遠野遥 『破局』 : 共感し得ない主人公としての 〈あなた〉を描く : けんご@小説紹介には紹介できない小説
書評:遠野遥『破局』(河出書房新社)
「第163回 芥川賞受賞作」である。本作は間違いなく「純文学」だ。どこが「純文学」なのかと言えば、読者を「楽しませない」ところであり、「頭を使えない読者」には、到底ついていけない作品だからである。
本作の「面白さ」は、一人称の語り手である主人公「私」が、とうてい共感し得ない「変な奴」であるにも関わらず、本作を読んでいる読者も含めた「今どきの若者」の「ある一面」を、見事に象徴して見せている点だ。
当然、そんなものが「当人」たちに喜ばれ