ヴァーツラフ・ハヴェル 『力なき者たちの力』 : 「嘘の生」と闘う〈文体〉
書評:ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(人文書院)& 阿部賢一『100分de名著 ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』』(NHK出版)
『力なき者たちの力』の訳者である阿部賢一も指摘しているとおり、ハヴェルの文章には、独特のクセがあって少々取っつきにくい。しかし、これは見逃してはならない重要な点であり、これを無視してハヴェルの思想を理解するのは不可能である。
ハヴェルはチェコスロバキアの裕福な家庭に生まれたが、第二次世界大戦後、祖国が社会主義国家となった