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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2023年10月の記事一覧

キム・ジウン&キム・ドヒ監督 『差別』 : 肉を切らせて、 骨を断て!

映画評:キム・ジウン&キム・ドヒ監督『差別』(2021年・韓国映画) 「在日朝鮮人差別」問題…

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西田宗千佳 『生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか』 : 薄っぺらなディス…

書評:西田宗千佳『生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか』(NHK出版新書) ハッキ…

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ドン・シーゲル監督 『ボディ・スナッチャー / 恐怖の街』 : 狂人の叫び、 ハリウッ…

映画評:ドン・シーゲル監督『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年・アメリカ映画) 以…

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魚豊 『チ。―地球の運動について― 』(2) : 開かれてあることの「勇気」

書評:魚豊『チ。―地球の運動について― 』第3集〜第5集(BIG SPIRITS COMICS・小学館) …

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廣瀬涼 『タイパの経済学』 : 「タイパ」は 呪いである。

書評:廣瀬涼『タイパの経済学』(幻冬舎新書) 「タイパ」というのは、もちろん「タイム・パ…

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宏洋 『神になりたかった男 回想の父・大川隆法』 : カリスマ依存は終わらない

書評:宏洋『神になりたかった男 回想の父・大川隆法』(幻冬舎) 今年(2023年)3月2日、宗…

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石井裕也監督 『月』 : スッポンと月、 現実と統整的理念

映画評:石井裕也監督『月』(2023年) 本作の原作は、辺見庸の同名小説である。 私は辺見庸という作家が、昔から(2001年の、9.11米国同時多発テロ事件以来)好きだった。何が好きかというと、その誤魔化しや綺麗事を許さない、徹底した本音主義であり、その点において辺見とシンクロしたというのは、間違いのないところである。しかしまた、そんなファンであるからこそ、私は時に、辺見庸に対してさえ「不徹底だ」という注文をつける、そんな読者でもあった。 辺見庸の『月』は、「相模原障害者

小田雅久仁 『残月記』 : 太陽と月、 月の表と裏

書評:小田雅久仁『残月記』(双葉社) ルナティック(Lunatic・月的)というのは、「狂気」…

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ジャンフランコ・ロージ監督 『旅するローマ教皇』 : 「信仰」の力とは

映画評:ジャンフランコ・ロージ監督『旅するローマ教皇』(2022年・イタリア映画) 教皇フラ…

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『けものフレンズ2』 『無敵鋼人ダイターン3』 あるいは、 フィリップ・K・ディッ…

先日(2023年9月29日)、私の記事「たつき 『けものフレンズ』の非凡性:演出家・たつき監督の…

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ダヴィッド・ラプジャード 『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』 : …

書評:ダヴィッド・ラプジャード『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』(月曜社…

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大村大次郎 『世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集』 : この現実を「再確認」せ…

書評:大村大次郎『世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集』(中公新書ラクレ) 本書は、…

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「ラース・フォン・トリアー・ レトロスペクティブ 2023」 : 第七藝術劇場コレクショ…

映画評:ラース・フォン・トリアー監督 『メランコリア』(2011年)、『アンチクライスト』(2…

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京極夏彦 『鵼の碑』 :丸くなった京極堂、 暴走しない木場、 粉砕しない榎木津

書評:京極夏彦『鵼の碑』(講談社ノベルス) 17年ぶりの「百鬼夜行シリーズ」だという。今では、この呼称が正式名称のようだが、それは多分、17年前には当たり前ではなかったはずで、「京極堂シリーズ」とか「妖怪シリーズ」などとも呼ばれてもいたはずだし、それで何の不都合もなかった。中身的には、決して間違いではないからだ。 しかし、出版社側が、シリーズ名称があれこれ不安定では宣伝しにくいといったことからか、無難かつ分かりやすい名称に統一することにでもしたのだろう。その結果が「百鬼夜