マガジンのカバー画像

「思想・哲学」関連書のレビュー

932
「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
運営しているクリエイター

2023年3月の記事一覧

内山雄人監督 『妖怪の孫』 : 妖怪は、 殺されても死なない。 必要なのは 「日本の除…

映画評:内山雄人監督『妖怪の孫』 簡単に言うと「首相・安倍晋三の功罪を総括する」という内…

11

私に 「こき下ろされた人々」の、 ごくごく一部

「年間読書人をこき下ろすのを専門とするアカウント」のあることを、初めて確認した。 「令士…

13

樋口毅宏 『中野正彦の昭和九十二年』 : 〈偽史〉の精神誌

書評:樋口毅宏『中野正彦の昭和九十二年』(イースト・プレス) いよいよ、噂の「回収」本、…

12

庵野秀明監督 『シン・仮面ライダー』 : 在りし昭和 の「理想と葛藤」

す映画評:庵野秀明監督『シン・仮面ライダー』 昨日『シン・仮面ライダー』を観てきた。 『…

32

晴佐久昌英 『福音宣言』 : 権威主義者の保証する 〈愛〉

書評:晴佐久昌英『福音宣言』(オリエンス宗教研究所) ヤグザや半グレ、タチの悪いヤンキー…

22

高畑勲監督 『太陽の王子 ホルスの大冒険』 : 『ホルス』は、 何故に「名作」なのか…

映画評:高畑勲監督『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年) 私は、まぎれもなく高畑勲ファ…

14

井上光晴 『ガダルカナル戦詩集』 : その否定性と自己正当化

書評:井上光晴『新編 ガダルカナル戦詩集』(朝日文庫) 井上光晴についてのドキュメンタリー映画『全身小説家』(原一男監督)についてのレビュー「井上光晴という 「弱い男」」にも書いたとおり、私の井上への興味は、同郷の作家・大西巨人との関わりに発している。 敗戦後、多くの作家が「日本共産党」入りしたが、井上光晴もその一人だ。 もちろん、プロレタリア文学者として戦前からの党員作家も少なからずいたものの、彼らは戦時国家による弾圧によって沈黙を余儀なくされ、中には小林多喜二のよう

パク・チャヌク監督 『別れる決心』 : 自我崩壊の快楽

映画評:パク・チャヌク監督『別れる決心』 予告編にもあるとおりで、しごく大雑把に言うと「…

10

にゃるら 『僕は にゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』 : やっぱり、…

書評:にゃるら『僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』(角川書店) そん…

21

佐井大紀監督 『日の丸 寺山修司40年目の挑発』 : テレビ局が作った「劇場用ドキュ…

映画評:佐井大紀監督『日の丸 寺山修司40年目の挑発』(TBS DOCS)  ○ ○ ○ 本作は、テ…

7

小川楽喜 『標本作家』 : 〈夢〉の小説 への憧憬

書評:小川楽喜『標本作家』(早川書房) SF版「小説家小説」である。 普通の「小説家小説」…

22

『柄谷行人対話篇 1 1970-83』 : 優等生では ダメである。

書評:柄谷行人『柄谷行人対話篇1 1970-83』(講談社文芸文庫) 現時点で既刊2巻までの講談…

18

ドキュメンタリー映画とは何か? : 金稔万と 武田倫和、 それぞれの進む道

映画評:金稔万監督『キョンチャルアパート』『どんづる峯と柳本飛行場』     武田倫和監…

9

ポール・ヴァーホーベン監督 『ベネデッタ』 : 「映画」の常識を超えた リアリズム

映画評:ポール・ヴァーホーベン監督『ベネデッタ』 昨年(2022年)7月末の退職以来、映画を観まくってきた私だが、これは「楽しみだ」と思って観に行った映画は、それほど多くない。大半の作品は「ちょっと気になるから、これも観ておこう」とか「教養のために観ておこう」といった感じが多かった。 そんなわけで、それほど多くもない「期待作」であっても、しかし、結果として「期待どおりに面白かった」という作品は、ほとんどない。期待が大きければ大きいほど、並みの作品では満足できないというのが人