飛浩隆 『ラギッド・ガール 廃園の天使 Ⅱ 』 : 悲劇の〈舞台裏〉
書評:飛浩隆『ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ』(ハヤカワ文庫)
本作は、「廃園の天使」三部作の2冊目で、単行本は(16年前の)2006年の刊行。完結編となる3冊目の『廃園の天使』は、いまだ連載未完で未刊である。
そんなわけで、読むのを後回しにしてきた「廃園の天使」シリーズの2冊だが、とうとう本冊で、飛浩隆の既刊本をすべて読み尽くしたことになる。一一だが、幸か不幸か、個人的には、本冊が飛浩隆の著作の中では、最も面白かった。
本書は、「夏の硝視体」「ラギッド・ガール」「クロ