若松英輔・ 山本芳久 『キリスト教講義』 : 聖フランチェスコ vs 教皇イノケンティウス3世 のプチ再演
書評・若松英輔・山本芳久『キリスト教講義』(文藝春秋)
本書の内容は、宗教に興味のある人には、決して難しいものではない。と言うよりも、より正確に言うならば、本書は「平易」に書かれている。しかし、そこが曲者であり、そこを読み取らないでは、読書の名に値しない。
対談者である、若松英輔は「霊性(スピリチュアリティ)」を強調する個人主義的なカトリック信者であり、いわばキリスト教における「修道院」的な伝統に連なる人だ。一方、山本芳久の方は、キリスト教が「反近代」に傾いた時期にカトリ