森有正 『ドストエーフスキー覚書』 : 「神」を担いだ ラスコーリニコフ
書評:森有正『ドストエーフスキー覚書』(ちくま学芸文庫)
今となっては、すっかり読まれなくなった作家の一人であろう。
森有正は「1911年11月30日生」の「1976年10月18日没」の人で、森の名前にあるていど馴染みのある読書家というのは、私よりも年長者になるのではないかと思う。
見てのとおりの「超サラブレッド」で、一般にも「森有正」と言えば、まず「森有礼の孫」であり「クリスチャン作家」であり「フランス在住のエッセイスト」として知られていた。
「哲学者」というのは、フ