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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2021年8月の記事一覧

斎藤幸平 『新人世の「資本論」』 : 「イデオロギー」に非ず、 これは〈サバイバル〉…

書評:斎藤幸平『新人世の「資本論」』(集英社新書) 本書について「マルクスが、どうのこう…

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梶山雄一 『大乗仏教の誕生 「さとり」と「回向」』 : 実質的 浄土信徒 学者から見…

書評:梶山雄一『大乗仏教の誕生 「さとり」と「回向」』〈講談社学術文庫〉 「仏教」と一言…

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マルクス、 エンゲルス 『共産党宣言』 : 共産党が なぜ「(科学的)社会主義」を掲…

書評:マルクス、エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫・光文社新訳文庫) 私のような資本主義…

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東浩紀 『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』 : 人間なんて、こんなもの。

書評:東浩紀『ゲンロン戦記  「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ) これが、若き東浩…

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芥川龍之介 『侏儒の言葉 文芸的な、余りに文芸的な』 : 芥川龍之介の〈墓碑銘〉

書評:芥川龍之介『侏儒の言葉 文芸的な、余りに文芸的な』(岩波文庫ほか) 芥川龍之介と言…

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片山杜秀 『尊王攘夷 水戸学の四百年』 : コンプレックスに由来する 〈純粋思想〉…

書評:片山杜秀『尊王攘夷 水戸学の四百年』(新潮叢書) 「日本における右派・保守思想」の…

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私は〈あなた〉を批評している。

私は、noteでの自己紹介文を、次のように書いている。 『昔から論争家で、書く文章は、いまどき流行らない、忌憚のない批評文が多い。要は、本音主義でおべんちゃらが大嫌い。ただし論理的です。だからタチが悪いとも言われる。』 これを読んで「好感」を持つ人が多くないことくらいは、もちろん私だって自覚している。 自覚していながら、なぜ、あえてこういう「挑発的」な書き方をするのかと言えば、それは無論、私が「批評家」だからである。私が「太鼓持ち」ではないからだ。 こういう書き方は、「

石沢麻依 『貝に続く場所にて』 : 〈夢〉は「難解」ではない。

書評:石沢麻依『貝に続く場所にて』(講談社) 最新の第165回芥川賞受賞作。あいかわらず芥…

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クーリエ・ジャポン編『変貌する未来 世界企業14社の次期戦略』 : 有名経済人アイ…

書評:クーリエ・ジャポン編『変貌する未来 世界企業14社の次期戦略』(講談社現代新書) 端…

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奥泉光 『雪の階』 : 〈天人五衰を怖れず〉の物語

書評:奥泉光『雪の階』(中公文庫) 本作が、三島由紀夫を意識した作品であろうことは、毎日…

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植木雅俊訳・解説 『現代語訳 法華経』 : 神仏にすがらない 〈人間のための教え〉

書評:植木雅俊訳・解説『現代語訳 法華経』(角川ソフィア文庫) 本書は、「漢訳(中国語訳…

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山田宗樹 『存在しない時間の中で』 : 「神」はいないが、 〈人間以上〉はいて当然

書評:山田宗樹『存在しない時間の中で』(角川春樹事務所) とても私好みな作品であり、最初…

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『現代思想 総特集◎ブラック・ライヴズ・マター』 : 〈私〉とブラック・ライヴズ…

書評:『現代思想 2020年10月臨時増刊号 総特集◎ブラック・ライヴズ・マター』(青土社) …

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赤坂真理『箱の中の天皇』 : 〈イメージの奔流〉と「観念的肯定性」

書評:赤坂真理『箱の中の天皇』(河出書房新社) どうやら著者の作品は、評論書もふくめて、評価が二分する傾向にあるようだ。「衝撃を受けた」という絶賛タイプと、「表現の曖昧さについていけない」というお手上げタイプである。 私はもともと、「愛とか性とか肉体」といった話題には興味の薄いタイプだから、赤坂真理という作家にも興味はなかったのだが、たいへん評判のよかった『東京プリズン』を先日、さる切っ掛けから今頃になって読み、さすがに迫力のある作品だと感心した。 ただし、同書のなかで語