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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2024年7月の記事一覧

ゴダールの本質を、わかりやすく説明しよう。 : ジャン=リュック・ゴダール論

ついに、ジャン=リュック・ゴダールという映画作家の本質が、理解できた。そう確信することが…

年間読書人
7か月前
36

大谷弘 『道徳的に考えるとはどういうことか』 : 文学的には 「普通」はそう考える。

書評:大谷弘『道徳的に考えるとはどういうことか』(ちくま新書) 本書がどういう内容の本か…

年間読書人
7か月前
18

吉田健一 「饗宴」ほか 「日本幻想文学集成16」 : 朗らかで自由で頑固だった、 酒好…

富士川義之編『日本幻想文学集成16 吉田健一 饗宴』(国書刊行会) 吉田健一を初めて読んだ…

年間読書人
7か月前
19

黒澤明監督 『野良犬』 : もっと注目されて然るべき、リアリズム映画の傑作

映画評:黒澤明監督『野良犬』(1949年・モノクロ映画) 私の場合、つい最近まで、特に熱心に…

年間読書人
7か月前
22

アルフレッド・ヒッチコック監督 『ロープ』 : 「現場視点」の快楽と陥穽

映画評:アルフレッド・ヒッチコック監督『ロープ』(1948年・アメリカ映画) 本作『ロープ』…

年間読書人
7か月前
32

レーモン・クノー 『きびしい冬』 : ゴダールとの接点としての 「形式主義的抽象性」

書評:レーモン・クノー『きびしい冬』(レーモン・クノー・コレクション4、水声社) レーモ…

年間読書人
7か月前
23

ロベルト・ロッセリーニ監督 『無防備都市』 : ヌーヴェル・ヴァーグとリアリズム

映画評:ロベルト・ロッセリーニ監督『無防備都市』(1945年・イタリア映画) ロベルト・ロッセリーニは、イタリア映画界における「ネオリアリズモ」運動の先駆的な存在であり、のちのフランスにおける「ヌーヴェル・ヴァーグ」に多大な影響を与えた人物である。 言い換えれば、ロッセリーニが、日本においてすら有名なのは、もっぱら「ヌーヴェル・ヴァーグの父(の一人)として」という側面が大きい。 のちの「ヌーヴェル・ヴァーグ」旋風を準備した映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』誌の初代編集長に

蓮實重彦 『表層批評宣言』 : 「わかった」という罠から逃れよ。

書評:蓮實重彦『表層批評宣言』(ちくま文庫) いよいよ、蓮實重彦に対する評価を改めなけれ…

年間読書人
7か月前
38

小津安二郎監督 『お茶漬けの味』 : 小津的「理想の男性像」

映画評:小津安二郎監督『お茶漬けの味』(1952年・モノクロ映画) 本作『お茶漬けの味』は、…

年間読書人
7か月前
14

オーソン・ウェルズ監督 『偉大なるアンバーソン家の人々』 : 描き変えられた「自画…

映画評:オーソン・ウェルズ監督『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942年・アメリカ映画) …

年間読書人
7か月前
13

フィリップ・K・ディック 『火星のタイム・スリップ』 : 醒め得ない悪夢としての読…

書評:フィリップ・K・ディック『火星のタイム・スリップ』(ハヤカワ文庫) 1964年発表の、…

年間読書人
7か月前
23

チャールズ・チャップリン 『キッド』 : 素朴なヒューマンコメディ

映画評:チャールズ・チャップリン『キッド』(1921年・アメリカ映画) チャップリンの初長編…

年間読書人
7か月前
20

アンドレ・バザン 『映画とは何か』 : 「映画のリアル」とは何か。

書評:アンドレ・バザン『映画とは何か』(岩波文庫・全二巻) アンドレ・バザンは、フランス…

年間読書人
7か月前
27

エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督 『グリード』 : わが友、シュトロハイム!

映画評:エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督『グリード』(1924年・アメリカ映画) 本作は、モノクロ・サイレント時代の、ハリウッド映画の「名作」である。 今回初めて鑑賞して、個人的には特に面白いとは思わなかった。 だが、本作が「名作」とされる主たる理由とは、たぶん本作が、当時としては珍しい(新しい)「リアリズム」作品であり、人間の業としての「嫌な部分」を呵責なく描いたという点に、その画期性があったからのようだ。 そのあたりを明確に語っている文章が目につかないのは、日本