マガジンのカバー画像

「思想・哲学」関連書のレビュー

932
「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

『少女革命ウテナ』 と 幾原邦彦 : 無垢な理想主義と リアルな快楽主義の 軋みと痛み

作品評:幾原邦彦監督『少女革命ウテナ』 やっと、『少女革命ウテナ』(全39話)を視ることが…

21

笠井潔 『新・戦争論 「世界内戦」の時代』 : 例外状態・世界内戦・例外社会、 そ…

書評:笠井潔『新・戦争論 「世界内戦」の時代』(言視舎) 本書は、本年(2022年)9月末の…

13

足立正生監督 『REVOLUTION+1』 : カネと 宗教と イデオロギーと

映画評:足立正生監督『REVOLUTION+1』 本年(2022年)7月8日に発生した、あの「安倍晋三元首…

9

古田徹也 『はじめてのウィトゲンシュタイン』 : 「像」に 囚われないこと

書評:古田徹也『はじめてのウィトゲンシュタイン』(NHKブックス) ウィトゲンシュタインと…

21

武田泰淳 『司馬遷 -史記の世界-』 : 〈生き恥をさらす〉に値する 生

書評:武田泰淳『司馬遷 -史記の世界-』(講談社文芸文庫ほか) いまどき、武田泰淳である。…

12

アレックス・ガーランド監督 『MEN 同じ顔の男たち』 : 裏返されたフェミニズム・ホ…

映画評:アレックス・ガーランド監督『MEN 同じ顔の男たち』 映画マニアの間で評判の良い、映…

14

京極夏彦ほか 『ひどい民話を語る会』 : 葬り去られた庶民の素顔

書評:京極夏彦・多田克己・村上健司・黒史郎『ひどい民話を語る会』(KADOKAWA) 「ひどい民話」とは、「こりゃあ、ひどい!」といって、呆れたり、笑ってしまったりするような民話のことである。 では、「民話」とは何か? これは意外に難しい。 例えば、「昔話」や「伝説」とは、どう違うのだろうか? なんとなく「違う」というのはわかるけれども、私のような素人には、その違いの説明は難しいし、多くの場合、それらは混用されているようである。また、当然のことながら、そうしたものの中

フィリップ・K・ディック 「初期短編集」から : 己を疑い、 この当たり前の世界を…

書評:ジョン・ブラナー編『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック〈1〉』(サンリオSF文庫) 今…

19

セルゲイ・ロズニツァ監督 『ミスター・ランズベルギス』 : ロズニツァは、 鵜呑み…

映画評:セルゲイ・ロズニツァ監督『ミスター・ランズベルギス』 ロズニツァ監督には、アーカ…

7

春日武彦 『屋根裏に誰かいるんですよ。』 : 妄想の手触り

書評:春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理』(河出文庫) 著者は、精…

23

今年の「12月10日」 : 神戸をめぐる思い出

12月10日は、小説家・中井英夫の命日であり、中井のデビュー作にして代表作であった『虚無への…

7

『 「神様」のいる家で育ちました ~ 宗教2世な私たち ~ 』 : 「宗教2世」の ホンネ…

書評:菊池真理子『「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~』(文藝春秋) 現在、…

21

映画 『ある精肉店のはなし』 : 精肉と差別

映画評:纐纈あや監督『ある精肉店のはなし』 本作は、2013年の作品で、約10年ぶりのリバイバ…

20

『ザリガニの鳴くところ』 : はたして彼女は、犯人だったのか?

書評:ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』(早川書房) 【※ 原作小説および映画化作品の、ネタを割りますので、未読未鑑賞の方はご注意ください。】 本書(日本語版)は、2020年3月の刊行で、「2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位」「2021年版 このミステリーがすごい! 翻訳ミステリ部門第2位」などの結果を残した、きわめて評判がよく、ベストセラーにもなった作品である。 私も刊行当初に、その一風変わったタイトルと、アメリカでベストセラーになっている作品だとい