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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2023年11月の記事一覧

映画『アントニオ猪木をさがして』 : 解けない謎としての〈アントニオ猪木〉

映画評:和田圭介・三原光尋監督『アントニオ猪木をさがして』(2023年) 昨年(2022年10月1…

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ポール・バーホーベン監督 『スターシップ・トゥルーパーズ』 : バーホーベン節炸裂…

映画評:ポール・バーホーベン監督『スターシップ・トゥルーパーズ』(1998年・アメリカ映画)…

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魚豊 『チ。 ―地球の運動について― 』 (3): フィクションにおける「リアリズム…

書評:魚豊『チ。―地球の運動について― 』第6集〜第7集・完結(BIG SPIRITS COMICS・小学…

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F・W・ムルナウ監督 『ファウスト』 : 暴君としての神、 道化としての悪魔

映画評:F・W・ムルナウ監督『ファウスト』(1926年・ドイツ映画) ムルナウ監督がハリウッド…

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スタニスワフ・レム 『短編ベスト10』 : 短編に見るレムの個性

書評:スタニスワフ・レム『短編ベスト10』(国書刊行会「レム・コレクション」) 昔は、SF作…

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池田大作の死 ・ ある虚妄の終焉

一昨日から二泊三日(2023年11月16日〜18日)で北海道へ行ってきたが、その前日から、良かれ悪…

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追悼 ・ 酒見賢一

酒見賢一が亡くなった。 まだ59歳なのに、死因が「呼吸不全」だったというのは、何か持病をお持ちだったのだろうか。だが、すでに亡くなられた今となっては、死因などどうでもいい。ただ、いちファンとして、その早すぎる死が惜しいし、残念だとしか言いようがない。酒見さんには、もっともっと、新たな代表作となるような作品を書いてほしかった。 それに、酒見さんは、私より二つ年下なので、年下の「好きな小説家」が亡くなるという経験は、これが初めてなのではないだろうか。年上の作家については、好きな作

映画 『パトリシア・ハイスミスに恋して』 : 十字架につけられたパトリシア

映画評:エバ・ビティヤ監督『パトリシア・ハイスミスに恋して』(2022年、スイス・ドイツ合作…

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『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス5 夢カメラ』 : 現実には終わりは…

書評:『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス5 夢カメラ』(小学館) 「藤子・F…

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山城むつみ 『文学のプログラム』 : 危機に立って思考する。

書評:山城むつみ『文学のプログラム』(太田出版→講談社文芸文庫) 山城むつみを読むのは、…

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大石トロンボ 『新古書ファイター真吾』 : さらば、優しき日々よ

書評:大石トロンボ『新古書ファイター真吾』(皓星社) 友人がショートメールで、古本ネタの…

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カート・ヴォネガット・ジュニア 『スローターハウス5』 : 60年代アメリカの 〈ため…

書評:カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』(ハヤカワ文庫) カート・ヴォ…

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山崎貴監督 『ゴジラ−1.0』 : 戦後日本へのアンチテーゼ

映画評:山崎隆監督『ゴジラ−1.0』(2023年) 大ヒットした庵野秀明監督作品『シン・ゴジラ…

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飯田一史 『「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』 : 飯田一史のウソ

書評:飯田一史『「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』(平凡社新書) 見てのとおりで、本書のメインタイトルは『「若者の読書離れ」というウソ』である。だが、このタイトル自身が、「ウソ」である。 どういうことなのかというと、「若者の読書離れ」というのは、「誤認に基づく、誤った言説」であり、その意味で「誤り」でしかなく、決して「ウソ」ではないからだ。 「ウソ」というのは、日本語的には「虚偽の言説」をいうのであって、「虚偽」というのは「故意