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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2022年11月の記事一覧

石井光太 『ルポ 誰が国語力を殺すのか』 : 養老孟司や俵万智といった〈国語力のな…

書評:石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋) 本当に、酷い本だった。 どう「…

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『すずめの戸締まり』の 社会心理学

新海誠監督の新作長編アニメ『すずめの戸締まり』については、私はすでにレビューを公開してお…

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三上丈晴 『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』 : 理性のバラン…

書評:三上丈晴『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(Gakken) ご存知、…

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佐藤優・富岡幸一郎 『〈危機〉の正体』 : あなたという〈魍魎の匣〉

書評:佐藤優・富岡幸一郎 『〈危機〉の正体』(講談社) いま話題の、いわゆる「宗教二世」…

11

ノーム・チョムスキー 『壊れゆく世界の標』 : チョムスキーの謦咳にふれる

書評:ノーム・チョムスキー『壊れゆく世界の標』(NHK出版新書) 本書は、盟友ディヴッド・…

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レジー 『ファスト教養』 : ひろゆき、 中田敦彦、 カズレーザー、 DaiGo、 綾辻行人…

書評:レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書) SNS「note」を始め…

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映画 『暴力をめぐる対話』 : 試される〈思考の忍耐力〉

映画評:ダヴィッド・デュフレーヌ監督『暴力をめぐる対話』 2018年から2020年にかけて、フランスで盛り上がった「黄色いベスト運動」を扱って、「警察の暴力行使」の問題を、複数の対話を介することで、観客の思考を促そうという、ユニークなドキュメンタリー映画である。さすがは、現代思想を領導したフランスらしい、かなり「知的レベルの高い」作品だ。 上の「説明文」と「予告編」映像だけでは、まだこの映画のユニークさは伝わらないだろうから、補足しておこう。 この映画は「二重構造」にな

中川右介 『アニメ大国 建国紀 1963-1973』 : 日本のアニメの 〈二重らせん〉

書評:中川右介『アニメ大国 建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たち』(イースト…

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映画 『ヒドゥン』 と ジャック・ショルダー監督の秘密

映画評:ジャック・ショルダー監督『ヒドゥン』&『エルム街の悪夢2』 ジャック・ショルダー…

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村上芳正(村上昂)画伯のご逝去に当たって

村上芳正さんが、一昨々日の(2022年)11月8日に亡くなったとの連絡が、昨日入った。 私も、村…

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R. D. レイン 『自己と他者』 : むしろ今日的な精神病理論

書評:R.D.レイン『自己と他者』(みすず書房) 精神病、中でも統合失調症(旧称・精神分裂病…

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『機動戦士ガンダム』で 社会心理学する。

とても面白い記事を読んだので、下にご紹介して、そこで語られている問題を考えてみたい。 ・…

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巌谷國士 『澁澤龍彦考』 : 澁澤龍彦のイメージと実存

書評:巌谷國士『澁澤龍彦考』(河出書房新社) 澁澤龍彦が亡くなったのは、1987年(昭和62年…

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榎本空 『それで君の声はどこにあるんだ?』 : 祖父の七光と 黒人の威を借る 日本人牧師

書評:榎本空『それで君の声はどこにあるんだ? 黒人神学から学んだこと』(岩波書店) はっきり言っておく。こんな本を誉める者は、キリスト教の神学書などまともに読んだことのない、不勉強なキリスト教徒か、さもなくば、非キリスト教徒だとしても、まともに本を読む能力のない者だ。 まともに、本を読める者なら、本書著者が、いま風に「優しげで謙虚そうな」書き方をしているだけで、その実、「ブラック・ライブズ・マター」運動の「時事的話題性」と、いまどきの日本人には、かえって物珍しく新鮮にさえ