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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2022年3月の記事一覧

北海道新聞取材班 『追及・北海道警「裏金」疑惑』 : シジフォスの裔・ 倒されても…

書評:北海道新聞取材班『追及・北海道警「裏金」疑惑』(講談社文庫) 本書は、2004年8月に…

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畑中章宏 『廃仏毀釈  寺院・仏像破壊の真実』 : 〈皇室における廃仏毀釈〉と 私た…

書評:畑中章宏『廃仏毀釈  寺院・仏像破壊の真実』(ちくま新書) 「明治新政府の推し進め…

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八代嘉美・海猫沢めろん『死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか』 :…

書評:八代嘉美・海猫沢めろん『死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか』(ソ…

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マルクス・エンゲルス(原作) 『まんがで読破 共産党宣言』 : やはり、これだけで…

書評:マルクス・エンゲルス(原作)『まんがで読破 共産党宣言』(イースト・プレス) 決し…

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花森安治 『灯をともす言葉』 : 再び道を誤らないための〈暮らし〉リアリズム

書評:花森安治『灯をともす言葉』(河出文庫) ずいぶん昔、酒井寛の『花森安治の仕事』(朝…

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坂本勝監修 『図説 地図と あらすじでわかる! 古事記と 日本書紀』 : 内容充実の …

書評:坂本勝監修『図説 地図とあらすじでわかる! 古事記と日本書紀』(青春文庫) 書店の新…

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春名幹男 『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ 巨悪ヲ逃ス』 : 敗戦以来ずっと 〈飼い犬の国〉

書評:春名幹男『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(KADOKAWA) 保阪正康や出口治明が認めているとおりで、本書が「労作」であることは間違いないし、その意味での賞賛を惜しむつもりはない。だが、驚くような話が書かれているわけではない。 あくまでも、大変な時間と労力をかけた裏付け調査に基づいて書かれている立派な労作、という評価だ。したがって、日本の戦後史に興味を持つ読者からすれば、驚きや発見があるわけでも、特別に面白いわけでもない。 内容を簡単にまとめれば、戦後史最

ジョルジョ・アガンベン 『王国と楽園』 : 〈愛〉の一撃

書評:ジョルジョ・アガンベン『王国と楽園』(平凡社) 現代哲学者による、真っ向からの「異…

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カジノも消えて、夢洲は〈悪夢洲〉となる。: 西谷文和『安倍、菅、維新。8年間ウソ…

書評:西谷文和『安倍、菅、維新。8年間ウソを暴く 路上からの反撃、倍返しだ! 』(日本機関紙…

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ダンテ・アリギエーリ 『帝政論』 : 教会と敵対した 〈ダンテの 信仰と論理〉

書評:ダンテ・アリギエーリ『帝政論』(中公文庫) 本書を頭から読み始めた人は、必ずや面食…

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瓜生中 『よくわかる山岳信仰』 : 政治的フィクションに 汚されない 〈生活に発する…

書評:瓜生中『よくわかる山岳信仰』(角川ソフィア文庫) 日本の信仰は「山」に始まると言っ…

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『THE BATMAN ザ・バットマン』 : 本当に怖いのは、 善人だけが 〈堕ちる〉という…

映画評:マット・リーブス監督『THE BATMAN ザ・バットマン』 正直なところ、やや期待はずれ…

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佐高信『池田大作と宮本顕治 「創共協定」誕生の舞台裏』 : 〈中立的第三者〉など…

書評:佐高信『池田大作と宮本顕治 「創共協定」誕生の舞台裏』(平凡社新書) 「創価学会(…

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荒井献・ 大貫隆・ 小林稔・ 筒井賢治 編訳 『新約聖書外典 ナグ・ハマディ文書抄』 : 創作としての 〈キリスト教〉の成り立ち : 聖書外典の意味

書評:荒井献・大貫隆・小林稔・筒井賢治 編訳『新約聖書外典 ナグ・ハマディ文書抄』(岩波文庫) 「宗教」というものの「成り立ち」を考える人は、ほとんどいない。 それは「宗教」というものが、「世界の真理や真相」を語るものであるかのように自己申告しているため、「最初から、それ(結論としての真相)を知っていた」という印象を受けがち(与えられがち)だからだ。 しかし、現実は違う。 「宗教」は、徐々に(あるいは、時に素早く)作り上げられていった結果として、今ある「まとまった形」や「