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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2022年4月の記事一覧

高原英理 『日々のきのこ』 : 人間でなくなることの快楽

書評:高原英理『日々のきのこ』(河出書房新社) 本書は、高原英理というちょっと変わった作…

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ニック・ランド 『絶滅への渇望 ジョルジュ・バタイユ と 伝染性ニヒリズム』 : 〈…

書評:ニック・ランド『絶滅への渇望 ジョルジュ・バタイユと伝染性ニヒリズム』(河出書房新…

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〈呪う〉文体 : 京極夏彦 ・ 百鬼夜行シリーズを中心に

京極夏彦という作家が、並々ならぬ力量の持ち主だというのは、もはや異論のないところであろう…

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母の〈アン・バースデイ〉2022年4月17日:一一〝虚無〟に捧ぐる供物にと

母が今日、亡くなった。 もちろん、冗談などではない。これは小説でもない。 今日の午後5時…

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〈文体〉とは、オタク以前以後だけに非ず。

また面白い記事を見つけたので、それをネタに一文を草したい。 ○ ○ ○ ・「オタクになる前…

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C・リンドホルム 『カリスマ』 : 〈カリスマ〉とは 何か?

書評:C・リンドホルム『カリスマ』(ちくま学芸文庫) 「カリスマ」という謎めいた「力」の…

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木澤佐登志 『失われた未来を求めて』 : 〈現実主義〉とは、 ロマン主義的なものである。

書評:木澤佐登志『失われた未来を求めて』(大和書房) 著者は、今時きわめて珍しい、真面目な書き手である。 真面目な書き手とは、「ウケ」るために書くのではなく、自身の持てるもののすべてを書きつける精一杯の努力を、そのまま読者に提供しようとする書き手ということだ。そしてその言葉は、善かれ悪しかれ「呪い」である。 「資本主義リアリズム」との格闘の果てに、自死を選んだ思想家マーク・フィッシャーをして、思想的な敗北者だと評価する人も少なくないだろう。実際、「資本主義リアリズム」を

オタク活動に注意? 芸能人を好きになり過ぎると「知能が低下」するとの研究報告(な…

「newsweekjapan.jp」に、こんな記事が出ていた。 少し前の記事だが、面白いので、メモってお…

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岡田温司 『[増補] アガンベン読解』 : 〈反実際〉的な思想家・ ジョルジョ・アガ…

書評:岡田温司『[増補]アガンベン読解』(平凡社ライブラリー) ジョルジョ・アガンベンと…

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浅羽通明 『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』 : 不出来な〈自伝〉

書評:浅羽通明『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』(筑摩選書) 著者は、星新一を「ア…

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諸星大二郎 『夢のあもくん』 : 斜め裏側から襲来する〈メタ・ホラー〉

書評:諸星大二郎『夢のあもくん』(KADOKAWA) 衝撃の告発ホラー『一度きりの大泉の話』以降…

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本物の読書家ならば…。

ちょっと自慢話をさせてほしい。 先日「「読書マウント」批判もマウンティングである」という…

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藤森かよこ 『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに 愛をこめて書いたので読んでくだ…

書評:藤森かよこ『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください…

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カミュ 『シーシュポスの神話』 :〈不条理な世界〉との格闘の記録

書評:カミュ『シーシュポスの神話』(新潮文庫ほか) 本書がわかりにくいのは、カミュが、頭の中で整理され切った「理論」を論理的に語るのではなく、この世界の「不条理」と、まさに行きつ戻りつしの格闘しながら書いているからである。 つまり、そこには少なからず、論理的な飛躍や混乱があって、素直にロジックを追うことはできない。 しかし、「文学」というものがどういうものかを知っている人にとっては、こうした文章をどう読めばいいかは、自ずと明らかだ。 要は、個々の辻褄合わせをしようとするの