山本昭宏『原子力の精神史 ――〈核〉と日本の現在地』 : 誰でもなく、自分自身の〈忘却〉に抗して
書評:山本昭宏『原子力の精神史 ――〈核〉と日本の現在地』(集英社新書)
あの東日本大震災から、そして福島第一原発事故から、早10年。私はずっと大阪在住で、阪神淡路大震災の経験者だから、東日本大震災には「最近」という印象がどこかにある。
先日、榊原崇仁『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』(集英社新書)を読んで、レビューを書いた時には、今年であれから10年だとは、そこに書かれていてすらピンと来ず、本書を購入した際にもまだ気づいていなかった。その後、書店に福島原発事故