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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2023年4月の記事一覧

私の 澁澤龍彦 : 磯崎純一 『龍彦親王航海記』

書評:磯崎純一『龍彦親王航海記』(白水社) 非常に完成度の高い、篤実な「澁澤龍彦伝」であ…

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ミロス・フォアマン監督 『カッコーの巣の上で』 : 〈快適な管理社会〉への 反抗は可…

映画評:ミロス・フォアマン監督『カッコーの巣の上で』(1975年・アメリカ映画) あまりにも…

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宮部みゆき 『さよならの儀式』 : 温かく懐かしいSF

書評:宮部みゆき『さよならの儀式』(河出文庫) 本書は、10年間にわたって書き継いできた作…

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つくみず 『シメジ シミュレーション 04』 : 決定不可能な世界

書評:つくみず『シメジ シミュレーション 04』(KADOKAWA・MFCキューンシリーズ) 前巻第3…

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平山瑞穂 『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』 : 絶壁に爪を立てよ!

書評:平山瑞穂『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』(論創社) 平山瑞穂は、私の偏愛す…

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マンタス・クヴェダラヴィチウス監督 『マリウポリ 7日間の記録』 : 当たり前の生活…

映画評:マンタス・クヴェダラヴィチウス監督『マリウポリ 7日間の記録』(2022年・リトアニ…

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沼田和也 『街の牧師 祈りといのち』 : 読まれない「余白」

書評:沼田和也『街の牧師 祈りといのち』(晶文社) 本書の帯には、次のような推薦文が刷られている。 末井昭は、フリーの編集者で、これまでの仕事を見てくれば、本書著者との接点は、ほとんど無いように見えるが、あえて言えば、末井には『自殺』『自殺会議』という、「自殺」をテーマにした著作があることであろう。 ちなみに、『自殺』の方は、講談社エッセイ賞を受賞している。 「元白夜書房取締役編集局長」という経歴からも分かるとおり、末井のこれまでの仕事は、主に「エロとサブカル」と言って

デイヴィッド・フィンチャー監督 『ファイト・クラブ』 : 厨二病的 変態映画

映画評:デイヴィッド・フィンチャー監督『ファイト・クラブ』(1999年) とにかく高い評価を…

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古谷経衡 『シニア右翼 日本の中高年はなぜ右傾化するのか』 : 右とか左とかではな…

書評:古谷経衡『シニア右翼 日本の中高年はなぜ右傾化するのか』(中公新書ラクレ) とても…

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『ドキュメント 「シン・仮面ライダー」 ~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~』 : み…

大ヒットした『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』に続く「シン・シリーズ」の第3弾として…

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中村哲 『ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民』 : 「保守」 とは何か?

書評:中村哲『ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民』(石風社) 「中村哲」という人の存…

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にゃるら 『承認欲求女子図鑑 ~SNSで出会ったヤバい女子たち~』 : 環境としての〈承…

書評:にゃるら『承認欲求女子図鑑 ~SNSで出会ったヤバい女子たち~』(三才ブックス) 「承認…

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山上たつひこ 『光る風』 : 通過できない〈未来〉

書評:山上たつひこ『光る風』(小学館) 本作は、1970年4月から11月にかけて「週刊少年マガ…

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『松本清張推理評論集 1957-1988』 : 清張・ ミステリ・ 巽昌章、 そして私

書評:『松本清張推理評論集 1957-1988』(中央公論新社) 1962年(昭和37年)生まれの私は、いわゆる「新本格ミステリ」ブーム世代である。それを後から読んだ世代ではなく、そのムーブメントの発生から共に歩んだ世代。 年齢で言えば、綾辻行人は私の2つ上、法月綸太郎は1つ下、我孫子武丸は同年、有栖川有栖は3つ上、ということになる。 しかし、こうした「ミス研」出身の作家たちとは違い、当時の私は、生粋の「ミステリマニア」というわけではなかった。つまり、幼い頃から、ドイルの