マガジンのカバー画像

「思想・哲学」関連書のレビュー

932
「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

〈昭和天皇の戦争責任〉と日本人

【旧稿再録:初出「アレクセイの花園」2005年9月19日】 (※ 再録時註:アジア・太平洋戦争時…

23

ジョーダン・ピール監督 『NOPE/ノープ』 : 正統派〈モンスター映画〉+α

映画評:ジョーダン・ピール監督『NOPE/ノープ』 とても面白かった。満足した。 私の好きな…

16

竹本健治の〈笠井潔擁護〉

【旧稿再録:初出「アレクセイの花園」2005年8月29日】 (※ 再録時註:以下にご紹介するのは…

5

内村鑑三 『代表的日本人』 : 〈日本人〉として、 いかに生くべきか

書評:内村鑑三『代表的日本人』(岩波文庫) 内村鑑三は、明治の知識人であり、「無教会派」…

17

飛浩隆 『グラン・ヴァカンス 廃園の天使 Ⅰ 』 : 真夏の海辺の〈残酷な恋〉

書評:飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』(ハヤカワ文庫JA) 2002年の作品。1992年…

20

panpanya 『枕魚』 : 失われていくもの・ 顧みられないもの

書評:panpanya『枕魚』(白泉社) 2013年刊行の最初の単行本『足摺り水族館』から昨年2021年…

14

セシュエー 『分裂病の少女の手記』 : 〈分裂病〉気質の日本人

書評:マルグリート・セシュエー『分裂病の少女の手記 心理療法による分裂病の回復過程』(みすず書房) 分析心理学の古典と言っても良いであろう一書である。 原著刊行年が記されていないようだが、翻訳書の初刊が1955年だから、おおむね1950年前後ということでいいだろう。 本書の魅力は何と言っても、「精神分裂病」一一今の「統合失調症」の患者であった仮称「ルネ」が、心理療法士である著者セシュエーの分析治療を受けて快癒した後に書いた、発病から快癒までの自身の内面の動きを記した「手記

山下耕作監督 ・ 中村錦之助主演 『花と龍』 : 人間を信じられた〈良き時代〉

映画評:山下耕作監督『花と龍』(1965年) 「花と龍」というと、長らく、私が思い出すのは、…

9

映画 『動物愛護法』 と 『彷徨う魂』 : 〈独善的な正義〉の アンバランス・ゾーン

映画評:北田直俊監督『動物愛護法』『彷徨う魂』 とても興味深い映画を観た。 私は以前から…

18

相沢沙呼 『小説の神様』: 巧みな〈マインド・コントロール〉術師の手技

書評:相沢沙呼『小説の神様』(講談社タイガ) なかなか興味深い作品であった。 何が興味深…

12

〈侠客〉の裔 : 中村哲 ・ 澤地久枝 『人は愛するに足り、 真心は信ずるに足る アフ…

書評:中村哲、澤地久枝(聞き手)『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束…

18

〈児童文学〉としては傑作 : ソン・ウォンピョン 『アーモンド』

書評:ソン・ウォンピョン『アーモンド』(祥伝社) 本作は、2年前、書店員が選ぶ「2020年度…

12

カジノ・万博は〈負の遺産〉確定。:『カジノ・万博で大阪が壊れる 維新による経済・…

書評:桜田照雄、高山新、山田明『カジノ・万博で大阪が壊れる 維新による経済・生活大破壊』…

14

「文は人なり」の本義 : 仲正昌樹をめぐって

【旧稿再録:初出「アレクセイの花園」2005年8月23日】 (※ 再録時註:本稿の冒頭近くで、仲正昌樹の二著に触れているが、本稿は書評ではない。本稿で語りたかったのは「人となりの出ていないような文章はつまらない」ということである。なお、私は本稿において、仲正にかなり辛く当たっているが、その後も彼の「現代思想入門」系の著作は読んでおり、それなりに重宝していて、肯定的な評価も与えている。私が、本稿で指摘しているような、仲正の「クセの強さ」は、特に初期の著作に多いように思う。未読