フェデリコ・フェリーニ監督 『道』 : 自覚なき「偽善」の時代に
映画評:フェデリコ・フェリーニ監督『道』(1954年・イタリア映画)
この映画を観て、「感動しました」「泣きました」と、単純に済ませていられる者は、すでに自分自身の「偽善」に気づくことのできなくなった、「自覚なき偽善者」だと、そう思って間違いないだろう。
自分が、本編『道』の主人公の女性ジェルソミーナと同じ「純粋で不器用な人間」だと、そんな愚かにも厚かましい自己投影をし、「その純粋さにおいて、私もまた、十分に世に入れられないのだ」と自己正当化し、自己憐憫している人だと言って