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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2022年1月の記事一覧

寄川条路 編『表現の自由と学問の自由 日本学術会議問題の背景』 : 大学と大学教師…

書評:寄川条路 編『表現の自由と学問の自由 日本学術会議問題の背景』(社会評論社 ) 先日…

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日本学術会議論 : 愚かな王と〈賢い道化〉

書評:小森田秋夫『日本学術会議会員の任命拒否 何が問題か』(花伝社) 菅義偉首相による「…

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アンソロジストの深き思惑 : 大森望 ・ 樋口恭介 ・ 清涼院流水 : 大森望編 『ベス…

書評:大森望編『ベストSF2021』(竹書房文庫) 『ベストSF2021』と聞いて、読者はこの本に、…

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山本義隆 『リニア中央新幹線をめぐって 原発事故と コロナ・パンデミックから見直す…

書評:山本義隆『リニア中央新幹線をめぐって 原発事故とコロナ・パンデミックから見直す』(…

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青木栄一『文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術』 : 人間的な、あまりにも人間的な

書評:青木栄一『文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術』(中公新書) 他のレビュアーも書いて…

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書物における「データ還元主義」の錯誤

先日、友人と交わした「LINE」でのやり取りをご紹介する。それ自体は、ごく短いものだ。 友人…

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遠野遥 『破局』 : 共感し得ない主人公としての 〈あなた〉を描く : けんご@小説紹介には紹介できない小説

書評:遠野遥『破局』(河出書房新社) 「第163回 芥川賞受賞作」である。本作は間違いなく「純文学」だ。どこが「純文学」なのかと言えば、読者を「楽しませない」ところであり、「頭を使えない読者」には、到底ついていけない作品だからである。 本作の「面白さ」は、一人称の語り手である主人公「私」が、とうてい共感し得ない「変な奴」であるにも関わらず、本作を読んでいる読者も含めた「今どきの若者」の「ある一面」を、見事に象徴して見せている点だ。 当然、そんなものが「当人」たちに喜ばれ

石田光規 『 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」 人間関係を考える』…

書評:石田光規『「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える』(ち…

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飛浩隆 『象られた力』 : 〈象る力〉と 飛浩隆の変容

書評;飛浩隆『象られた力』(ハヤカワ文庫) 本書は、『グラン・ヴァカンス 廃園の天使』(…

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宇佐美典也『菅政権 東大話法とやってる感政治』 : 宇佐美典也と望月衣塑子の〈落…

書評:宇佐美典也『菅政権 東大話法とやってる感政治』(星海社新書) 本書著者は、とでも「…

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神 ではなく 〈人〉としての、 エラリー・クイーン : 飯城勇三 『エラリー・クイー…

書評:飯城勇三『エラリー・クイーン完全ガイド』(星海社新書) 本格ミステリーを代表する作…

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彼らの道を 引き継ぐために

書評:古賀茂明・佐高信『官僚と国家  菅義偉「暗黒政権」の正体』(平凡社新書) 「闘う男…

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城山三郎『官僚たちの夏』 :〈夏の時代〉のファンタジー

書評:城山三郎『官僚たちの夏』(新潮文庫) 読書家を自認するだけあって、読む本の幅の広さ…

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中央公論新社編 『少女たちの戦争』 : 戦後を生きた 〈凛とした女〉たち

書評:中央公論新社編『少女たちの戦争』(中央公論新社) 強く強くオススメしたい、真に「精華集」と呼ぶに値する1冊だ。 とのことで、企画としてはそんなに目新しいものだとは思えない。しかし、書き手が素晴らしい。 私は女性作家の本をあまり読まないのだが、それはたぶん女性作家の作品には、私好みの「強靭さ」「過剰さ」といったものが、あまり期待できないと感じていたからだろう。私の好みというのは、わかりやすく「マッチョ」だったのである。 しかし、長年、文学に親しんできた者として、こ