会田誠『げいさい』 : 言葉にできない、あの〈切なさ〉を
書評:会田誠『げいさい』(文藝春秋)
きわめて優れた「正統派青春小説」である。
著名かつ人気のある美術家の著者が、自身の芸大受験浪人時代の体験をもとに描いた、一種の「芸大小説」で、そのため、読者の方も「芸術」に関心のある人や、自身が芸術家になったり、なれなかった人などが多いのかもしれないし、そうした特異な立場から、特異な興味を持って、本作を読んだ人も少なくないようだ。
たしかに本作は、そうした「業界内幕小説」的な興味を満たしてくれる側面も十二分にあるのだけれど、しかし私とし