カミュ 『シーシュポスの神話』 :〈不条理な世界〉との格闘の記録
書評:カミュ『シーシュポスの神話』(新潮文庫ほか)
本書がわかりにくいのは、カミュが、頭の中で整理され切った「理論」を論理的に語るのではなく、この世界の「不条理」と、まさに行きつ戻りつしの格闘しながら書いているからである。
つまり、そこには少なからず、論理的な飛躍や混乱があって、素直にロジックを追うことはできない。
しかし、「文学」というものがどういうものかを知っている人にとっては、こうした文章をどう読めばいいかは、自ずと明らかだ。
要は、個々の辻褄合わせをしようとするの