ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 『愛はさだめ、さだめは死』 : 「二重性」の悲劇
書評:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』(ハヤカワ文庫)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』は、先日読んだ『たったひとつの冴えたやりかた』に続く、私にとっては2冊目となる同著者の著作なのだが、本書を読んで、前冊に感じた「違和感」の正体が、ほぼ判明したように思う。
それは、原題がどうであれ、『たったひとつの冴えたやりかた』とか『愛はさだめ、さだめは死』とかいったタイトルは、いずれにせよ、娯楽小説らしく表面をとり繕った「偽善