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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2023年2月の記事一覧

石黒達昌 『冬至草』 : 零れ落ちたものへの想い

書評:石黒達昌『冬至草』(早川書房) 石黒達昌は、好きな作家の一人だ。 作家業からは実質…

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セルゲイ・ロズニツァ監督 『新生ロシア1991』 : 歴史理解に関する〈遠近法的倒錯〉

映画評:セルゲイ・ロズニツァ監督『新生ロシア1991』 本作を観て、いささかの「あっけなさ」…

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最相葉月 『証し 日本のキリスト者』 : 「信仰」とは 何か?

書評:最相葉月『証し 日本のキリスト者』(角川書店) 『構想10年、取材6年。1000ページを…

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映画『スキャナー・ダークリー』 : 私は、私に監視されている。

映画評:リチャード・リンクレイター監督『スキャナー・ダークリー』 SF作家フィリップ・K・…

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初「ブロック」されました。 : 似非リベラルの実例

「リベラル」という言葉が意味するところとは、基本的には次のようなものだ。 つまり「リベラ…

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チャットGPT、 AIイラストジェネレーターの 「近未来」 : AI時代の作家性

昨日(2023年2月15日)、テレビニュースを視ていたら、「チャットGPT(ChatGPT)」なるものが…

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「ジャン・コクトー映画祭」をめぐって : ジャン・マレーと 澁澤龍彦

「没後60年」ということで、「ジャン・コクトー映画祭」と銘打ち、デジタルリマスター版の名作映画4本の上映がなされた。 上映作品は、『オルフェ』『ブローニュの森の貴婦人たち』『美女と野獣』『詩人の血』で、『ブローニュの森の貴婦人たち』だけは、ロベール・ブレッソン監督の作品であり、コクトーは主にセリフの監修役として脚本に協力している。つまり、後の3本がコクトーの監督作品だ。 私のとってのジャン・コクトーとは、まず、澁澤龍彦が翻訳紹介した『ポトマック』『大胯びらき』の作者たる詩

映画 『ヒトラーのための虐殺会議』 : ここに同席できるくらい、 出世したいよね?

映画評:マッティ・ゲショネック監督『ヒトラーのための虐殺会議』 本作は、ドキュメンタリー…

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樋口毅宏 『さらば雑司ヶ谷』 : 「汚れっちまった悲しみ」のナルシシズム

書評:樋口毅宏『さらば雑司ヶ谷』(新潮文庫) 最初に、小説としての出来について書いておこ…

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マーティン・マクドナー監督 『イニシェリン島の精霊』 : 人間というもの

映画評:マーティン・マクドナー監督『イニシェリン島の精霊』 お話としては、実にシンプルで…

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諸星大二郎 『孔子暗黒伝』 : 異形なる世界へのロマン

書評:諸星大二郎『孔子暗黒伝』(集英社) 本作『孔子暗黒伝』は、諸星大二郎の初期傑作とし…

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沼田和也 『牧師、 閉鎖病棟に入る。』 : 承認欲求と 自己劇化の罠

書評:沼田和也『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社) 著者の沼田和也氏については、ず…

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谷崎潤一郎 『陰翳礼讃・ 文章読本』 : 美しい国の「美しい文章」へ

書評:谷崎潤一郎『陰翳礼讃・文章読本』(新潮文庫) 今回、本書を読んだのは、前々から「陰…

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