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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2023年8月の記事一覧

ロバート・A・ハインライン 『異星の客』 : 「ひとの子」 という言葉

書評:ロバート・A・ハインライン『異星の客』(早川SF文庫) 最近では耳にしなくなった表現…

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セルゲイ・ロズニツァ監督 『 《戦争と正義》 破壊の自然史 / キエフ裁判』 : 眠れる…

映画評:セルゲイ・ロズニツァ監督『《戦争と正義》破壊の自然史/キエフ裁判』(2022年) 《…

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白井聡 『マルクス 生を呑み込む資本主義』 : 精神寄生体的 〈自己増殖モンスター〉

書評:白井聡『今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書) とても…

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楠見清 『無言板アート入門』 : アートとは 想像力であり、 知性である。

書評:楠見清『無言板アート入門』(ちくま文庫) 一見したところ、赤瀬川原平の主唱した「超…

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『けものフレンズ』 と 『宇宙戦艦ヤマト』 : 『2』 という呪い

本稿では、いわゆる「たつき監督降板騒動」から「『けものフレンズ2』炎上騒動」に至る一連の…

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小津安二郎監督 『父ありき』 : 静かな 「反戦映画」

映画評:小津安二郎監督『父ありき』(1942年) 本作について語るべきことは、もはやほとんど…

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椎名麟三 『神の道化師 ・ 媒酌人』 : 「ユーモア」ではなく 〈嘲笑〉

書評:椎名麟三『神の道化師・媒酌人』(講談社文芸文庫) 椎名麟三の2冊目である。 最初に読んだ『深夜の酒宴・美しい女』(講談社文芸文庫)で、椎名麟三という作家について、私の感じたところをある程度詳しく論じたので、ここでは、2冊目となる本書を読んで、評価の変化したところがあったのか無かったのか、変化したところがあったのであれば、それはどのような点か、ということについてだけを語りたいと思う。 はっきり言えば、私の前回の評価は、基本的に誤っていなかったばかりか、むしろ、まだまだ

トマス・ヴィンターベア監督 『偽りなき者』 : 子供に性欲を感じることは 「悪」な…

映画評:トマス・ヴィンターベア監督『偽りなき者』(デンマーク映画・2012年) 人気俳優マッ…

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中野美代子 『西遊記 トリック・ワールド探訪』 : 人間という 解きえぬ「謎」に挑む

書評:中野美代子『西遊記 トリック・ワールド探訪』(岩波新書) まあ、すごい本だし、呆れ…

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『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス8 流血鬼』 : 手がたいオチに隠…

書評:『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス8 流血鬼』(小学館) 本巻は、1976…

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蓮實重彦 『ゴダール マネ フーコー 思考と感性とをめぐる断片的な考察』 : これは …

書評:蓮實重彦『ゴダール マネ フーコー 思考と感性とをめぐる断片的な考察』(NTT出版) …

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春日武彦・ 平山夢明 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が 正気を保つ』 : 狂…

書評:春日武彦・平山夢明『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』(扶桑社新書…

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『柄谷行人 中上健次 全対話』 : 正面突破の双騎士

書評:『柄谷行人中上健次全対話』(講談社文芸文庫) やっぱり柄谷行人は、私に合うなあと思…

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末木新 『「死にたい」と言われたら 自殺の心理学』 : 「死にがい」のある死なら、OKだ。

書評:末木新『「死にたい」と言われたら 自殺の心理学』(ちくまプリマー新書) 私が、「自殺」ということに興味を持つ理由は、端的にいって、それが「理解できない」からだ。 人間だれしも「死にたい」と思うことはあるだろうが、普通の場合、そういう状態が永遠に続くわけではないので、その「山」を越してしまえば、その苦しかった思いを、忘れてしまう。 また、後になって「あの時は、苦しかったなあ。でも、俺はそれを乗り越えて生きてきたんだ。だからこその、楽しいこともいろいろあるし、生きててよ