アナーカ・フェミニズムのための断章』(人文書院) 本書は2022年の刊行で、「紀伊國屋じんぶん大賞2023 読者と選ぶ人文書ベスト30」の「第1位」に選出された本だ。 私が会社帰りに立寄るのが紀伊国屋書店梅田本店であったことから、この「紀伊國屋じんぶん大賞」というのも自ずと目につき、本書についても、全然知らない著者ではあったものの「第1位くらいは読んでみようか」とそう思って、購入した記憶がある。一一だが、当時は、フェミニズムにさほど興味