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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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2021年6月の記事一覧

西村明 編 『隠される宗教, 顕れる宗教』 ( いま宗教に向きあう 第2巻) : 「宗教…

書評:西村明編『隠される宗教,顕れる宗教』 (いま宗教に向きあう 第2巻)(岩波書店) 「宗…

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岩下壮一 『信仰の遺産』 : コップの中の 神学論争

書評:岩下壮一『信仰の遺産』(岩波文庫) カトリック神父 岩下壮一の神学的著書『信仰の遺…

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人間の人間たる〈自己超克〉 : 堤未果・ 中島岳志・ 大澤真幸・ 高橋源一郎 『支配…

書評:堤未果・中島岳志・大澤真幸・高橋源一郎『支配の構造  国家とメディア 一一 世論はい…

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小林秀雄、 大岡昇平、 そして 大西巨人

書評:大岡昇平『小林秀雄』(中公文庫) 本書を読んでよくわかるのは、小林秀雄という「毒舌…

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末木文美士 『日本思想史』 : 〈叩き台〉としての 日本思想史

書評:末木文美士『日本思想史』(岩波新書) 著者も「はじめに」に書いているとおり、本書は…

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小坂井敏晶 『増補 責任という虚構』 : 〈人間存在〉 を根底で支える「虚構」

書評:小坂井敏晶『増補 責任という虚構』(ちくま学芸文庫) 初め指摘しておくと、本書はい…

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ヴァーツラフ・ハヴェル 『力なき者たちの力』 : 「嘘の生」と闘う〈文体〉

書評:ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(人文書院)&  阿部賢一『100分de名著 ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』』(NHK出版) 『力なき者たちの力』の訳者である阿部賢一も指摘しているとおり、ハヴェルの文章には、独特のクセがあって少々取っつきにくい。しかし、これは見逃してはならない重要な点であり、これを無視してハヴェルの思想を理解するのは不可能である。 ハヴェルはチェコスロバキアの裕福な家庭に生まれたが、第二次世界大戦後、祖国が社会主義国家となった

マルクス・ガブリエル 『新実存主義』 : 〈心〉の無かりせば、 あるいは「気難しい…

書評:マルクス・ガブリエル『新実存主義』(岩波新書) 気になっていたマルクス・ガブリエル…

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ジュディス・バトラー 『分かれ道 ユダヤ性とシオニズム批判』 : 引き受けと〈超克…

書評:ジュディス・バトラー『分かれ道 ユダヤ性とシオニズム批判』(青土社) ごく短期間な…

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ヒューム 『自然宗教をめぐる対話』 : 困難な時代の 〈知的抵抗〉

書評:ヒューム『自然宗教をめぐる対話』(岩波文庫) つまり、ヒュームが生きた時代には、ニ…

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綿野恵太 『「差別はいけない」と みんないうけど。』 : 多面的な検討に耐え得る 〈…

書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけど。』(平凡社) 物事を「単純化」して、…

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柄谷行人 『世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて』 : 利口ぶった 〈シニシ…

書評:柄谷行人『世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書) 本書の評価が…

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ジョン・ヒック 『宗教の哲学』 : 〈誠実な信仰〉の悲劇

書評:ジョン・ヒック『宗教の哲学』(ちくま学芸文庫) 私は「無神論者」の立場から、「宗教…

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アベ・ピエール 『神に異をとなえる者』 : 神と共にあった人の 〈確信の言葉〉

書評:アベ・ピエール『神に異をとなえる者』(新教出版社) まず最初に言っておきたい。本書は稀に見る「信仰の書」であり、信仰者はもとより、非信仰者や無神論者さえも読むべき本だ。読書家であるなら、本書を読まないのは、人生における損失である。  ○ ○ ○ 著者名「アベ・ピエール」の「アベ」とは「在俗神父に与えられる称号」であり、つまりは「ピエール神父」ということなのだが、彼の本名は「アンリ・アントワーヌ・グルエ」である。 これが何を意味するのかと言えば、それはたぶん、彼自身